「宇宙戦艦ヤマト」庵野秀明が森雪役の麻上洋子を前に喜び噛み締め、感謝を伝える

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「『宇宙戦艦ヤマト』放送50周年記念セレクション【PROGRAM3】」の上映会とトークショーが、本日1月10日に東京・新宿ピカデリーで開催された。トークショーには「宇宙戦艦ヤマト」50周年企画のプロデューサーを務める庵野秀明、森雪役の麻上洋子、「宇宙戦艦ヤマト2199」の公式コミカライズを手がけたマンガ家・むらかわみちおが登壇した。

「『宇宙戦艦ヤマト』放送50周年記念セレクション」トークショーより、左から庵野秀明、麻上洋子、むらかわみちお。

「『宇宙戦艦ヤマト』放送50周年記念セレクション」トークショーより、左から庵野秀明、麻上洋子、むらかわみちお。

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「『宇宙戦艦ヤマト』放送50周年記念セレクション上映」プログラム3のポスター。

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去る12月27日から1月16日にかけて、新宿ピカデリーほか全国劇場にて実施されている「宇宙戦艦ヤマト」のセレクション上映。本日から1月16日までは「プログラム3」として、第23話「ついに来た! マゼラン星雲波高し!」、第24話「死闘! 神よ、ガミラスのために泣け!!」、第26話「地球よ、ヤマトは帰って来た!!」が上映されている。

麻上洋子

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上映後に行われたトークショーで、庵野は麻上が憧れの存在であると明かす。「『麻上洋子』という名前があったら(そのアニメを)観ていた。(麻上がパックン役で出演していた)『ポールのミラクル大作戦』も観ていました」と話すと、麻上はパックンのセリフを披露。庵野は「ありがとうございます……!」と頭を垂れて、その喜びを噛み締めた。

森雪のセリフを発する麻上洋子(右)に感謝する庵野秀明(左)。

森雪のセリフを発する麻上洋子(右)に感謝する庵野秀明(左)。[拡大]

「宇宙戦艦ヤマト」のアフレコ当時を思い返し、“ド新人”だったという麻上は「当時、自分の声がどのように録音されて、どのように出ているのかは、放送されるまで聞けなかったんです。なので私は、ダビングのときに毎回スタジオに通って、テレビで流れる前に、自分の声がどういうふうに聞こえるのか、全体がどんな音になっているのかを確認しに行っていたんです。その合間に(音響効果の)柏原満さんとお話をしていました」と、昨年11月に死去した柏原との交流について語った。

左から麻上洋子、むらかわみちお。

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また声優を目指したきっかけとして、麻上はマンガの「リボンの騎士」が好きだったと言い、「アニメになったときに(キャラクターの声が)私のイメージと大きく離れていて。そのときに、私は『私のイメージの声をやりたい!』と思ったんです」と述懐。そして「森雪の絵とセリフを見たときに、『この絵が一番好きで、この絵が動いたら一番うれしいのは、声優界の中で私だわ!』と思ってがんばったら、(音響監督の)田代(敦巳)さんが見てくださっていた」と雪との出会いを振り返る。そして「まだまだ素人でしたから“地”を出すしかなくて。雪が『キャッ!』と言うシーンも、私が『キャッ!』というときはこんな声だわ、という発し方をしたら、田代さんに『あんなに恥ずかしい声を出してくれる人は、お芝居をやっている人の中にはいないよ』と言われて(笑)」と話すと、庵野は「そうなんですよね!」と力強く共感。「芝居がナチュラルですごくよかった。雪は笑い方も特徴的で。23話で写真を撮った後の笑い方が素晴らしい」と好きなポイントについて言及した。

