<乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X>



ここが前世で夢中になっていた乙女ゲーム『FORTUNE    LOVER』の世界で、自分がゲームの主人公の恋路を邪魔する悪役令嬢である。公爵令嬢のカタリナ・クラエスは、頭を石にぶつけた拍子に前世の記憶を取り戻す。カタリナに用意されている結末は、ハッピーエンドで国外追放か、バッドエンドで殺されてしまうのか。そんな破滅フラグは回避して、幸せな未来をつかもうとするカタリナに、新たな危機が押し寄せる。

<西部魂>



41年、米。ロバート・ヤング、ランドルフ・スコット。電信線の拡張を計画する会社の技師の男性は、調査中に落馬して重傷を負うが、偶然通り掛かった男性に救われる。やがて、工事に着手する作業員の募集を始めた技師は、自分を助けてくれた男性と再会する。フリッツ・ラング監督。

<ルパン三世    THE    FIRST>



19年、2019映画”ルパン三世”製作委員会。声・栗田貫一。アルセーヌ・ルパンが唯一盗むことに失敗したという秘宝。その謎を解き明かした者は莫大(ばくだい)な財宝を手にできるという。祖父の因縁の宝を狙うルパン三世は、考古学を愛する少女と出会い、協力して謎を解くことに。だが、秘宝を狙う秘密組織の研究者と、組織を操る謎の男性が2人の前に立ちはだかる。山崎貴監督。

<ワイルド・スピード    ICE    BREAK>



17年、米。ビン・ディーゼル、ドウェイン・ジョンソン。カーアクション映画のシリーズ第8弾。固い絆で結ばれた、すご腕ドライバーの集結するチーム。誰よりも仲間を大切にしてきたリーダーが、ある女性に背後から操られてチームを裏切った。チームが崩壊の危機に陥る中、仲間たちは宿敵と手を組みリーダーを取り戻そうと奮闘する。F・ゲーリー・グレイ監督。

<万能そぼろ>




ひき肉は、火通りが良く、お財布にも優しいお手軽な素材。豚と牛の組み合わせが合いびき肉として一般的ですが、各種の料理に使いやすいのは、豚ひき肉。特にお勧めしたいのは、豚と鶏の1対1の合わせ技です。


もちろん、肉だねとしてもおいしいのですが、ぜひ作ってほしいのは「そぼろ」。豚肉のうま味とコク、やわらかさと、鶏肉のあっさり、すっきりした味わい、さらに両方の良さを発揮します。


香り付けのニンニクとショウガと炒めれば、和、洋、中華、エスニックと何にでも使える万能食材です。玉ネギのみじん切りを炒め合わせ、しっとりとやわらかさを長持ちさせることで、作り置きにも重宝します。


ひき肉は空気に触れる表面積が広いので、ひきたてからすぐに酸化が始まり、鮮度が良くても臭みが出ます。それを防ぐため、そぼろを作る際は、初めにひき肉だけフライパンに広げて焼き、脂を出し切ってから、他の材料や味を加えます。このひと手間で、さっぱりとした味わいになり、ひき肉の格が上がります。


丼の他、スープや炒め物にも使ってください。

【万能そぼろ】




材料(作りやすい量)


豚ひき肉と鶏ひき肉各150㌘、玉ネギ¼個、ニンニクとショウガ各1かけ、A(みそとしょうゆ、砂糖各大さじ2)


作り方


玉ネギとニンニク、ショウガはみじん切りにする。フライパンにサラダ油大さじ1を入れて熱し、ひき肉を広げて2分焼き、出てきた脂を軽くペーパーで除く。玉ネギとニンニク、ショウガを加えて2〜3分炒める。中央をあけ、Aを入れて中火で煮立て、全体に水分がなくなるまで3分半煮詰める。(料理研究家・小田真規子)

<自転車と喉仏の骨折>




風を切って自転車を走らせると気分がいい。しかし、かなりの速度が出るので、ちょっとした接触事故で大けがにつながることも少なくない。私は必ずヘルメットをかぶっているが、米国・ロマリンダ大学医学部の調査によると、ヘルメットの装着方法によっては頭部は守られても、喉の骨が折れてしまう恐れがあるそうだ。


