とりあえず、犬派である。
結婚後何年かしてから、まず猫から入った。某大学の構内に捨ててあった子猫を保護し、ブラックのベースにホワイトのカラーだったので「シルベスター」と名づけ一緒に暮らすことにした。不遇な環境にあったせいか、最初は馴染まなかった。猫にPTSDがあるかどうかは定かではないが、その種のものだったように思う。
時間の経過とともに次第に打ち解けていったが、心の傷は小さくなかったようだった。それから3年ほど経って、ウェストハイランド・ホワイトテリアの子犬が一緒に暮らし始めた。弱々しい印象が気になったので、強くなるように当時全盛期にあったボクサーにあやかって「タイソン」と名づけた。
この頃は共稼ぎだったので、昼間は2匹でお留守番(笑)。犬と猫のいるにぎやかで楽しい日々だった。しばらくすると、嫁さんが喘息を患った。検査の結果、猫の上皮細胞(毛など)がアレルゲンであることが判明。シルベスターは嫁さんの実家に里子に出され、のびのびとした環境の中で数年後に天寿を全うした。
1匹になってしまったタイソンは悪さを連発した。寂しかったのだろう。夜、家に帰るといろいろなものが散らかっていたりした。が、成長するとそれも収まった。それ以来犬ひと筋になり十年以上の時が流れ、すっかり犬派になった。
ウェスティという犬種は、頑固で好奇心が強くなかなか愛すべきキャラクターの持ち主。近所では人気犬だった(笑) 13年間ほぼ健康に恙無く楽しく暮らせたが、14年目の春、体調に変調をきたした。嘔吐が激しく食欲が急激になくなったので、急遽、本郷の家畜病院で精密検査を受けた。結果は胆管の癌だった。MRIの画像に写った握りこぶし大の癌の病巣を見て激しく衝撃を受けたことを、昨日のことのように思い出す。
そのまま入院し、点滴を受けた。一日おきに見舞いに行った。帰ろうとすると一緒に帰りたいとさりげなくアピールする姿が涙を誘った。1週間後、抗がん剤での治療に入ろうとした前日、病状が悪化。残念ながら手遅れだった。治療が難しい状況であると告げられ、それならばということで家に連れて帰った。
家で点滴をしながら見守った3日後の未明、断末魔の声を上げながら消え入るように逝った。その骸を抱えて天を仰ぎ号泣した・・・そして1年半後、我が家に子犬がやってきた。それがこのブログのロゴ写真の犬だ。名前はタイソン Jr.(笑)
ペットにもたくさんの物語がある。
#写真は、病院を見舞った別れ際、一緒に帰りたいと目で訴えるやつれた表情に目頭が熱くなった / May 2000 ; Canon IXY DIGITAL