2012年11月21日
(FRP)離型剤に、気をつけろ!! 樹脂への着色について‥
マニアックネタですが、作る人たちには役立つ情報かと。
と、思ったのが一回目。
型から取り出した後、離型剤を擦り取っても、色が残っている感じ‥。
▲左:最初に樹脂を調色。 写真はテスト用のピース。左がオリジナル、一回目、2回目、3回目。 / 右:流し込みの様子。
今回はオリジナルの製品から型枠を作っているので、何個でも同じのが作れます。
樹脂は高透明な不飽和ポリエステル樹脂を使用。 調色後、硬化剤を混ぜ、流し込んで作っています。
ちなみに、樹脂は一度に1.5キロ程度使っています。
離型は万全を期して、初回はボンリースを数回かけてから、スプレー式のPVAで型枠の表面を保護。
ところが、離型してみると、緑が濃すぎます。
確かに、ガラス色に調色したはずなのに‥。
水性のPVA溶液を刷毛塗り。
今度はもっと色が付いてしまいました。
最初は調色の問題を疑ったのですが、これで原因がハッキリ判りました。
というのも、一回目のスプレーは緑色。2回目の溶液は濃い青色。
明らかに、それらの色が、製品を染めています。
▲左から、一回目、2回目、3回目。
流し込んだ側は色が薄く、反対側や下部は色が濃いという‥。
また、ワックスのカスも、下の方に固まっています。
⇐ 写真:液体PVAを使った際の、製品の破片。 アセトンで拭いても色は落ちません。
これまで、FRPを積層している時には気が付かなかったけど、ポリエステル樹脂は、わずかに離型剤を侵すんですね。
ワックスもPVAも、ほんの少し、樹脂の中に溶け込むようです。
(アセトンで拭いても、爪で擦っても、色は落ちません)
これは要注意。
特に透明度が必要とされる製品には、離型方法を選ぶ必要が有りそうです。
結局、3度めの正直。
ワックスだけで離型したら、本来の色で完成しました。
▲ほぼ同じ質感、色のレプリカ・シェードが作れました。 (整形前)
こういう工作って、手順のひとつひとつが、経験者のノウ・ハウとなります。
・大量の樹脂を硬化させる際の熱への対策
・凹凸の大きな表面を、正確に型枠に写しとる方法
・型枠の分割・抜き方のテクニック
・シリコンの使い方
・樹脂の中の気泡を完全に抜く方法
作業は大変でしたが、実に面白い工作でした!
と、思ったので追試してみました。
適当な容器にワックス&PVAの離型処理をしてから、樹脂を注ぎます。
⇒ 製氷皿が、樹脂や塗料の混合・調色に便利な件
念のため、ワックス有り無しの2回テストしてます。
一番上が液体のPVA。
やはり、色が残っています。
(左側は1時間ほど水に浸けておいたので、白く濁っています)
スプレータイプは、アセトンで拭くと、ほぼ完全に色が取れました。
製品の形状が複雑なため、アセトンでも落としきれなかったのが理由です。
歯ブラシにアセトンを浸けて擦り、シンナーで流してみますが、なかなか落ちない‥。 こんな面倒なら、新たに作ったほうが早いです。 (形状によります‥)
考察として、スプレータイプのPVAは、皮膜は強いもののPVAそのものが溶剤系なので、ポリエステル樹脂と接着し、落ちにくくなったと考えられます。
水性のPVAは、混ぜられた染料が融けだして、樹脂を着色する可能性が大。
(必要なら絵の具で着色できますし)
Posted by IGU at 15:43│Comments(0)
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