同大学医学部付属の救急救命センターに自転車による事故で運ばれてきた人たちの画像データを見ると、甲状軟骨、いわゆる男性の「喉仏」周辺の骨折が案外多いそうだ。原因は、ヘルメット装着時に顎ひもの締め付けが緩いため、事故の衝撃でヘルメットが後ろにずれ、後ろに引っ張られた顎ひもが喉頭部分を締め付けて起こるという。


甲状軟骨を折ると声帯が損傷される。声が枯れた症状を指す「嗄声」が長期間続いたり、食事を飲み込む動作に違和感が残ったりするそうだ。ヘルメットのひもをきつく締めると、その部分がかゆくなったり、息苦しさを感じたりすることもある。しかし思わぬけがを防ぐためにも、正しく装着してほしい。(健康アドバイザー・大西葉子)


<県内    第5波警戒>




県内で新型コロナウイルスの感染「第5波」への懸念が高まっている。全国では29日、初めて感染者数が1万人を超え、県内でも3日連続で新規感染者数が2桁となるなど影響が波及。特に宮崎市では感染拡大の傾向が見られ、同市は同日、緊急の街頭啓発を実施した。医療従事者はお盆など人流増加が予想される時期を前に「県内でデルタ株の感染が広まれば、あっという間に病床が逼迫する恐れもある」と警戒を強めている。


同市の街頭啓発は宮崎山形屋前で行った。戸敷正市長と市職員ら約40人が感染予防の啓発チラシと消毒グッズを帰宅途中の市民らへ配布し、不要不急の県外往来自粛などを改めて呼び掛け。戸敷市長は「感染拡大を早い段階で抑え込むため急きょ実施した」とし、「身近な人を守るための行動をお願いしたい」と訴えた。29日に発表された同市の新規感染者数は12人。感染「第4波」のさなかにあった5月22日以来、約2カ月ぶりに10人を超えた。県感染症対策室は「人口の一番多い宮崎市でいかに感染を広げないかということが、県全体の感染拡大を止めるためにも重要」と強調する。同市を含む宮崎・東諸県圏域では、直近1週間の人口10万人当たりの感染者数が9・0人(28日現在)に。県独自の感染区分「感染確認圏域(黄圏域)」から、「感染警戒区域(オレンジ区域)」に引き上げる目安の一つである「10・0人」に近づいている。


同対策室は会食制限などの可能性があるオレンジ区域の指定について「新規感染者数のほかにも、感染の拡大状況などを総合的に判断する」としつつ、「今後も10人規模の感染確認が続けば、指定が必要になる可能性がある」との危機感を示した。


串間市民病院の江藤敏治院長は「首都圏をはじめとする全国の感染急増の影響が、夏季休暇などで人の移動が活発になったことで県内にも波及している」と分析。感染力の強いデルタ株が都内で急拡大し、県内でも確認されていることに触れ「デルタ株は若年層でも感染や重症化のリスクが高い。油断せず感染防止を徹底してほしい」と呼び掛けていた。


<女性7人に乱暴、福岡地裁「懲役41年」異例の判決>




2018年7月〜19年12月にかけ、女性7人を乱暴して金を奪ったなどとして、強盗強制性交などの罪に問われた福岡市南区の無職今泉成博被告(44)の裁判員裁判の判決が29日、福岡地裁であった。溝国禎久裁判長は刑法の規定に基づき、懲役16年と懲役25年(求刑懲役15年と同25年)を言い渡した。合計で「懲役41年」の異例判決となった。有期刑の上限は懲役30年だが、今泉被告は一連の事件の間の19年10月、別事件で執行猶予付きの有罪判決が確定。刑法は禁錮以上の判決が確定した場合、その前後の罪は分けて裁くと規定している。


<受け入れ余力ない>




新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、中等症以下の患者を受け入れる東京都内の病院を密着取材した。重症であることが突如判明した患者の命を守るため、看護師らスタッフはどう動いたのか。


新規感染者が2848人と過去最多を更新した27日の午後4時。中等症以下の患者を受け入れる大同病院(東京都豊島区)に民間救急サービスの車が着いた。41歳のネパール国籍の男性が、ウイルスの拡散を防ぐ玄関前の「陰圧テント」に重い足取りで入っていく。日本語は簡単な言葉しか話せない。


