働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

貴方がわたしを好きになる自信はありませんが、わたしが貴方を好きになる自信はあります

貴方がわたしを好きになる自信はありませんが、わたしが貴方を好きになる自信はあります (ダッシュエックス文庫DIGITAL)

《あらすじ》
もし仮に、世の中の人間をふたつの種類に分けるとしたら。あなたなら何と何に分けますか? ――「吸血鬼とそれ以外、だな」 ――「いいえ。運命の人に出会えるか出会えないか、です」 神谷誠一郎(かみやせいいちろう)、二十八歳。職業は猟犬(ハンター)――吸血鬼を狩る者。 ある夜、彼のもとにひとりの少女がやってきた。 綾瀬真(あやせまこと)、十四歳。世界で唯ひとりの『生まれつきの吸血鬼(ナチュラルボーン)』。 とある恩人の縁を頼ってきた彼女を誠一郎は受け入れ、ふたりは同居生活を始めるのだが――いつしか彼らは、吸血鬼の謎をめぐる思わぬ事件に巻き込まれていく。 年の差十四歳、狩る者と狩られる者の危険な恋物語、開幕!

わたし(読者)が貴方(真)を好きになる自信はありますが、貴方(真)がわたし(読者)を好きになることはない。次元の壁は厚い!!
自分で言っていて意味がわからないです。

『文句の付けようがないラブコメ』という超傑作ラブコメを無事完結までたどり着かせ、新たなラブコメを世に送り出してきた鈴木大輔先生。どんな作品かって? タイトルとあらすじのとおりだ! と言えば全てが済みそうですが少し補足。

吸血鬼の少女である綾瀬真と吸血鬼ハンター神谷誠一郎。相容れない存在であるはずの二人が、真の母親の伝手により誠一郎のもとにかくまわれることに。二人のファーストコンタクトは真の生い立ちや吸血鬼をとりまく世情もあり物騒な状況での出会いとなったが……、なぜか真が頭の悪いくらいに好感度むき出しのベタぼれ。
なんだろうこの既視感……、そういえば『文句の付けようがないラブコメ』もユウキとセカイが出会ってすぐにプロポーズする展開だったっけ。
この作品も、揺るぎない好感度をフルスロットルにして物語の結末をある程度示唆させて楽しませるタイプなんですかね。
ラブコメとしては間違いなく傑作に入る部類の新作です。

吸血鬼に関連する話題においては、吸血鬼ハンターを生業にする誠一郎のアウトローの世界での生き様や、吸血衝動に駆られて自我を失った吸血鬼の末路、吸血鬼が人間の世界にはびこる社会情勢を織り込んだ世界観が丁寧に作られていて、ラブコメを抜きにしても歯ごたえのある物語でした。

長期シリーズ化を視野に入れた物語の構成になっているので、読み切ったあとに訪れる読後感は少し薄いように思いましたが、おそらくこの作品が全て書籍となって綴られて手元に届くころにはさらなる鈴木大輔信者になりそうです。