2025.01.17

今年もドアラのように頑張ります!

犬神家の一族〈2006年〉

2006年12月17日(Sun) 00:00
映画 0
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【マクノスケ】
以前にも書きましたが、高校生の頃、金田一にハマって本を読み倒しました。特集本やらテレビシリーズもかかさずチェックしていましたが、やっぱりインパクトがあったのは、映画「犬神家の一族」です。あれから30年ですか…。あ~私も年を取ったわけだ。(笑)なぜ今リメイクなのか…その答えを探しに劇場に足を運んでみたわけですが…。

ここからはねたバレを含みますので未見の方はご注意を!

ほとんど…と言って良いほど、同じセリフ、同じ構図で映画が進んで行きます。見所はメインの3人(金田一さんの石坂さんと署長の加藤さん、それに神官の大滝さん)以外のキャストの演技なんですが、好みから言うと、やはり前回の方が良かったですね。特に松子は、冷酷さ、残忍さ、品格から言っても今回の富司純子よりも高峰三枝子の方が合っていたと思います。他にも猿造とか佐清とか今回も悪くないんですけど、両方ともちょっと線が細いというか…。
あとは那須ホテルの主人と女中さんですかねえ。それから謎の復員兵が泊まった商人宿の主人、これ前回はそれぞれ横溝正史、坂口良子、三木のり平が演じていたんですけど、今回、このキャスティングは如何なものかと。松子、佐清の富司純子、尾上菊之助の親子共演は、なかなか泣けるところもありましたが、珠世役の松島菜々子も前回の島田陽子の方が品があって合っていたかなあ。(松島菜々子は、ちょっと現代的過ぎる感じでした。)

風景もロケをせずにほとんどがスタジオ撮り、音楽はテーマ2曲を前作の大野雄二さんの曲を使っていましたが、それ以外はさほど印象に残らず…こちらもイマイチ。ラストの金田一さんが去っていくシーンも前回の汽車に乗って行く方が哀愁に満ちていて印象的だったのに対し、今回はあのあぜ道ってどこ?…とツッコミを入れたくなる程。いや、でも、なんか、あのラストの石坂さんの微笑みが、私がこの世で見る最後の金田一さんの姿のような気がして来て、ちょっと涙ぐんでしまったりしたんですけどね。
前回、犬神竹子、梅子を演じていた三條美紀と草笛光子が、別の役で出演しているところが面白かったかな。
ちなみに帰宅後、DVDで前作を、金田一さんが珠世さんを湖から救うところまで見ちゃいました。コマ割したような編集など、あの頃の演出好きだったなあー。

【マクタロウ】
私には市川崑監督が何をやりたくて「犬神家の一族」をリメイクしたのかがわからない。
あえて皮肉を言わせてもらえば、「1976年版の素晴らしさが改めて分かる」という点が理解できるだけだ。

往年の切れのある演出、カット割りを望むのは無理だということは、ここ数年の作品(「八つ墓村」「どら平太」)を観てわかっていた。では本作はどこが売りになるのか、見所はどこなのかと思っていたのだが、こうもオリジナル通りの展開、台詞まわしではどこを観てもらいたくて映画化したのかが理解できないのだ。
屋内の撮影はセットを使っているようだが、オリジナルにあった「日本家屋の暗さ」というものが無く、薄っぺらに感じる。
役者も同様、オリジナルを超えて良かったと言える人はいない。特に重要な役の松嶋菜々子、脇役ながらコメディーリリーフとして際だつはずの深田恭子は良くない。富司純子も、悪くはないが高峯三枝子の貫禄には及ばない。

これだけのキャストをそろえ予算も使うのならリメイクなどせず、市川監督が映像化していない他の「金田一もの」を撮った方が良かったのでないか。


■日本映画史上最高のミステリー
[監][脚]市川崑
[原]横溝正史(角川文庫刊)
[出]石坂浩二 松嶋菜々子 尾上菊之助 富司純子 松坂慶子
 萬田久子 奥菜恵 深田恭子 加藤武 中村敦夫 仲代達矢
[制作データ] 2006東宝 [上映時間] 135分



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