防護服姿で問診した看護師長隅田みどり(49)は異変に気付き、大きな声を上げた。「バイタル取ろう」。バイタルは脈拍や血圧といった生命の兆候を指す。男性にはせきや頭痛、息苦しさの症状があった。


「車いす持ってきて」。男性はビニールをかけられた車いすに乗り、一般患者とは別ルートで裏口から病院に。肺のコンピューター断層撮影(CT)検査をするためだ。


重症だと分かり、事務長の加藤進(44)は「このままだと帰せない」と区の保健所に電話をかける。「至急入院調整しないと」。しばらくして看護師から報告があった。「CT真っ白です」。「まじか…」午後4時半。検査を終えていったん外に出た男性は意識もうろうだ。鼻にチューブを付けて酸素の投与が始まる。「鼻から吸って。大丈夫?」。隅田がゆっくりした日本語で声を掛ける。「ここ苦しい?」胸を指さしながら尋ねると、男性はうなずいた。


「搬送先が見つからなかったら、うちに入れる」。重症患者の治療を担う医療機関での受け入れは難しく、男性は感染の疑いがある患者を一時的に入院させる病室にとどまることになった。


病院の2階ではスタッフ総出で受け入れ準備が始まり、看護師らが慌ただしく動き回る。隅田は男性の背中をさすりながら「もうちょっと頑張って」と励ました。


午後5時前、病室の準備が整い、男性は車いすに乗って裏口から再び院内へ。ぐったりしたまま防護服姿の看護師に迎えられ、室内に入った。「このまま家に帰っていたら、間違いなく亡くなっていた」と加藤。「これがコロナ患者を受け入れている小さな病院の現状です」と疲れ切った表情で話した。


加藤の携帯電話にはひっきりなしに着信があった。取材終了間際の午後6時すぎにも大きな音が鳴った。26日に酸素の投与を始めた90代の男性が重症化したという連絡だった。加藤は嘆く。「もうキャパ(キャパシティー)オーバー。ここ数週間、余裕も余力もなくなっている」


大同病院は昨年4月からコロナ患者の受け入れを始めた。看護師は日替わりで患者を受け持ち、全員が治療に関わっている。記者は26日も発熱外来に密着。隅田らは地域医療を守るために奮闘していた。他の看護師から悩みを打ち明けられる隅田は言う。「医療従事者は我慢してる。使命感というより『仕方ない。やるしかない』って感じかな」

<益川敏英さん死去>




ビッグバンで始まった宇宙は物質だけでなく、物質と出合うと光となって消滅する「反物質」が同量生まれたはずだが、なぜか物質だけが存在する。死去した益川敏英さんは、研究仲間の小林誠さんとともに、この謎に迫る「小林・益川理論」を打ち立て、2008年にノーベル物理学賞を受賞した。冷静な小林さんと率直でユーモラスな益川さんの対照的なコンビが注目を浴びた。


科学者としての原点は、父一郎さんだった。電気技師を目指しながらも砂糖屋を営んでいた一郎さんは、銭湯への道すがら「月食が起きる理由」や「モーターはなぜ回るか」など科学の知識を分かりやすく教えてくれた。


高校時代、素粒子(そりゅうし)理論の基礎を築いた故坂田昌一名古屋大教授の活躍を新聞で読み「地元にこんなすごい人がいる」と物理学者への道を目指す。


「小林・益川理論」のアイデアが生まれたのは、自宅での入浴中。物質と反物質の謎につながる問題について、素粒子クォークを4種類とするモデルであらゆる可能性を考えていた。うまくいかず、無理だと結論を出したそのとき、呪縛が解けたように「6種類のモデルだったら」と思い付いた。小林さんと1973年に論文を発表。その後、6種のクォークは全て見つかった。数学や理科は得意だったが、外国語や漢字は大の苦手。国際会議への招待を断り続け、ノーベル賞授賞式への出席が初めての海外渡航だった。式に先立つスウェーデンでの記念講演は異例の日本語で通した。「学校の宿題はほとんどしなかった」など、”益川節”で会場を沸かせた。


