「スクール卒の未経験Webデザイナー」はどれほど転職できるのか

「スクール卒の未経験Webデザイナー」はどれほど転職できるのか

Mako Saito

Mako Saito

LIGブログ編集長代理のMakoです。

弊社が運営するWebクリエイタースクール「デジタルハリウッドSTUDIO by LIG(通称デジLIG)」はありがたいことに年々規模を拡大しており、現在は700名超の在校生を抱えています。

受講生の約7割は、未経験からWebデザイナーを目指す20〜30代の社会人のみなさんです。

今回、実際のところ卒業生はどれほど転職を実現できているのか、転職を実現できている人とそうでない人の間にはいったいどのような差があるのかを、スクール事業のマネージャーである林にインタビューしました。

これからWebデザイナーを目指そうとしているみなさん、ぜひご覧ください。

林 隼平 株式会社LIG Digital Education部マネージャー 林 隼平日本大学芸術学部卒業後、テレビ、ラジオ、Webメディア、プロスポーツイベントなど、複数の媒体にてディレクター職を経験。2018年9月からLIGにセールスメンバーとして入社し、教育事業部に配属(現デジタルエデュケーション部)。自身のクリエイターとしての経験を生かし、現在はマネージャーとしてWebクリエイタースクール事業「デジタルハリウッドSTUDO by LIG」の事業企画、運営を行い、クリエイター育成をミッションとしている。

未経験から転職に成功する確率は約50%

―― 「未経験からWebデザイナーになりたい」と受講いただいたみなさんのうち、実際に転職に成功する人はどれほどの割合でいらっしゃるのでしょうか。

当校が実施している卒業生アンケートの結果では、卒業後1年以内にWeb業界への転職を実現した方が5割強いらっしゃいます。なかには転職ではなく、勤務先のインハウスデザイナーになったり、副業でWebデザインの仕事をうける方もいらっしゃるので、卒業後に新しいキャリアを切り拓けた方の割合でいくともっと高くなります。

ただしこの結果を見て、これからWebデザイナーを目指すみなさんが「スクールに “通いさえすれば” 50%以上の確率で転職に成功する」と捉えるのは危険です。これは卒業生ご自身の並々ならぬ覚悟と努力があっての結果であり、ただカリキュラムを受講するだけで転職が成功するわけではありません。僕らスクールが受講生のみなさんにお約束できるのは、あくまでWebデザインスキルの習得です。

林 隼平

とはいえ、Webデザイナーになりたい人を支援する立場である以上、デジLIGは「一歩秀でた駆け出しWebデザイナーを輩出するスクール」を目指しています

いきなりプロスポーツ選手にはなれないように、未経験者が1年足らずでプロのWebデザイナーになるのは現実的ではありません。しかし「この人はWebデザイナーの素養があるから、育成すれば戦力になってくれそうだ」と企業から思ってもらえるような人材を生み出すことなら、僕らも十分支援できると考えています。

Photoshop・Illustratorが使えるだけで差はつかない

―― 「一歩秀でた駆け出しWebデザイナー」とは、具体的にどういう条件をクリアした人材なんでしょうか。

1つめは、Webデザインの目的をきちんと理解していることです。Webデザイナーの仕事の本質は、美しいビジュアルの制作ではなく、社会やビジネスにおける課題解決です。PhotoshopやIllustratorといったデザインツールの使い方を学ぶことだけに注力してしまうと、なかなかこの観点は身につかないんですよね。

2つめは、インプットの習慣が身についていること。たとえば、街で目にした広告に対して「これは誰になにを伝えるためにデザインされているのか」を考える癖があるかどうかで、その後の成長に大きな差が出ます。自分の引き出しを増やそうとせず好みのデザインばかりやっていては、Webデザイナーとして課題解決に貢献できません。

3つめは、ポートフォリオが充実していること。つまり、十分な作品数があり、それぞれの制作意図を論理的に説明できることです。スクールの課題作品だけが数点並んだポートフォリオで、自分の強みを相手に理解してもらうことは難しいでしょう。

Webデザインスクールの功罪

林 隼平

……正直なところ、採用する企業側において「スクール卒の未経験者はレベルが低い」というネガティブなイメージがはびこっていることは否定できません。

気軽にWebデザインを学べるサービスが増えたのはすばらしいことですが、その結果として、Webデザイナーの仕事をよく理解しないまま、不十分なポートフォリオを引っさげて転職活動に挑むデザイン初学者が増えてしまっていると感じます。

