「まるで必殺仕事人」事業モデルに最適なDMP構築により、四半期売上が過去最高を記録するまでの流れ

「まるで必殺仕事人」事業モデルに最適なDMP構築により、四半期売上が過去最高を記録するまでの流れ

住宅の購入や住宅ローンの乗り換えを検討するユーザーが、自分自身に最適な住宅ローンを比較検討できる住宅ローン専門のポータルサイト「モゲチェック」。同サイトを運営する株式会社MFSでは、プロダクトの開発やデジタルマーケティングの施策、そして経営の意思決定にデータを積極的に活用しています。

マーケティング施策としてインターネット広告の運用に力を入れている同社では、各広告媒体やGA4のデータを統合し、より事業モデルに適したDMPを構築することで広告運用の自動最適化やCVR改善の精度を高めたいと考え、THE MOLTSにお声がけいただきました。

今回は同社マーケティング部で主にデータ活用を担う大西さまと、インハウスで広告運用を担当する布施さま、そしてデータフローの構築に必要不可欠なRPAを提供いただいた株式会社デジタルワークスの代表取締役の倉内さま、本プロジェクトを担当したTHE MOLTSの西 正広を交え、取り組みを振り返りました。

データドリブンの環境構築に注力するなかで感じた課題

MFS 大西さま

西:貴社のミッションとして「テクノロジーと分析の力でユーザーにパワーを」を掲げていますが、マーケティング活動ではどのような方針でデータ分析に取り組まれているのでしょうか?

大西:計測できるデータはすべて計測し、そこから善し悪しを判断してアクションをプランニングしていくという、データドリブンな意思決定ができる環境の構築に力を入れています。さまざまな場所に分散しがちなデータをひとつのDBに集約、一元化し、すべての社員が気軽に参照できる、いわゆる「データの民主化」が達成された状態が私たちが目指すべき体制です。

布施:私たちマーケティング部では、CPAとCV数を主要なKPIとして設定しています。このCPAとCV数のデータを取得する方法なのですが、今回の取り組み以前はとてもアナログでした。「モゲチェック」から発生した審査申込のCV数をスプレッドシートに集約していたのです。

その後、スプレッドシート上のデータがBIツールであるLooker Studio上のダッシュボードに反映され、朝8時からの経営会議で最新のデータを確認しながら話し合われる、という流れです。また、同時にリスティング広告の分析用データも集計されており、広告運用に役立てています。

西:今のお話しだけでも以前の大変さが伝わってきますね……。改めて、今回の取り組みで解決されたかった課題を教えてください。

大西:手作業でデータ集計をしていたためにヒューマンエラーが起きていたり、アルバイトの方が休んでしまうとその日は最新のデータが確認できないという問題がありました。

しかし、それ以上に解決したかったコアな課題は、弊社が収集した顧客データや「モゲチェック」上のログデータ、各媒体での広告運用データを集約できていなかったことです。各データを集約することで、運用型広告の入札戦略における自動最適化の精度を高めたいと考えていました。

この課題の解決は事業へのインパクトが大きく、最優先で取り組まねばと考えていたのですが、マーケティング部には充分な開発リソースも課題を解決できるクリティカルなアイデアも足りていない状態だったのです。

データ活用とデジタルマーケティング、両方に強み。解決すべき課題と解決策に対する解像度の高さが取り組みの決め手に

MFS 布施さま

西:貴社が抱えていた課題を解決するためには、貴社のビジネスモデルに適したDMPを構築する必要がありました。システム構築のパートナー企業を選定する上で、どのように比較検討されましたか?

大西:データ活用にも強みがある広告代理店さんや、データ活用支援を手掛けている開発会社さんにご相談して比較検討しました。まず広告代理店さんに相談したところ、広告運用も請け負うことを条件としたシステム構築を提案されました。弊社では、より精度の高い広告運用を実現しつつ、運用手数料分も広告費に回すためにインハウス化しているため、そもそもの条件が合いません。

また、データ活用に強みがある開発会社さんに相談したところ、解決すべき課題と要件を正しく理解していただけている実感がありませんでした。過去に似たような実績がなかったこと、デジタルマーケティングに関するノウハウが不足していたことが大きな要因だと思います。

西:今回のご相談よりも半年ほど前に、MFSさんとはもともとCVR改善のお取り組みをさせていただきました。ただ、今回の課題と同じ原因で改善施策がどうしてもスタックしてしまい、もどかしく感じたことをよく覚えています。改めて、今回のDMP構築をTHE MOLTSにご依頼いただいた決め手をお聞かせください。

大西:まず、西さんと何度も会話を重ねる中で、解決すべき課題と技術的な解決策についてしっかり理解されていると思えたことに安心感を抱きました。こちらからの投げかけに対して、「こうすればいいのでは」とポンポンとアイデアが出てきたのです。それらのアイデアは、データ活用とデジタルマーケティングの両方を深く理解していなければ生まれないものでした。

こうしたいくつかのアイデアが私が思い描いていたシステムに欠けていたピースのようにピタッとはまる感覚があり「これならば、いける」との自信を得たことで、THE MOLTSさんへのご依頼を決定しています。

フラットな観点からRPA「RaQubo」を選定。広告媒体やGA4のデータを統合し、活用するためのデータフローとは

デジタルワークス 倉内さま

西:今回構築させていただいたDMPは、検索エンジンで似たような事例を探しても見つからない、前例のないオーダーメイドで構築することになりました。今回構築したデータフローをおおまかに説明すると、以下のような流れです。