5歳だった45年3月、名古屋の自宅に米軍が焼夷弾を落としたことがあった。不発弾で難を逃れたが、強く記憶に残るこの戦争体験が晩年の活動につながった。


「科学者として学問を愛する以前に、人間として人類を愛さなければならない」。恩師の言葉を胸に、研究の軍事利用に警鐘を鳴らした。軍事研究に否定的な声明を出した日本学術会議の新会員候補を政府が任命しなかった問題でも、2020年10月に「学問に対する冒瀆行為」と抗議する声明に参加。「戦争ができる国」への道を人一倍危ぶんでいた。(共同通信記者    前田有貴子、七井智寿)

<70代受難の年>




「○○病院ですが、奥さまが交通事故に遭い診察を受けています。今から病院に来ていただけますか」。この電話がかかってきたのは、昨年6月下旬の夕方。「散歩からそろそろ帰って来る時間だな」と、思っていた直後である。「ええー!」。ビックリするやら信じられないやら。


昨年7月、本紙万年筆欄に『よろしく70代!』の題で投稿作品が掲載された。それには「これからどのような70代が待ち受けているのやら…」とある。「なんてこった」。投函した明くる日にこんな試練がやってこようとは。


病院に駆け付けると、閑散とした中に、妻が不安そうに長椅子に座っている。ひどくはなさそうなので安堵したのもつかの間、2日目を過ぎた頃から、両脚、特に膝回りが赤黒く腫れてきて、歩くのもやっとに。原因は、青信号の横断歩道を渡っていたところ、右折車に軽く接触され、倒れたはずみに両膝の靱帯を損傷したらしい。それから約5カ月間は、整形外科と整骨院で治療を受け、何とか普段の生活ができるまでになった。


家族で人身事故は初めて。その間、相手方の自動車保険担当者からの、再三にわたる現状確認や治療打ち切りをにおわせる電話。こちらも急ごしらえで保険の勉強をして臨むも、相手はその道のプロ。70代初年度はまさしく受難の年でもあった。今では、事故前と比べ遜色なく回復。大事な朝夕の膝ストレッチは、いつしか私も一緒に励んでいる毎日である。(工藤    政則・都農町・71歳)


<夢とは?>




80年も昔のことなのに昨日のことのように思われて、恥ずかしいような、またわれながらいとおしいような気持ちになる。


女学生になって何もかもがわくわくの毎日だったし、特に国語の先生は若くてきれいでみんなの憧れだったから、国語の時間が待ち遠しかった。「今日は作文を書いてもらいましょう」と黒板にテーマ「夢」と書かれた。友達は早速、原稿用紙に向かっている。でも私はいくら考えてもこのところ夢は見ていない。見たように思うが朝起きたら全く何も覚えていない。書くことがないのでそのままを書いて提出した。先生が私の原稿用紙を見て噴き出されたのを今でも思い出す。その時にはなぜ笑われたのか分からない末っ子の、おっとりの私だった。その後しばらくは兄、姉からばかにされたのは言うまでもないが、私は自慢ではないがクラスで優等生の4人の中に選ばれていた。この年まで夢はたくさんあったが、ほとんどが中途半端で終わっているのは、私自身努力が足りなかったからだろう。でも大きい夢も小さい夢も、それが実らなかったとしても、夢を見ている間は私自身楽しく幸せだったと思っている。


この年齢になっても忘れることのない、楽しく夢のような学生時代を過ごさせてもらった両親に、遅いけれど今、ありがとうを何回も何回も心の中で言っている私である。(河野    中子・日向市・95歳)


『逃げ道の先は行き止まり』




本田望結(みゆ)は俳優としても活躍するフィギュアスケート選手。2004年生まれというから、まだ若い。きょうの言葉は、だからこそ私の心に響いたのだと思う。


人は、年を取ってさまざまな経験を積むにつれ、逃げることの大切さが分かってくる。つらいときに我慢すると状況の悪化を招く場合も多い。ドラマのタイトルではないが、「逃げるは恥だが役に立つ」場合もある。集団生活でいじめに遭ったときなどは、逃げ出すのが最も賢い選択でもある。しかし、逃げることに慣れてしまうと、踏みとどまるべき場面でも逃亡を選択してしまうことがある。これは厳に戒めなければならない。


