
Googleworkspaceの事前準備で気になる事をまとめてみました
Googleworkspaceに切り替える前に、ユーザー登録したメールアドレスでGmailへログインができます。
Gmailの設定欄からIMAP登録やOutlookにあるメール履歴のアップロード、転送設定などをする事ができます。
ユーザー登録するアドレスと、メールエイリアスで済ませるアドレスをあらかじめ決定しておくと良いです。
メールソフトからGoogleworkspaceのGmailへ移行する
レンタルサーバーで開設したメールアカウントを、メールソフトで送受信しているユーザーは多いと思います。
ところが企業の中にはその環境を離れて、Googleworkspaceでメールの送受信をしている所もたくさんあります。
今回はメールをGoogleworkspace環境に変える際にどこまで事前準備ができるのか、どういった事を前もって計画しておくべきか、そのポイントをご紹介します。
レンタルサーバーとGoogleworkspaceの違い
そもそも従来のメールアカウント(ドメインメール)をGoogleworkspaceへ移行すると、どのような違いが出てくるのでしょうか。
Googleworkspaceへ移行すると、まずメールの送受信画面はGmailの画面になります。
末尾が@gmail.comで終わるメールアドレスを持っていれば、Gmailの画面を使った事があるはずですね。
あのGmailの画面をドメインメールで利用できる様になる訳です。
メールソフトは使わない
GmailはGoogleのサーバー上にあります。そのためGoogleworkspaceに変えると、Outlook等のメールソフトは使わなくなります。
PC・スマホどちらの端末からでも、Googleのサーバー上のGmail画面を開いて操作する訳です。
Googleworkspaceに切り替えると、複数PC端末にメールアカウントを入れたりする必要が無くなりますね。
それからGoogleカレンダーやGoogleドライブなどのサービスを利用する事ができます。
事前準備はどこまでできるのか
他にも様々なサービスがありますが、まずはメールの送受信環境が大きく変わる点に注意が必要ですね。
ではGoogleworkspaceへ移行する際、どこまで事前準備ができるのでしょうか。
初めてGoogleworkspaceに切り替える場合、できるだけ現環境に影響を与えず準備したい事でしょう。
そこで最終的にGoogleworkspaceに切り替える前にできる様々な設定をご紹介します。
最低限度の準備
まずはGoogleworkspaceのアカウントを作成する事になります。
ご自身で直接開設をしても良いですし、代理店など経由で開設すると料金が安くなるパターンもあります。
アカウント開設に登録するメールアドレスは、従来使っているドメインメールのアドレスを使う事ができます。
プライマリドメイン認証
アカウントを開設したら、メールを利用したいドメイン登録します。
ドメインのTXTレコードに専用コードを入れる事で、ドメインが認証されます。
Googleworkspaceでは、最初に登録したドメインを「プライマリドメイン」と呼びます。
セカンダリドメイン認証
同様に、2つ目3つ目のドメインを認証させる事で、他ドメインのメールも利用できる様になります。
2つ目以降のドメインを「セカンダリドメイン」と呼びます。
プライマリ・セカンダリドメインを認証した状態
ここまでDNSレコード以外は、元の環境を一切変更する事なく進める事ができます。
最終的にドメインのMXレコードを変更するまでは、変化は起きませんので安心して下さい。
ユーザー作成
次にユーザーの作成です。
プライマリドメイン或いはセカンダリドメインのメールアドレスを作成する事で、ユーザーが作成されます。
もちろん今までのメールアカウントをGoogleworkspaceで利用する訳ですから、同じメールアドレスを作る事になりますね。
姓と名、メインのメールアドレスを入れる事で、メールアドレスとパスワードが発行されます。
これがGmailやその他Googleworkspaceのサービスへログインする情報になる訳です。
もちろんこの時点でもメールアドレスによるメールは機能しませんし、従来環境に影響はありません。
Gmailへ事前にログインができる
実は先程作成したユーザー情報で、事前にGmailの画面にログインする事ができます。
Gmailがどの様な画面でどの様な操作なのかを今のうちに把握する事ができる訳です。
MXレコード変更前なのでメールの受信はできませんが、実はこのGmail画面からメール送信はできます。
