最新Webブラウザ、Web標準への対応度は?

 2008年になり、主要なWebブラウザのバージョンアップが相次いで行われている。これらのバージョンアップでは、Webブラウザ自体の機能強化が行われているほか、レンダリングエンジンについても積極的に改良が行われ、新たな機能が取り込まれている。そこで本記事では、最新Webブラウザが搭載しているレンダリングエンジンについて、それぞれが備えている機能やWeb標準規格への対応状況について比較していく。

 2008年8月末、Internet Explorer(IE)8のベータ2がリリースされた。IE8ではパフォーマンスの向上や、多数の新機能が追加されており、正式版リリースへの期待も高まっているのではないだろうか。しかし、大規模な改良が加えられているWebブラウザはIEだけではない。今年6月にはFirefoxの新版であるFirefox 3がリリースされているほか、同じく6月に公開されたOpera 9.5や3月に公開されたSafari 3.1など、2008年になって主要なWebブラウザの新リリースラッシュが続いている。さらに、9月にはGoogle Chromeという新しいWebブラウザも公開された。Google Chromeはβ版ながら注目を浴びており、着実に利用者を増やしている。

 このような「新Webブラウザ」は、それぞれに独自の特徴があり、機能強化の方向もそれぞれ違う。しかし、どのWebブラウザも共通で力を入れているポイントがある。その1つが「標準規格への対応強化」だ。

 1990年代、IEとNetscape Navigatorの間に起こったいわゆる「Webブラウザ戦争」ではHTMLタグやスクリプト機能、CSSなどに対して各Webブラウザが独自の拡張を行い、その結果Web開発者はWebサイトの互換性を保つために大変な苦労をすることとなった。その反省を踏まえ、現在ではW3C(World Wide Web Consortium)Web Hypertext Application Technology Working Group(WHATWG)という標準化団体がHTMLやスクリプト、CSSなどの標準化を行っている。

 しかし、すべてのWebブラウザが標準化された規格のすべてに対応しているわけではない。たとえばCSSについては、現在CSS 3(Cascading Style Sheets, level 3)という規格の策定が進んでおり、最新Webブラウザでは策定されるであろう機能が先取りされて搭載されている。しかし、CSS 3自体がまだ策定途中ということもあり、Webブラウザによって利用できる機能が異なったり、同じ指定をしたにも関わらず異なる挙動を示す、といったこともある。

 そこで本特集では、最新Webブラウザについて主にCSS関連機能の観点からその違いを検証していく。今回取り上げるWebブラウザは、表1のとおりだ。第1回となる今回はまず事前知識として、それぞれのWebブラウザが対応しているWeb標準規格について解説する。

表1 取り上げるWebブラウザ
Webブラウザ 使用するバージョン
Firefox 3 3.0.3
Firefox 3.1 3.1a2
IE6 6.0.2900.5512.xpsp.080413-2111
IE7 7.0.6000.16711
IE8 8.0.6001.18241
Safari 3.1 3.1.2(525.21)
Opera 9.6 9.6.0
Google Chrome 0.2.149.30
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