プログラム

基調講演

10:40-11:10

「“Open Innovation” by Makers」

小林 茂(Shigeru Kobayashi)

情報科学芸術大学院大学[IAMAS]産業文化研究センター 教授

イノベーションとは、新たな製品やサービスを市場に投入して顧客を創出する活動です。古くから、イノベーションを成功させるには単独の組織で完結するのでなく外部と協力することが必要であることが知られており、最近ではオープンイノベーションと呼ばれています。他のセッションに先立ち、オープンソースハードウェアやデジタル工作機械が当たり前になったメイカームーブメントの時代におけるオープンイノベーションの可能性と課題について紹介します。

小林 茂(Shigeru Kobayashi)

情報科学芸術大学院大学[IAMAS]産業文化研究センター 教授

慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科後期博士課程単位取得退学。博士(メディアデザイン学)。1993年より電子楽器メーカーに技術者およびシンセサイザーのサウンドデザイナーとして勤務した後、2004年7月よりIAMAS。主な活動にプロトタイピングのためのツールキット「Gainer」「Funnel」「Arduino Fio」の開発。著書に『Prototyping Lab』『+GAINER』など。2008年にIPA(情報処理推進機構)よりスーパークリエータに認定。レーザーカッターや3Dプリンター、3D切削加工機などのデジタル工作機械を活用し、多様なスキルや視点、経験を持つMaker(つくり手)を掛け合わせてイノベーションを創出するための拠点「IAMASイノベーション工房[f.Labo]」を運営。

セッション

11:20-12:30

セッションA「メーカーがつくるメイカースペースとメイカーコミュニティのいい関係」

これからのものづくりにおいて新しい挑戦をしていくには、メーカーとメイカー、両方の顔を持つ人々が混ざり合っていっしょにつくりながら進めていくことが重要です。このセッションでは、ソニーの新規事業創出プログラム「Sony Seed Acceleration Program」およびそのオープンな活動の拠点としてのデジタル工作機械を備えたオープンな工房「Sony-Creative Lounge」から生まれた、あるいは生まれつつある製品やサービス、活動などを通じて、その可能性や課題について議論します。そして、Sony-Creative Loungeを利用しながら多様なスキルや視点・経験を持つ人々が有機的に集まる品川のものづくりコミュニティ、「品モノラボ」に参加する人々の活動を通じて、メイカームーブメントが当たり前になった時代におけるコラボレーションのありかたを探求します。

田中 章愛(Akichika Tanaka)

ソニー株式会社 新規事業創出部IE企画推進チーム エンジニア

2006年筑波大学大学院修了、同年よりソニー(株)入社。2013年-2014年スタンフォード大学訪問研究員。機械・メカトロニクスエンジニアとして協働型ロボットやエンターテイメントロボットの研究開発や留学での研究活動を経て、2014年より新規事業創出プログラムSony Seed Acceleration Programの立ち上げ・運営に携わり、共創スペースCreative Loungeの企画運営やハードウェア製品のプロトタイピング・商品化・事業化に従事する。放課後には個人でのものづくりとして友人と始めたデザインユニットVITROで作品発表や世界最小級Arduino互換機8pinoの製品化、品川のモノづくりコミュニティ品モノラボの運営を通じ共創型モノづくりを追及している。8pinoにてGood Design Award 2014 Best 100受賞。

岡田 貴裕(Takahiro Okada)

ユカイ工学株式会社 エンジニア / 品モノラボ運営メンバー

2008年大阪大学大学院修了、2014年まで大手メーカーでスマートフォン設計に携わる。2014年よりユカイ工学株式会社にてコミュニケーションロボットBOCCO、Pepperのマホウノツエ、スマートロック等のハードウェア・ソフトウェア開発及び製造を行っている。品モノラボでは運営メンバーのひとりとしてメイカーが繋がるお手伝いをしつつ、新感覚カードゲーム「プロジェクションカード」の開発・販売を推進している。

15:10-16:20

セッションB「オープンソースハードウェアの可能性と課題—知的財産権と製造物責任から考える」

メーカーだけでは対応できない多様なニーズに応えるための方法として、ハードウェアとソフトウェアをオープンにして自由に派生物をつくれるようにする事例が増えてきています。しかしながら、そのためには知的財産権にくわえて製造物責任を適切に扱うことが重要な課題となります。このセッションでは、最近オープン化を戦略として採用したスタートアップの事例を紹介しながら可能性と課題を探りつつ、法律の専門家である弁護士も交えた議論を通じて、データが適切に運用されるためのリーガルデザインの重要性について理解を深めます。

水野 祐(Tasuku Mizuno)

弁護士、Creative Commons Japan理事

弁護士。シティライツ法律事務所代表。Arts and Law代表理事。Creative Commons Japan理事。慶應義塾大学SFC研究所所員。その他、FabLab Japan Networkなどにも所属。著作に『クリエイターのための渡世術』(共著)、『オープンデザイン 参加と共創からはじまるつくりかたの未来』(共同翻訳・執筆)、連載に『法のデザイン インターネット社会における契約、アーキテクチャの設計と協働』などがある。Twitter : @TasukuMizuno