僕らはこのネガティブなイメージを壊していきたいですし、むしろ「デジLIG卒ならぜひ採用したい」と企業からオファーがくるような存在になっていきたいと考えています。

―― そのためにデジLIGが取り組んでいることをぜひ教えてください。

第一に、デザインの考え方やデザイナーとしてのマインドセットを現役デザイナーから直接学べる場を多く用意しています。トレーナーはみな現役で活躍しているWebデザイナーですし、弊社LIGのWeb制作部門に在籍するデザイナーが登壇する特別授業も頻繁におこなっています。なかには、受講生が作った制作物に対して弊社のデザイナーが個別にフィードバックをおこなう講座もあります。

あとはポートフォリオを充実させるために、カリキュラムとは別に、弊社インハウスデザイナーの業務にチャレンジできる機会も積極的に提供していますね。ブログのサムネイル画像を作ってもらったり、Web広告用のバナーを用意してもらったりと、ことあるごとに受講生や卒業生に公募をかけています。また、出来上がったポートフォリオに対しては、いつでも添削を承っています。

「なりたい自分」の解像度を上げよう

―― 同じスクールで学んでいても、転職に成功する人とそうでない人がいるわけですよね。この差はいったいどこにあるのでしょうか。

林 隼平

転職に成功する人の共通点は、やっぱり「モチベーションが高い」ことに尽きますね。「こんなWebデザイナーになりたい」という具体的な理想像を持ち、それに向かって自分のペースで学習を前に進められる人。そんな人が新しいキャリアを実現していると感じます。

実は、Webデザイナーになるためにスクールに通っている人であっても、Webデザイナーの仕事を具体的に理解できている人は多くありません。おそらく「今後も需要が伸びるIT業界で働きたい」「手に職をつけて在宅で働けるようになりたい」といった、働き方への漠然とした理想が先行している影響だと思います。

そのためデジLIGでは、入学説明会や特別授業において「Webサイト制作の流れ」や「Webデザイナーの就職先の種類」を極力丁寧に説明するようにしています。ゴールが明確でなければ自分がどんなスキルを身につけなければならないのかわかりませんし、モチベーションも維持しにくいですからね。

―― センスや学習能力ではなく、「未来の自分を具体的にイメージできているかどうか」で差が出るんですね。

そうです。あともう一つ挙げるとすれば、「他人を頼るのがうまい人」も転職に成功しやすい傾向があります。学習中に生まれた悩みを一人で抱え込まず、トレーナーへ積極的に質問して解消したり、他の受講生に共有して互いに励まし合ったりしている人は、最後までやり切れる印象がありますね。

人生は変えられる。そこに意志があれば

―― 最後に、これからWebデザイナーを目指すみなさんへメッセージをお願いします。

林 隼平

近年日本において「デザイン思考」「デザイン経営」が叫ばれているように、「課題を解決するために情報を整理してアウトプットする」というデザイナー的観点は、Webデザイナーだけではなく全員が持つべきものだと思っています。そのため、もし将来的に「職業Webデザイナー」にならなかったとしても、Webデザインを学ぶことにはとても価値がありますし、キャリアの選択肢が広がるきっかけになるはずです。

……僕はデジLIGの運営を通じて、まったくパソコンを触ったことがない人が半年後にカッコいいWebサイトを作れるようになったり、まったくの異業種からWeb業界に飛び込んできた人がみんなに頼られるWebデザイナーになったりする姿をたくさん目の当たりにしてきました。

頑張れば、新しい人生は切り拓ける。

スクールを卒業していくみなさんの姿を見て、僕はそう確信しています。

なので「どうせ私は」なんて思わずに、「やってみたい」と思ったときにはぜひ行動を起こしてほしいですね。頭のなかで考えているだけでは人生はなにも変わらないので、まずは一歩踏み出してみることを大切にしていただきたいと思っています。

―― アツいメッセージ、ありがとうございました!

林 隼平

「自分も一歩踏み出してみようかな」と感じた方は、ぜひ「デジタルハリウッドSTUDIO by LIG」の個別説明会にも足を運んでみてくださいね。心より、お待ちしております!

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Mako Saito
Mako Saito LIGブログ編集長 / 人事部長 / 齊藤 麻子

1992年生まれ。2014年九州大学芸術工学部卒業後に採用コンサルティング会社へ新卒入社。法人営業から新規事業推進、マーケティング業務に従事したのち、2018年にLIGへ。2023年にLIGブログ編集長、2024年に人事部長に就任し、現在は自社のマーケティング・人事業務を担う。副業ではライターとして活動中。あだ名は「まこりーぬ」。著書『デジタルマーケの成果を最大化するWebライティング』(日本実業出版社)

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