- 作者: 弐瓶勉
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/02/23
- メディア: コミック
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- 作者: 弐瓶勉
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/11/20
- メディア: コミック
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第14巻
第65話:科学者落合の転生 / 第66話:小林艦長の未練 / 第67話: 攻撃艦隊の危機 / 第68話:谷風長道の焦燥 / 第69話:岐神海苔夫の復帰 / 第70話:二零式の出撃
第15巻
第71話:第一攻撃艦隊の決断 / 第72話:つむぎの我儘 / 第73話: 第一攻撃艦隊の迎撃 / 第74話:小林艦長の覚悟 / 第75話:岐神班の戦い / 第76話:シュガフ船団の逆襲 / 第77話:シドニアの騎士 / 最終話:ガウナとの終戦
15巻で完結。
きれいにまとまった感じ。
弐瓶勉の過去作品と比べたら、きれいすぎると言ってもいいほど。
ストーリーとしては最終的に王道で落ち着いたように見えるし、キャラクター関係の構図としてもわりと正統的なハーレム/ラブコメ路線だったわけだけど、各キャラクター自体には大きな特異性があって、それがこの作品のひとつの特徴だったと思う。
イザナ-纈のジェンダー/セクシャリティ転位とか。
つむぎという、萌えタイポロジーのある種の究極を行くようなキャラクターとか。
最後につむぎが人間型身体となったことはそうした特異性から標準への回帰と言えなくもないけれど、でもその身体が星白ベースのエナであることを考えるとそう単純な話でもない。
というか、つむぎ-星白-ガウナ の関係はけっこう込み入ってる。
-
- 人類の敵である外宇宙生命〈
奇居子 〉が初期の登場人物である星白をベースにつくりだした疑似生命体:人間型胞衣
→ そのうち2体がシドニア側に捕獲される(エナ星白)- ひとつは、星白機のコピーが最初に登場した際に回収されたエナ →人間とガウナの融合体をつくる母体となり、つむぎを生みだす
- もうひとつは、幾度かの死闘を繰り広げた〈紅天蛾〉が最期に谷風機へ侵入させたエナ →人格転写法で保存されていたつむぎが融合して再生し、人間型身体を獲得する
- 人類の敵である外宇宙生命〈
作中の台詞によれば、“星白の人格や記憶が全くなくなったわけではないようなのだけど それはとても曖昧だし さらには毎日の出来事で頭が一杯で もうよく分からないということだ”。
ということは、人間型となったつむぎには〈紅天蛾〉で戦っていたエナ星白の記憶も残っているということ……?
物語としてはガウナへの勝利みたいに終わってるけど、このあたりのつむぎの経緯を考えると、ただガウナが全否定されてるだけという感じではない気がする。
ガウナとは何か、という問いは結局、明確な解答には到達していない。しかしガウナという種に意志や目的があるのかどうかは重要なことではなくて、むしろガウナがエナを用いて人間やその環境、記憶といったものを模倣/再現できるということに物語上の意味と機能があるのだろう。この設定があるからこそ、つむぎという存在とその履歴が成立しているのだし、セブンに地球同様の環境が再現されて入植も成功した。
すなわち、ガウナとは対話も和解も果たせていないが、そうでありながら「融合」に至っている、という構図。
人間とガウナの関係についてはこれがひとつの結論であり、この「融合」というタームこそが物語の背後にある主軸テーマだったと思う。
- 絵柄については、
- 物語展開としては、13巻〜14巻の落合による反乱のところが緊迫感ピークで良かった。
- 過去作品よりだいぶわかりやすい物語として完結している。
- ガウナがどういった存在なのかは完全には語られていないけど、物語自体はすっきりと納まっている。(大シュガフ船への勝利、つむぎの復活、新天地への出発、など)
- 過去作品だと物語として何が起こっているのかを理解するのが難しかったので…… それに比べると『シドニアの騎士』はとても親切。
それを単に上達と捉えるのか、個性が失われていくと捉えるのかは何ともいえない。『ABARA』や『BIOMEGA』ぐらいに謎というか考察の余地がもっとあってもよかった気もしなくもない。 - ただ、そういう意味でいうと、15巻最後に付録として付け加えられていた描き下ろしイラスト「谷風長閑の戦闘」は、今後のストーリーに対する想像を喚起させるもので、とても良かった。
1〜12巻の感想:http://d.hatena.ne.jp/LJU/20140420/p1
13巻の感想:http://d.hatena.ne.jp/LJU/20140824/p1
シドニアの騎士 14巻 ISBN:4063880338, [kindle版] ISBN:B00TIFKG70
シドニアの騎士 15巻 ISBN:4063881024, [kindle版] ISBN:B017TYYQUO