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最終回直後から少しずつ書いていましたが、プライベートと仕事の諸々がやっと落ち着いて、推敲できるようになったのでまとめました。 少し遅きに失した感もありますが、ご容赦ください。 ※『水星の魔女』最終回までのネタバレを含む文章です。 ※あと、またもやながいです。 もはや30年男女の恋愛や女の子同士の友情をテーマにした少女漫画ばかりを描いてる立場からの意見ですが、『水星の魔女』は、メインカップルであるスレッタとミオリネ二人の恋愛感情は部分的にしか描写せず、その周りの当て馬ポジションの男性キャラクターたちの感情の動きは丁寧かつ鮮やかに描くというスタイルをとっていて、変わったバランスだな、どんな狙いのある配分なのかなと観察していました。少女漫画では通常このような「メイン二人の恋愛感情描写は希薄で当て馬キャラ達の恋愛感情描写は緻密に描く」という手法は絶対に有り得ないためです。 全部のキャラの恋愛感情が希薄に描かれていたら「このアニメは恋愛面の心理描写を深掘りしない作風なんだな」で済んだのですが、『水星の魔女』はそうではないのです。 スレッタからエラン4号への初恋、エラン4号がスレッタに心を開いた瞬間の様子、シャディクからミオリネへの踏み出しきれなかった後悔、ミオリネの抱くシャディクへの未練、グエルからスレッタへの身につまされるような片思い、等々。男性キャラクターが介入する恋愛感情はエモーショナルに描写するのに、肝心のスレッタとミオリネの間にのみ、恋愛感情の機微的な「心理的な」描写が皆無です。(※私は小説版は未読なのでこの文章はTVアニメ版のみの条件で書いています) とはいえスレッタとミオリネにも「友情じゃなくて恋愛なのかも」と思わせる描写はゼロではありませんでした。ただし面白いことにそう思わせられる部分は全て肉体的な接触で補完されていました。 11話の追いかけっこからの密度の高いハグ、22話のすごく時間をかけてフォーカスされた手つなぎシーン、同じく22話のミオリネのとても尺を取って生々しく歩んでいく生足の描写、全身が扉を開けるまで見えないせいでもしや全裸なのかとハラハラさせるようなミスリード演出。肉体的接触やセクシャルなにおわせ表現は濃密に描かれるのに、心情的な動きで「この子達の感情は友情じゃなくて恋愛感情かも」と思わせてくれることは皆無で、そのくせいきなりポンと「結婚式のドレスや指輪をふたりで選ぶ」とか「私たち家族になるんだから」等、二人が恋愛関係にあることを提示するセリフが飛び出してくる。そこのバランスも不思議でした。 女性なら多少思い当たる経験があると思いますが、十代の女の子というのは、仲の良い友人と友情以上恋愛未満の関係を築くことがままあります。そうなった女の子の内面や言動は、独占したり束縛したり嫉妬したり、かっこいい・可愛い仕草を見て浮かれてしまったり、相手を大切にしたい・大切にされたいと思うなど、かなり湿度の高い、恋愛感情に似た性質を持ちます。しかしそれはあくまで友情であって、恋愛感情ではありません。 そこで明確に友情か恋愛かの線引きになるのは「肉体的接触をどこまで許しあうか」になることが多いので、スレッタとミオリネが「たまにあるスキンシップの湿度と密度が友人同士にしては高い」という部分で「この二人は友人関係ではなく恋愛関係です」と提示されるのは、実は間違ってはいません。 でもこの二人、その中間である友情なのか恋愛なのか?な感情描写が、わざとなのかと思ってしまうほど描かれていない。友情としか思えないどころか、主従関係にしか見えないやりとりの方が多くすらある。スレッタとミオリネのメインカップルを推していた人たちの中にも、「もっと二人が恋愛的な感情をはぐくむ表現を見たかった」と思った人は多かったんじゃないでしょうか。 湿度の高い感情描写(泣くとか怒るとかではなく、いわゆるときめきとか嫉妬など)はないのに肉体的接触は性的に見えるほどに描かれるスレッタとミオリネ。逆にグエルやシャディクや4号という男性キャラは、特に肉体的な接触や性的な描写をされることなく恋愛感情の揺らぎやときめきを丁寧に描写されていたというのも面白いです。 狙ってやっていたというわけではなく、そこが苦手で充分に描写できなかったということかなとも思ったんですが、だとしたら最終回ではしれっとキスシーンや結婚式も描いていただろうし、におわせ程度の左手薬指の指輪だけで視聴者に解釈丸投げだったのはやっぱり謎です。 あんなにきれいにまとめようとしていた最終回です。尺が足りなくて無理だったというなら、結婚写真のワンカットだけでも入れてあげたらよかったのに。今のスレッタが身体的に無理ならさらに数年後の未来のショットとしてでもいい、それを見たかった人たちも多かったでしょう。 一体何のためにスレッタとミオリネの恋愛感情表現を濁し続け、最終回ですら結婚式やキスシーンなどの恋愛エンドを回避したのか?と考えた時に思いついたのは、 放送終了後にマルチエンドの恋愛ゲーを出すからどっちつかずで終わらせたのでは?? だけでした。まあそんなの出たら買うが。絶対に買うが。 ネタな話は置いておいて真面目な話、これがほんとにずっと不思議で最終回まで見守っていたんですが、最後まで見ても結局明確な意図はわかりませんでした。 