硫黄島からの手紙
ねたバレ注意!
【マクノスケ】
クリント・イーストウッド監督による「硫黄島」の闘いを日本側から描いた2部作目。
マクタロウとマクタロウの母と3人で見て参りました。宣伝や予告では渡辺謙演じる栗原中将が主役のように語られていますが、本当は二宮和成演じる西郷が主人公。
身ごもった妻や子供のために「かならず生きて帰ってくる」と言って硫黄島で闘う事になった西郷を通して、忠誠心の為に散っていく者や過去を背負い、死ぬ事よりも生きる事の大切をさを知った男、日米を問わず自分の正義の為に闘う男など、戦場で散って行ったさまざまな男たちの姿が語られていきます。リアルな自決シーンや悲惨な展開に驚きつつ、愛国心だけに流されない、地に足がついた展開に、この映画の持つ意義や意味を感じました。主人公が戦争を否定しているという設定が、見ている現代の私たちと同じ視点になっているところが良かったのではないでしょうか?
他にも伊原剛志が演じたバロン西が良かったですね。高潔で最期まで男らしくて素敵でした。彼が助けたアメリカ兵の手紙を読むシーン、乗馬のブーツを抜いて銃を足で押さえ自決するシーン、涙なしでは見られませんでした。
もうひとり、良かったのは加瀬亮演じる憲兵だった清水ですね。
スパイではないかとストーリーを引っ張り、やがて彼の過去が明らかになる。そのあと、西郷に共感し、投降するわけですが、その時に写る千人針…。あそこに置いていったという事がどういう事だったのか…あとから、そういう演出だったのかとわかり、 素晴らしい演出と清水の死を悼む西郷(二宮くん)の演技に泣きました。
それにしても、こういう映画を撮ったのがハリウッドっていうのが、ちょっと悔しいですよね。出来れば、日本でこういう映画が作れたらいいのになあとつい思ってしまいました。今回も、音楽でも泣けます!
【マクタロウ】
これほど贅沢で質の高い「日本映画」も、最近ではまれだろう。
いや、本作はアメリカ映画だということは重々承知の上で、あえて言えるのである。
しかも監督はクリント・イーストウッド。
「父親たちの星条旗」に続き、これだけクオリティの高い作品を立て続けに2本も監督できるということに驚く。
しかし、イーストウッドらしい作品か?といわれると、やや複雑な感情もある。前作もそうだが、「戦争」というテーマに飲み込まれてしまったのかと感じた。ただし、これは作品の出来とは別の話。
物語は二宮和也演じる西郷の目を通して語られていく。
彼は硫黄島の戦場を転戦し、最後には負傷、捕虜となり生きのびる。生きのびなければいけなかったのである。
なぜなら、彼は私達だから。私達観客の代表であり、戦場で起きたこと、戦争のことを語り継がねばいけないからである。
西郷に限らず、人物配置やキャラクター設定も巧みである。どこまでが史実通りなのかはわからないが、バロン西(伊原剛志)が見せる「敵兵も人間である」というエピソードと、そのことにより投降を決意した清水(加瀬亮)の理不尽な死が対をなし、戦争のやるせなさ、虚しさを感じさせる。
また、栗林中将(渡辺謙)や上記の西中佐という、軍人というより武人と言える人物の(やっていることは戦争だが)現実をしっかりと見据え対処する姿に共感を覚える。
たまたま母がこの作品を観たいと言うので一緒に行ったのだが、鑑賞後、普段聞いたこともなかった静岡空襲の話などをしてくれた。
もちろん私は本当の戦争を知らない。しかし本作のような映画や当時の人の話を通して「戦争」のことを少しは知ることができる。
この事こそが「硫黄島からの手紙」なのではないだろうか。
■硫黄島で散った男たちから届けられる、世界へのメッセージ。
[監]クリント・イーストウッド
[製]スティーブン・スピルバーグ
[出]渡辺謙 二宮和也 中村獅童 伊原剛志 加瀬亮
[制作データ] 2006米/ワーナー [上映時間] 141分
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