  1. GA4から広告媒体ごとのデータを抽出し、RPA「RaQubo(ラクーボ)」やETLツール「TROCCO®」によってGoogle BigQueryへ データを転送
  2. Google BigQuery上で、広告媒体・GA4のデータを統合
  3. ETLツール「TROCCO®」によって、対象データを各媒体の広告管理画面、GA4に送信

西:今回のDMP構築にあたっては、デジタルマーケティングの実務に詳しく、RPAの構築をお願いできるパートナー企業として株式会社デジタルワークスの代表取締役である倉内さんにお声がけしました。

倉内:弊社ではミッションとして「テクノロジーで『働く』をアップデート」と掲げており、自社ツールのRPAであるRaQuboをはじめ、テクノロジーを駆使することでお客さまにベストな仕組みをご提供しています。また、私自身、以前は大手のインターネット広告代理店に在籍していた経験もあるため、媒体特性に対する理解が必要だった今回のようなDMP構築の案件はまさに得意分野でした。

西:THE MOLTSには、プロジェクトの成功から逆算して考え、成果を最大化できるベストなチームを組成、提供するというカルチャーがあります。実際に「社内のリソースに余裕があるから」といった自社都合の理由でメンバーをアサインしたことはありません。

本プロジェクトにおいても同様で、今回はデジタルマーケティングとRPAの両面における豊富な知識と経験が求められたため、この領域のプロフェッショナルである倉内さんに参画いただきました。

大西:RaQuboとTROCCO®を選定にあたっては「必要なツールを、必要な場所で使う」というとてもフラットな判断だったと思います。会社同士の政治やひいきがなく、私たちの課題を解決するという視点にたったデータフローの設計とツールの選定、そしてデジタルワークスさんのアサインも同様だったと思います。

また、THE MOLTSさんにツールの選定もお願いできたことで、問い合わせ窓口を一本化できました。もし今回のように複雑なデータフローを自社だけで構築した場合、どこかでエラーが起きれば各所に連絡をしたり、それぞれ個別のエラー対応をしなければなりません。その手間をTHE MOLTSさんにお任せできたのは、社内の開発リソースが不足している弊社にとって助かりました。

広告運用の効率化で、四半期の売り上げがQoQで過去最高の売り上げを達成。抱えていた課題を解決し、CV計測がより精緻に

THE MOLTS 西

西:デジタルワークスさんにご協力いただき、ご依頼から2〜3ヶ月でDMPの構築と運用が軌道に乗ってきました。現段階で、広告運用ではどのような成果が得られていますか?

布施:「モゲチェック」では、四半期での売り上げが過去最高を更新しました。施策別で見てみると、やはりGoogle広告の調子がよかったため、THE MOLTSさんとの取り組みによるデータ連携の恩恵を受けた結果だと思います。

一般的に広告費を増やしていくと、広告の効率指標(CPC, CVRなど)が鈍化していきCV数が伸び悩むようになります。しかし今回の取り組み後の成長では、広告の効率を落とすことなくCVを伸ばせているのが特徴的ですね。

西:非常に嬉しい成果です。理論上は予測できる成果ではありましたが、本当に実現できていると聞けて一安心しました。以前抱えていた、広告運用の課題はいかがでしょうか?

布施:媒体のクリックIDとGA4のデータ、モゲチェックの基幹データをDMPで結びつけられるようになったことで、CV計測を精緻化でき、出稿するKWは変えずにキャンペーン構成を最適化することができています。

もちろんある程度手動による入札調整はしていますが、以前に比べて広告グループは半数以下に減り、広告運用でチェックする項目が確実に減りました。体感で広告運用の作業時間が1/3近く減り、入稿や入札のヒューマンエラーも防げていると思います。

さらに浮いた時間を広告のクリエイティブを考える時間に充てたり、YouTube広告といった別媒体での施策にリソースを配分したりと、以前よりも業務の幅を広げることに成功しました。

倉内:これほど狙い通りに成果が出たプロジェクトはなかなかありません。弊社のRPAも設計通りにデータフローのお役に立てて嬉しいですね。

「まるで必殺仕事人」。プロジェクトの要件に最適なプロフェッショナルをアサインし、予定していたシステムを予定通りに

大西:今回、THE MOLTSさんにDMPを構築いただいたことで、今まで結び付けられていなかったデータ同士を統合できるようになりました。主に広告運用で活用してきましたが、今回得られた知見をもとにモゲチェックユーザーの行動分析や、動画施策の企画などにも活用していきたいですね。

西:ありがとうございます。取材の最後に今回の取り組みを総括し、一言で表すとどのように評価いただいていますか?

大西:THE MOLTSの方々も、今回アサインいただいたデジタルワークスさんの倉内さんも、まるで必殺仕事人のような存在でした。西さんはデータ分析とデジタルマーケティングのプロフェッショナルで、倉内さんは業務効率化と仕組み化のプロフェッショナルでした。

そして、私たちの困り事を正確に汲んでいただいただけでなく、小回りよく臨機応変に対応いただきながら、予定されていたシステムを予定通りに構築いただけた仕事ぶりもまさに必殺仕事人でしたね。A/Bテストの実施やCVR改善など、今後も引き続きお力添えいただけると嬉しいです。

著者情報

MASAHIRO NISHI

西 正広

Marketing Strategist / Data Analyst

業界歴15年。データ戦略の立案、アクセス解析、CVR改善、データ活用基盤の構築などを担当。電通デジタルを経て2019年MOLTS参画。

担当領域の
サービス

  • マーケティングリサーチ
  • コミュニケーションプランニング
  • SEO
  • アクセス解析
  • CDP/DMP構築・運用

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