左から庵野秀明、麻上洋子。

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そんな庵野を前に「(ファン度合いが)濃くてびっくりしちゃう(笑)」と微笑む麻上が「(プロデューサーである)西崎(義展)さんは、よく『古代くん!』の“くん!”の言い方がいいと仰っていたんです」と明かすと、庵野は「わかってらっしゃいますね! まったくその通りです」と同意。「メロメロでしたよ。実在しない存在に“好き”という感覚が生まれたのは森雪が最初だったと思います。そういう意味では初恋の人だった」と告白した。

「『宇宙戦艦ヤマト』放送50周年記念セレクション」トークショーより。

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雪について、むらかわは「クラスの委員長みたいな『あなたたち何やってるの!』という振る舞いが多いキャラクターだったのが、終盤に向かって、スターシャや古代進の背中を押していって、最終回では自分の心の内を吐露するようになり、キャラクターとしての主張が強まっていく」と解釈。麻上は「田代さんの演出やドラマのおかげ」と応えながら、「雪の絵と私の声で1つの女優さんなんだなって思ってるんです。だから新しい『ヤマト』になって、違うタッチの雪は違う人の声でいいって、とても思っています」と思いを述べる。「このときの雪の姿、ドラマの中の雪の心情、それがたまたま私の声とフィットして皆さまが受け取ってくださって、それがその時代の(雪という)“役者”であったと思っているんです」と言葉にした。

「『宇宙戦艦ヤマト』放送50周年記念セレクション」トークショーより。

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自身のデビュー曲「哀しみのサテン人形(ドール)」が流れ出し、耳をふさぐ麻上洋子。

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また場内にはむらかわのリクエストで、麻上が1981年にデビュー曲として発表した「哀しみのサテン人形(ドール)」が流れ出す。むらかわは「1981年に発表された曲なので、『ヤマト』の後に歌われているんですけど、この声って77年版の雪にすごく似ていて。キャラソンがない時代だったんですけど、これを聴いて僕は『森雪が歌ってるんだ……!』と畳の上で悶えていた記憶があります」と明かすと、客席からは笑い声とともに拍手が贈られる。庵野も「森雪っぽいんですよね」と同意し、麻上は「汗をかいてます(笑)」と照れた表情を見せた。

むらかわみちお

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イベントの後半、むらかわは「YAMATO SOUND ALMANAC」シリーズにおいて欠品となっているCDの再プレスと、「宇宙戦艦ヤマト」シリーズ内で4Kリマスター化が実施されていないタイトルについて、ファンの声が集まれば実現化が進むことを丁寧に説明し、「皆さんの『観るよ、買うよ』という声があれば製作に拍車がかかりますので、SNSなどいろいろなところで声を上げていただければ」と、「ヤマト」ファンへメッセージを送った。

庵野秀明

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改めて麻上洋子(右)に感謝を伝える庵野秀明(左)。

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最後に庵野は「僕が古代くんの中で一番好きなカットが、最終回でデスラー砲が撃たれたときに、森雪の遺体を抱えてかばっているところなんです。もしかしたら心中の気持ちだったかもしれない。そういう細かいところまで描けているのが、『ヤマト』のすごいところで素晴らしい部分だと思っていますし、50年経ってもこうやって人気がある最大の部分だと思っています」とコメント。「メカもいいんですけど、『ヤマト』の中心はやっぱり“ドラマ”です。それを演じてくださっていた麻上さんとお話ができて、今日は本当に幸せでした。ありがとうございました」と感謝を口にした。

「『宇宙戦艦ヤマト』放送50周年記念セレクション」トークショーより。

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なおイベント内では「宇宙戦艦ヤマト 全記録展」が、3月15日から31日まで東京・渋谷で開催されることが発表された。大阪では今夏に開催予定となる。

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(c)東北新社/著作総監修 西﨑彰司

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三井秀樹 @hide7_7

麻上洋子さんはね森雪だけじゃなく
有紀螢(劇場版999)
サーシャ(新たなる旅立ち)
ガラスのクレアにメタルメナと松本零士5大美女を演じているんやで

#ヤマト50周年 #麻上洋子 #一龍斎春水 https://t.co/IfToy1Qt2G

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