働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

夢幻戦舞曲

夢幻戦舞曲 (MF文庫J)

《あらすじ》
西暦2020年、東京オリンピック目前の日本。経済特区たる海上都市オリュンポスに、天使、龍、鵺、人狼、巨人、天狐、夢魔、ゴブリン…幻棲種と呼ばれる人外種が集結しつつあった。彼らの目的は、勝てば東京の統治権を得られる『幻神大戦』。一方、謎の研究施設で目覚めた月見里大雅は、過去の記憶を全て失っていた。2年前に交通事故で死亡した大雅は、日本政府と御薪製薬の合同プロジェクト“夢幻計画”により、人工吸血鬼として復活させられたという。多くが謎に包まれたまま、大雅は史上最強の幻棲種・吸血鬼の圧倒的な力を秘めながら、人類種の代表として参戦することになる。地球上に存在する、全ての知的生命権によるバトル・ロイヤル開幕!

『星刻の竜騎士』の新作ライトノベル。世紀のバトル・ロイヤルが開幕したときのハイスケールなバトルが一刻も早く読みたい!!

最強の種族・吸血鬼として目覚めた際に記憶をなくした主人公の明かされないままの過去とは……。贅沢に1巻を丸ごと使った壮大な物語のプロローグでもって『幻神大戦』の出場者が決戦の舞台へと導かれていく流れが丁寧に描写されていて、それぞれのキャラクターでもって主人公を名乗れるくらいに背景が細かく練られていて良かった。各章で天使、龍、鵺などなど、『幻神大戦』で注目される実力者の視点に変わって物語が進行していくけれど、細かく設定が練られているだけに各キャラクターが胸に掲げる想いや、いざ戦いの舞台に上がって死闘を繰り広げることになったときに、『誰とどんな戦いをすることになるのか』が気になってくる。

各種族が日本で開催される『幻神大戦』に出場するにあたり戦いの舞台となるエリア以外にも、人類種の生活圏にまで足を運んで日常生活を送っているため、『実はお互いに認識していないところで、意外な接点が生まれていたり……』なんてこともあるわけで。それが『転校先のクラスメイト』や『超人気作家のサイン会場』だったり。
そんな真剣勝負の枷になる原因を仕込んだり、種族の命運をかけた戦いに消極的な一面を臭わせたり、一筋縄ではいかない模様を強調することで、単純な力比べでは決して終わらない深みのあるバトルロイヤルにまで昇華させ、より面白い作品へと仕上げてきてる。
是非ともMF文庫にはこの大作を完結まで無事に走り切らせてほしいものです。個人的にもオススメの一品です。