メイン二人の恋愛描写の物足りなさがどうしても気になってしまう部分に関しては、「これはガンダムであって恋愛がメインテーマの作品ではないし」という意見もあるかと思います。それはそうです。 ただ、バランスが悪いんです。とても。 本来応援したくなるべきメインカップルの恋愛面の情動表現が薄く、逆に当て馬キャラたちの恋愛面の描写のほうが鮮明に描かれているのは、バランスが悪すぎて大変もやっとするんです。物語全体の舌触りが悪くなるほどバランスが悪いのは、「これはガンダムであって恋愛がメインテーマの作品ではないし」で擁護できるものではありません。 ここで調和がとれないのであれば、変に周りのキャラたちの恋愛面を鮮やかに描く必要はなかった。全体薄味にするか主役二人の心理描写だけ鮮明に描けば良かったんです。 当て馬キャラを応援していた人達も、最終的にはメインカップルの二人に対して「お前らには負けたぜ…幸せになれよ……」という気持ちになって拍手したかったと思うんです。なのにそれがとてもしづらいバランスになってしまってる。これじゃなんで負けたのかわからない、というモヤモヤに苦しんだファンは多いと思います。 とはいえガンダムは男性視聴者のほうが多いから、女の子同士の友情以上恋愛未満だったりそこから一歩踏み込んでしまって恋愛になってしまう感情の流れだったりにリアリティは求めない(リアルでなくても男性視聴者は違和感を覚えない)でしょうし、問題はないのかもしれません。 最近はだいぶ減りましたが昔は多かった、受けの男の子のメンタルが完全に女性のそれで「これは少女漫画を男同士に焼き直しただけだな」というBL作品が問題なく女性読者に受け入れられていた時代と同じように。 いかに製作サイドが少女漫画風の展開や演出を取り入れようとしてみても、結局『水星の魔女』はガンダムなので、ガンダムが好きな男性視聴者向けにしか作られていないし、そこに少女漫画風の展開や演出に魅力を感じて引き込まれてしまった女性視聴者が違和感や不満を感じても仕方のないことだったのかもしれません。普段女性向けの恋愛漫画を読み慣れている人が満足できるものが出てくる確率は、そもそもとても低かったんです。 パリで和食レストランに入ったらメニューに「お寿司もあるよ」と書いてある。普段からお寿司が好きだから期待して頼んだらコンビニのパック寿司以下のお寿司が出てきた。それに対して「美食の街なのに!?」と文句を言ってはいけないんです。 30~40代以上の大人の男性視聴者向けに、おそらく同じ世代の男性陣が中心となって作られている作品に、10代の少女の友情から恋愛に移り変わる心理描写のグラデーション表現まで期待してしまった私が悪いのでしょう。これはたとえば『水星の魔女』に50話分の尺があったとしても解決しなかった問題だと思います。(前回の最終回感想記事で書いた「尺が足りないのに人気が出たキャラに中途半端に盛りすぎて配分がおかしくなった問題」はもっと話数があれば解決していた可能性も高いのでそこは撤回しません) 私もちょっと、少女漫画風の心理表現や演出が採用されたことに喜んで期待しすぎてしまったんだろうなという気づきは得られましたし、そこは若干反省しました。だって他のガンダム作品にはこんな部分の期待を寄せながら見なかったですし。 今後同様の事態が起きかけた時も、「待てよ、私はこの作品のターゲットから外れている人種なのかもしれないぞ」ということを思い出して心の平穏を保ちつつエンタメ作品を楽しめるようになれたらいいなと思いました。 とにかく、今回書いた部分が見ていてずっと気になっていたので、自分自身の理解を深めてすっきりするために文章化してみた次第です。 そして、同じように感じていた誰かの気持ちがこの文章を読んで少しでも軽くなったら、書いた意味がありました。 恋愛漫画家のたわごとにお付き合いいただき、ありがとうございます。 そして到達した結論 あと余談ですが、こんな偉そうに恋愛作品を語る少女漫画家が今一体どんなものを描いているか気になった方は、白泉社から刊行されている『恋する MOON DOG』をご一読いただければ、「なるほど素晴らしい」なのか「なんだこの程度のものしか描けないでずいぶんたいそうなことを言ってたんだな」なのかの判断をして頂けるかと思います。 若干オトナ女子向けではありますが、TLではなく全年齢向けの少女漫画です。現在10巻まででており今も連載中の作品ですが、最初の切りのいいポイントが4巻なので、できれば4巻まで読んだ上で採点して頂けると嬉しいなと思います。 (※『水星の魔女』とは違って当て馬系キャラクターがあえてまったく登場しない作りの恋愛作品になっていますので、そこはご注意ください)(あと、私の作品にしては珍しく「女の子同士の恋にも似た友人関係」も扱われていません。そちらは一番最近では『桜の花の紅茶王子』で描いています) 『恋する MOON DOG』白泉社作品ページ ※当ブログの画像の借用転載、改変転載等はいかなる場合も禁止します※ ※Reproduction is prohibited※
by nanpei_yamada
| 2023-07-19 00:00
| 落書き:その他
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