私はかつて出版関係のパーティーの席上で失言をし、ある人を怒らせてしまった。不特定多数の人と会うのが怖くなり、その手のパーティーには足を運ばなくなった。逃げてしまったわけだ。結果、業界の人間との付き合いが大幅に減り、新しい仕事をつかむチャンスを失ってしまった。まさに「行き止まり」にぶち当たってしまったのである。きょうの言葉は、常にベストを尽くそうという若い情熱から生まれた理想の言葉かもしれない。だからこそ、人を初心に立ち返らせる強い力がある。(翻訳家・矢口誠)


<自宅療養死どう防ぐ、コロナ国内感染1万人超>




新型コロナウイルスの新規感染者は29日に初めて1万人を超え、流行「第5波」はさらに鮮明になった。感染拡大が顕著な首都圏では、自宅療養の患者が急増。病床が逼迫すれば、必要な医療を受けられなくなる恐れもある。かつて大阪で相次いだ在宅での死亡は防げるのか。医療団体のトップらは一堂に会し、危機を訴えた。


「感染拡大を食い止めるため、あらゆる手だてを尽くすべきだ」。29日夕、日本医師会や日本看護協会の会長らが顔をそろえて緊急記者会見を開き、9団体合同の声明を発表した。5月が感染のピークだった「第4波」では、大阪で「医療崩壊」が現実となった。重症者用病床は不足。患者が入院を望んでも断られ、自宅療養者は一時1万人を超えた。入院を待つ間に死亡する事例が相次ぎ、医療現場に大きな”トラウマ”を残した。


声明は「平時ならば救えた生命を失うことはあってはならない」と強い対策を要望。政府は首都圏3県と大阪府に緊急事態宣言を追加発令する方針だが、五輪開催が宣言の効果を減退させているとの見方もある。


1日当たりの新規感染者数が3日連続で過去最多を更新した東京都。入院も含めた全療養者数は29日時点で1万8910人となり、1週間で7千人以上増えた。自宅療養者は約4千人増の8477人、宿泊療養は1819人。療養先を調整中の患者は、ほぼ倍増し5575人に達した。


都医師会の猪口正孝副会長は29日、都のモニタリング会議後、夏場に入ってコロナだけでなく脳卒中や心筋梗塞の患者も増えていると指摘。「救急車が現場に着くのに遅れが生じており、医療全体が逼迫している」とし、自宅療養者が増えれば目配りのために医療資源が割かれると懸念する。


都は26日、コロナ病床を拡充するよう医療機関に要請したが、医療現場には不満がくすぶる。豊島区の大同病院は全60病床のうち1割をコロナ患者に充てる。昨年4月以降に約140人が入院し、10人以上が亡くなった。副院長の島本周治医師(48)は「コロナ病床を増やしても、患者を受け入れられるマンパワーがなければ対応できない」と明かした。


神奈川県でも自宅療養者は急増。28日時点の3971人は6月30日の4倍に迫る。県は症状悪化リスクが高い人を対象に、看護師が毎日電話で健康状態を聞き取っている。担当者は「対象者が日に日に増え、現場からは電話をかけるだけでも大変だとの声も聞く。一人でも多くの人手を確保しなければならない」と話す。


感染者が増加すれば、時間を置いて入院患者や重症者も増える。厚生労働省にコロナ対策を助言する専門家組織のメンバー、太田圭洋(よしひろ)・日本医療法人協会副会長は「このままでは、遠からず東京で医療崩壊が起きてしまう」と警告する。他の病気の診療を制限してコロナ対応に集中するという「最後の切り札」(太田氏)を切ってしまったからだ。


東京医大の浜田篤郎特任教授は警鐘を鳴らす。「若い人でも酸素投与が必要なケースが増えており、医療の逼迫は既に起きている。このまま感染増が続けば、入院が必要な人があふれて医療機関に収容しきれなくなるだろう」

