スマート冷蔵庫に不要な機能３つとたった１つの超必要な機能

ハッキングされた冷蔵庫から全世界にスパムメールが一斉送信されるご時勢。
もはやキンキンに冷えたＰＣと呼んでも差し支えないほど冷蔵庫がスマート化する未来はすぐそこです。

メーカー各社、スマート家電を次世代のコンセプトとして今日も開発を繰り広げております。
なのに実際の所、フタを開けて見ればほとんど使われることのない不要な機能ばかりが実装される現実が今からぼんやりと思い浮かぶのは気のせいでしょうか。

スマートな冷蔵庫に求める理想像が、人によって様々に異なると考えたほうが現実に即しています。
普通の冷蔵庫でさえ要望は様々で、冷蔵庫内の容量やレイアウトにこだわる人もいれば、大雑把でとにかく冷えさえすれば細かい所はどうでもいい人がいたり。

不要１．健康アドバイス機能 → 聞きたくない

本日の食物繊維摂取量まであと15グラムです。蒟蒻、ごぼう、きのこ類が入っていますので、今夜の料理にお使いください。
動物性たんぱく質が植物性たんぱく質より過剰です。大豆やアーモンドなど豆類を優先して食べましょう。
塩分過多です。ミネラルを多く含むわかめ、ほうれん草、バナナが冷蔵室に入っています。これらを摂取して塩分を排出しましょう。

あーあー聞こえない聞こえない。
こちらの好みも尊重しないで、食生活に口を出されたくないですー。
せっかく不健康って分かってて不健康を楽しんでるのに。
機械的な言い方だから、そのせいな気もしますけど。
内容が同じでも、言い方次第で湧き上がる感情はくるくる変わるものだから。

好きな食べ物や料理をインプットして提案するくらいはできそうですよね。

でもきっとあれでしょ、いくらスマートって銘打っても、明らかに体に悪いメニューのリクエストは不可能なんでしょ。
ＷＨＯや日本高血圧学会が定めた一日あたりの塩分摂取許容量とか、絶対オーバーできないんでしょうね。
いくら開発部門が提案しても、リスクヘッジが仕事の役員勢は却下しそう。
不健康なアドバイスはスマートに含まれない、と考えているのでしょうか。

どうも、何のためのスマート機能なのか勘違いしている人がおられるようです。
分かってませんね。
いくらヘルシー志向でもね。
至福と快感と恍惚を伴わないアドバイスなぞ、心が喜ばないんですってば。

だからその冷凍庫に山のように入ってる１個あたり角砂糖21個分のハーゲンダッツバニラ、死ぬほど食べさせてくれませんか。

不要２．テレビや光熱器具など他の家電とリンク → 怖い

朝起きる時間にリビングの照明が自動的に灯り、暖房やクーラーが勝手に保温を始め、テレビの電源が自動的に入ってプリセットされたチャンネルに切り替わります。
なにこれ怖い。
この家、何か居るんじゃないでしょうか。

夜、寝る時間になったらこれと逆のことが起こります。
パチリパチリと勝手にテレビが消え、空調と照明が止まり、なぜか寝室はすでに生暖かい・・・

何か絶対、いますって。
苦手なんですからこういうの。
ホント勘弁してください。

そのうちテレビ画面からにょきっと飛び出してきた上半身の手が居間の電灯のヒモをくいっと引いて電気を消しそうな気がしてくるじゃありませんか。

もー想像しただけで怖い。
でもね、こんなジャパニーズホラー、個人的には大好き。

不要３．スマホから内容チェックや操作 → 面倒くさい

あら、卵が安いわねえ。冷蔵庫に今いくつあったかしら。
そうそう、うちのスマート冷蔵庫ならスマホから食材の在庫をチェックできるんだったわ。
さっそくスマホをタップタップして卵の数を確かめるわよ。

えーっと、あ、違うとこタップしちゃったわ。
戻って戻って、このスマート冷蔵庫専用アプリね、はいポチッと。
タイムセール中のスーパーのド真ん中でスマホを弄り倒してる私って、もしかしてお客さんの邪魔になってないかしら？

やだ、そういうの近所で噂になったら困るわ。
井戸端会議で私が帰ったあと、残ったママ友の間で陰口叩かれちゃう。

だいたいなんでいちいちスマホで操作しなくちゃならないの。
全部こんな機能のせいよ。
めんどくさいったらないわ。

決して短くない主婦歴をバカにしないで。
卵の数くらい常に頭の中で把握してるわよ。
残ってるプッチンプリンとトマトの個数、マヨネーズの残量、きゅうりの本数、あと今まで食べたパンの枚数もね。

女の聖域である台所にあって、この程度のスマートっぷりなら、不要だわ。

でも、今夜はマッサンのニッカウヰスキーをロックで飲みたい気分ね。
何も言わなくても製氷機で氷の用意をするくらいは出来ると思っていいのかしら？

超必要　アニメ声で話しかけてくれる → 興奮する

「おはよー、いちご牛乳、冷やしといたよっ　いつも飲んでるから、今朝も飲むかもーって用意してたの。また飲んでくれて、嬉しいな☆」
うん、飲むよー。超絶飲みまくるやでー。
糖尿病とか怖くないもんね。そんなん気にしていちご牛乳あまらしたら冷蔵庫ちゃん泣いちゃうじゃん。
そんなの紳士として絶対ダメでしょ。
いちご牛乳、毎朝飲むしかないでしょこれ。
冷蔵庫ちゃんの甘くてピンク色のいちご牛乳はぁはぁ。

「最近、きちんと野菜を食べるようになったな。痛まないように保冷してるから、好きなときに使っていいぞ。その、君に倒れられると、わたしも悲しいからな・・・」
こう見えて、自分の体には気をつけてたんだぜ。
普段は不摂生で不健康な不良少年に見えなくもないけどさ。
あんまり冷蔵庫さんを心配させたくないと思ったんだ。
気付いたんだよ。
どんな日も野菜を冷やしてくれてる冷蔵庫さんの優しさに。
今さらだけどな・・・
もう、あんなコトはゴメンなんだ。

「冷蔵庫の扉が半開きだったからあたしが閉めてあげたけど・・・か、勘違いしないでよねっ　べ、別にあんたのためにやったんじゃなくて、桃の天然水飲もうとしたらたまたま開いてたから閉じただけなんだから///」
やれやれ、この冷蔵庫は素直にデレることもできないのか。
そんなんじゃいつまでたっても周りに誤解されたままだと思うぞ。
まったく、根はイイ奴なんだがな・・・
天邪鬼というか、照れ隠しが板についてるというのか。
でも、ありがとな。
いつも助かってるぜ。

やだ、あの人、冷蔵庫と会話してる。
そう思われるのは想定の範囲内です。

いいんです。
人生に彩りを添えるとは、こういうことをいうのです。

冷蔵庫とは一生の付き合いだもの。
仲良くしましょう。

萌え要素的な意味でね。