※実際に送信をする必要はありませんが、できる事は知っておいて損は無いと思います。
各種設定が可能
さらに歯車マークの設定欄から、各種設定タブ欄を開いて変更作業が可能です。
設定の中でいくつか「MXレコード切替前」しておくべき機能をご紹介しましょう。
IMAP設定
例えばIMAPの機能をONにする事ができます。
これによりこのメールアドレスをIMAPとしてメールソフトにアカウント登録する事が可能になります。
その際に必要な設定情報は以下になります。
・メールパスワード:発行されたパスワード
・受信サーバー名:imap.gmail.com
・送信サーバー名:smtp.gmail.com
IMAP登録が必要な理由
GmailはGoogleサーバーに直接接続できるのに、なぜわざわざIMAPでメールソフトに登録する必要があるのでしょうか。
それはズバリ、メールソフトに残っている過去の受信・送信メールを全てGmail側に移すためです。
いざGoogleworkspaceに切り替えた時、過去のメールが全く入っていない状態でGmailを使うのは厳しいですよね。
過去のメール履歴をGmail側に入れるため、一旦メールソフトへIMAP登録をするのです。
メールのコピー(アップロード)
もう少し詳しく解説します。メールソフトにIMAPでメールアカウント登録を済ませているとしましょう。
メールソフトには「メールのコピー機能」がありますよね。
対象のメールを別のアカウントのメールボックスに移動させたり、複製できる機能です。
この機能を使って受信や送信一覧のメールをコピーして、今回登録したIMAP内に移す事ができるのです。
Gmail内にメールをコピーできる
IMAPはPOPと違って、メールサーバーと直接つながっている状態です。
IMAPメール上にコピーを入れるという事は、メールソフトからGmail上へとメールを「アップロードする」事になるのです。
メールのコピーをアップする事で、Gmail画面内に複製したメールが入っている事が確認できます。
この機能を使ってPOP保存した受信メールや送信済みメール履歴を、Gmail内に全て複製できる訳です。
切替前にこれができる点は大きいと思います。
これらもMXレコード切替前に実施が可能です。非常に重要な作業になりますね。
転送設定
メールを受信したら別メールへ転送を掛ける設定です。これはレンタルサーバーでも同じ機能がありますね。
もちろん元の受信メールを残したり、残さなかったりと機能を分ける事ができます。
これはフィルタの作成の欄から進める事ができます(フィルタは20件まで)。
フィルタの条件アクション画面
ここは通常のGmailの転送の掛け方と同じです。
送信先メールアドレスの登録
受信したメールを本来のメールアドレス以外のアドレスで返信(送信)できる機能です。
事前にメールアドレスを登録しておけば、送信時に差出人となる「送信元のメールアドレス」を切り替える事ができます。
Gmailではよく使われる機能ですが、これらも事前設定ができます。
これらの機能を事前に利用する事で、切替する前に準備を整える事ができます。今までとは勝手が違いますので、基本的なGmailの操作(受信やメール作成、返信など)に事前に慣れておくとスムーズに移行できます。
エイリアス登録でユーザー数を削減する
ここからは運営上のお話になりますが、メールを受信するメールアドレスを必ずユーザー登録する必要はありません。
例えば元のドメインメール利用数が40件あったとしましょう。
これらを全てGoogleworkspaceのGmailに移行する場合、40件のユーザー登録が必要になりますね。
ですがGoogleworkspaceは有料サービスで、一般的に「ユーザーの登録数」に応じて月額料金が掛かるサービスです。
つまりユーザー登録数が多ければ多い程、費用が掛かる訳です。
カレンダーやドライブが必要ないメールアドレス
ユーザーを作成する事で、Gmailのメール以外にGoogleカレンダーやGoogleドライブ等の様々なサービスを利用する事ができます。
ですがメールアドレスによってはカレンダーやドライブなどは必要なく、単にメールさえ送受信できれば良いというものも、あるのではないでしょうか。
例えば「お問い合わせ専用」だったり、送受信量が少ないマイナーなアドレスがそれにあたります。
単純に送受信さえできればいいというメールアドレスは、あえてユーザー登録までする必要はありません。
ここで「メールエイリアス」という仕組みを利用します。
メールエイリアスの仕組み