山浦 博志(Hiroshi Yamaura)

exiii株式会社 CTO

東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。2010年よりパナソニック株式会社でデジタルカメラの機械設計に従事した後に独立。2014年よりexiiiの共同創業者として電動義手の開発にあたる。おもな受賞歴に東京大学大学院工学系研究科長賞、James Dyson Award2013 国際準優勝、第18回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門優秀賞、iF Design Award 2015 GOLD AWARD等。

白鳥 啓(Kei Shiratori)

株式会社 間チルダ 代表取締役

東京工科大学メディア学部卒業、国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)DSPコース卒業。2012年に「Matilde inc」を設立。心体の拡張をテーマに、先端技術を用いた作品を制作。人とメディアの可能性に注目し、音楽、映像、アプリケーション、プロダクト開発など幅広い分野で活動を行う。日本初のメガネ型ウェアラブルデバイス「FUN’IKI ambient glasses」の製品開発ディレクションを担当。クラウドファンディングにてプロジェクトを成功させた。

16:30-17:40

セッションC「半導体メーカーとメイカーの新しい生態系」

ハードウェアを構成する部品として半導体は不可欠で、特に多様なフロントエンドデバイスが求められるIoTの領域においてはセンサや無線通信、セキュリティなど活発に新製品が登場しています。そんな中で、従来は大きなメーカーだけを対象にしていた半導体メーカーや商社が、メイカーやスタートアップを対象にした製品やサービスによって新たなチャンネルを開く例が増えてきています。このセッションでは、そうした活動に力を入れているメーカーと商社からその取り組みの詳細を伺いつつ、メイカームーブメントの時代における生態系のあり方について議論を深めます。

岡田 裕二(Yuji Okada)

株式会社マクニカ イノベーション推進統括部 統括部長代理 General Manager of Corporate Innovations

大学卒業後、コンサルティング会社に勤務した後に、1996年マクニカに入社。シリコンバレーを中心とした海外半導体ベンチャーの国内立ち上げ、マーケティングに従事。2014年メイカーズ支援のためユカイ工学やチームラボと協働して、Mpression for MAKERS及びMacnica Online Storeを立ち上げる。Koshianなどプロトタイピングキットやオンライン技術サポート、メイカー×メーカー量産支援を通じオープンイノベーションによる新たなモノづくりの形をサポートする。

山崎 光男(Mitsuo Yamazaki)

Nordic Semiconductor ASAカントリー・マネージャー

Nordic Semiconductor 日本担当のカントリーマネージャー。日本企業にて開発設計業務、ロックウェルセミコンダクター、コネクサントにて無線製品の技術サポートに従事。その後米国および欧州の複数の新規企業にて、ワイヤレス製品(携帯関連・UWB関連など)・ネットワーク製品等で、日本市場の立ち上げに従事し現在に至る。

プレゼンテーション

メイカーとメーカーをつなぐモノづくりサポートプログラム Mpression for MAKERS

大野 謙司(Kenji Ono)

株式会社マクニカ イノベーション推進統括部 メイカーズ事業推進室 室長

米国TechShopのご紹介と東京店舗のオープンについて

有坂 庄一(Shoichi Arisaka)

TechShop Japan株式会社 代表取締役社長

TechShopはアメリカ発の会員制メイカースペース。メイカームーブメントの火付け役であり、大規模スペースに設置された本格的な工作機器や会員同士の共創によるアイデアの洗練やビジネス化、さらには地域コミュニティを巻き込んだオープンなエコシステムを形成されています。モバイル決済サービスのSquareも、ガラス職人がここでアイデアをカタチにしました。そんなTechShopのご紹介と、アジア第一号店となる東京店舗のオープン時期や概要をご説明します。

つながる印刷工場に向けた工場のAPI化とOPEN戦略のこれから

堀江 賢司(Kenji Horie)

堀江織物株式会社 マーケティング部部長 / 株式会社OpenFactory

地方印刷業においては、仕事が多品種適量生産に向かっていく中で工場をOPENにしていきAPI化していくことで、今までにない新しいサービスや商品を生み出すことができます。堀江織物は、繊維の街愛知県一宮において、デジタルプリントによる生地の印刷をしており、1メートルからオリジナルの生地がつくれるウェブサービス「 HappyFabric 」を展開しています。その中で感じたインターネットと「つながる工場」の可能性を考えます。

燕三条試作・小ロットプロジェクトが実施する「ものづくりベンチャー・サポート・プログラム」

牛膓 彰(Akira Gocho)

一般財団法人燕三条地場産業振興センター

北 洋祐(Yosuke Kita)

三菱UFJリサーチ&コンサルティング 研究員

新井田 満(Mitsuru Niida)

新井田鉄工所

「燕三条 試作・小ロットプロジェクト」は、ものづくりの街、新潟県「燕三条」地域において、金属加工業等を営むものづくり企業等12社が集う企業グループです。最近では、メイカーズムーブメントの高まりを受けて、メイカーな人々からの相談を受けることも多くなりました。この夏からは、そのような相談に対応し、製品開発を製造面で全面的にサポートする「ハードウェア・スタートアップ・サポートプログラム」を開始しました。