<「経験したことない急拡大」地方に染みだし懸念>




政府は想定を超える新型コロナウイルス感染の急拡大に困惑を隠せずにいる。緊急事態宣言の対象を拡大しても「コロナ慣れ」の広がりで実効性は期待薄だ。感染力が強いインド由来の変異株(デルタ株)への置き換わりは着実に進み、東京五輪や夏休みによる人出増加と相まって、都市部から地方への感染の「染みだし」に懸念が募る。


「大変な危機感を感じている。今の感染を下げる要素があまりない」。政府の対策分科会の尾身茂会長は29日の参院内閣委員会で訴えた。厚生労働省に助言する専門家組織も28日の会合で「経験したことのない感染急拡大」と位置付け、今後の感染増を予想した。尾身氏は最大の理由として「コロナ慣れ」「自粛疲れ」による危機感の欠如を挙げた。菅義偉首相は東京への4度目の宣言発令後に人出が減少していると訴えるものの、尾身氏は「期待されたスピードではない」と断言。4月に大阪で起きたような医療体制の逼迫もあり得るとし、自宅療養者の急な重症化による死者増にも備える必要性を指摘した。


国立感染症研究所の推計によると、東京でのデルタ株への置き換わりは77%。首相は7月8日の記者会見で「ワクチンを1回接種した人が人口の4割に達したら感染者の減少傾向が明確になる」との分析を披露したが、デルタ株まん延後は有効性が疑問視される。


行動抑制を促す首相や知事の発信力の弱さも不安材料だ。政府高官は「もう宣言を出せばいいという局面ではない。病床逼迫を起こさない方法が大事だ」と説明。ワクチン接種や重症化を防ぐ治療薬の普及に期待をつなぐ。だが、尾身氏は感染率が高い若者の接種までに時間がかかることから「ワクチンの効果はこれからだ」とした。

<国内感染1万人超>




新型コロナウイルスの感染急拡大が続き、29日に国内で新たに確認された感染者は1万693人と初めて1万人を超えて最多を更新した。感染力の強いデルタ株が都市部を中心に猛威を振るっており、政府は埼玉、千葉、神奈川、大阪の4府県に緊急事態宣言を追加発令する方針を固めた。北海道、石川県、京都府、兵庫県、福岡県には、まん延防止等重点措置を適用する。いずれも8月2日から31日まで。宣言を発令中の東京都、沖縄県も8月22日の期限を31日に延長する。7月30日に正式決定する。


東京五輪の開催中に対象地域を追加し、8月24日開幕のパラリンピックにも期間がかかる異例の事態となる。菅義偉首相は29日、西村康稔(やすとし)経済再生担当相ら関係閣僚と官邸で協議。終了後、記者団に「強い危機感を持って対応している」と述べた。


重点措置を適用する道府県での酒類提供制限を強化する方針。一定の条件下で知事の判断に委ねてきた運用を見直し、感染が縮小傾向にあると判断されない限り認めない方向だ。


東京都では29日に3865人の新規感染者が報告され、過去最多を3日連続で更新した。神奈川県は1164人、沖縄県は392人となり、それぞれ最多を更新。千葉県では過去2番目に多い576人、埼玉県では同じく864人の新規感染が確認された。大阪府でも932人に上った。


東京都や神奈川県などでは病床確保計画の想定を上回る新規感染者が報告されており、今後病床逼迫が懸念される。


埼玉、千葉、神奈川3県の知事は西村氏とテレビ会議を行い、宣言発令を要請した。


政府は30日午前に開く専門家の基本的対処方針分科会に方針を諮り、了承を得たい考え。午後の国会報告を経て、同日中に開く政府対策本部で正式決定する段取りを調整している。


政府はこれまで、東京都と沖縄県に緊急事態宣言、埼玉、千葉、神奈川、大阪の4府県にまん延防止等重点措置を発出していた。

『少しづつ捨ててゆく夢雲の峰』


松元    裕子

こころ淋しい句。高齢になると多くの人が感じる感懐だろう。若いころ抱いていた志、思い描いた将来像の数かず。いつか日常生活のなかで埋没し、凋んでしまった。隆々と炎天をつらぬく積乱雲。あの雲の峰も間もなく崩れ、消えるように。それが人生の現実だと解ってはいるが、と気持ちの断面を示す。