Googleworkspaceではユーザーを登録すると、そのユーザーに対し「メールエイリアス」という機能が付きます。
メールエイリアス(予備のメールアドレス)
メールエイリアスとは、そのユーザーのメールアドレス以外に、別メールアドレス宛のメールも一緒に受信ができる機能です。
現在はメールエイリアスの事を「予備のメールアドレス」と呼んでいます。
Googleworkspaceのユーザー欄にある予備のメールアドレス登録欄
AもBも、Aで受信できる機能
具体的な例を挙げましょう。
A…[email protected](ユーザー登録済みアドレス)
B…[email protected](ユーザー登録なしアドレス)
Bアドレス宛のメールがAアドレスのGmail上に届く
「Aのアドレス」のメールエイリアス(予備のメールアドレス)で「Bのアドレス」を登録しておきます。
これによりAアドレス・Bアドレスのそれぞれに向けたメールが、全て「Aアドレス宛」に届く様になります。
これによりBアドレスに届くメールも、AのGmail画面で受信できる様になる訳ですね。
この時の受信先の名称は、もちろん「Bアドレス」になっています。
送信もAアドレスのGmail画面上でBアドレスから可能
返信(送信)時は、送信元アドレスとしてBのアドレスをGmailに登録しておけば、いつでもBのアドレスから送信ができる訳です。
これで実質的にBアドレスも、AアドレスのGmail上で送受信ができる事になります。
メールアドレスで送受信するだけならメールエイリアスで
今まではメールアドレスの優先度に関係なく、全てアカウント登録が必要でした。
しかしGoogleworkspaceでは、全メールアカウントをユーザー登録する必要はありません。
ユーザー登録はメインのユーザーのみで、マイナーなアドレスはメールエイリアス(予備のメールアドレス)に登録するだけです。
メールエイリアスに登録するだけで送受信が可能なのは、大きなポイントでしょう。
これでレンタルサーバー時のドメインメールと全く同じユーザー数を作らなくても、Googleworkspaceで引き続き使えますね。
10件全てメールエイリアスで対応した場合
A…[email protected](ユーザー登録済みアドレス)ほか30件
B…[email protected](ユーザー登録なしアドレス)ほか10件
Aの様なメインユーザーの使うアドレスが30件、それ以外のアドレスが10件あったとします。
上記の場合30件だけユーザー登録をして、残り10件はエイリアス登録で済ませる事になります。
極端なお話、Aのアドレスのメールエイリアスにこのマイナーアドレス10件を全て登録する事もできます。
これにより、AアドレスのGmailには10種のメールアドレス宛の受信メールが全て届く事になります。
合計11種のメールが設定されているので、それだけそのアカウントのGmail上に他のメールがどんどん届く事になります。当然各メールはフォルダごとに振り分けたいでしょうから、Gmailのフィルタ作成数が多くなる事は間違いありません。
この場合、Aのアドレスの管理者にマイナーアドレス10件の担当をしてもらう事と同じになりますので、それで良いのかどうか事前に検討する必要がありますね。
ご注意
・Bアドレスだけを専用に受信するGmail画面はない(あくまでAアドレスの画面上)。
・返信時は、Bアドレスを送信元アドレスとしてGmailに追加登録すればOKです。
要は専用のGmail画面が用意されないメールという扱いですね。
セカンダリドメインを全てエイリアスで対応可能
例えば企業1社でA、B、Cの3つのドメインを所有し、現在それぞれでドメインメールを使っているとしましょう。
Aドメインはプライマリドメインで認証し、全てユーザー登録をしたとします。
BとCのドメインはそれぞれ「セカンダリドメイン」として認証を済ませておきます。
これによりAユーザーのメールエイリアス(予備のメールアドレス)として、BとCのドメインのメールアドレス登録ができます。
セカンダリドメインのユーザー数は「ゼロ」も可能
BとCのセカンダリドメインでのユーザー数が「0」でも、メールエイリアスを使えばメールの送受信だけはできる訳です。
1ユーザー30件までエイリアスを作る事ができますので、ユーザー数の節約になるのではないでしょうか。
※セカンダリドメインの中でカレンダーやドライブを使う必要がある重要なアドレスは、当然ユーザー登録をする必要があります。この辺りはバランスが必要です。
さらに返信時も「受信したメールアドレスでの送信」が必要になりますので、送信元アドレスの登録をたくさんする事になります。