「V型エンジン」が高級車にめっきり採用されなくなった根本理由

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環境規制や消費者のニーズが変化したことで、V型エンジンは衰退の道をたどっている。トヨタをはじめ、国内外のメーカーは燃費効率の高い直列エンジンやハイブリッド、EVへのシフトを加速している。2032年には世界のEV市場が1.8兆ドルを超え、アジア太平洋地域が半数以上のシェアを占める見通しだ。複雑でコストのかかるV型エンジンが一般市場で復活する可能性は低いと考えられている。

V型エンジンの魅力とは

V型6気筒エンジンのイラスト(画像:本田技研工業)
V型6気筒エンジンのイラスト(画像:本田技研工業)

 パワフルでスムーズな動きを実現する「V型エンジン」。その魅力は、省スペースで高出力を発揮できることにある。例えば、V型6気筒エンジンなら、シリンダーが60度または90度の角度で配置され、コンパクトな設計が可能になる。

 このおかげでエンジンルームのスペースを有効活用でき、他の機器やシステムの配置も最適化できる。結果として、車全体のレイアウトが効率的になり、高級車らしいスタイルにも合うのが特徴だ。

 さらに、V型エンジンには低振動や高いエンジン剛性といったメリットもある。1950年代頃からフォーミュラーカーや高級車に採用され始め、国内でもトヨタや日産といった有名メーカーがV型エンジンを搭載した、パフォーマンスとエレガンスを兼ね備えた車を数多く世に送り出してきた。

 しかし近年、国内の高級車は直列エンジンやハイブリッドシステムへの移行が進んでいる。なぜ国産高級車はV型エンジンを搭載しなくなったのか、その理由を本記事で考察していく。

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