京都御所の清涼殿は、平安時代中頃（９世紀末）に天皇のお住まいとして定着した御殿であり、江戸時代末期（安政２年〈1855〉）における最後の造営を経て今日まで存在する、日本の宮廷を象徴する建物です。 　天皇のお住まいが御常御殿に移された後も、清涼殿は儀式専用の御殿として形式を変化させつつ存続し、江戸中期（寛政２年〈1790〉）の造営を機に、平安末期（12世紀）の建築様式で再興されるに至ります。それは、朝廷における伝統儀式復興の気運の高まりとともに、その舞台となる建物の復古が目指されたことによります。 　衣・食・住の日常生活も儀礼化されていた平安時代の古儀の再興に際し、復古の対象は建物だけでなく、天皇の私的な生活空間にしつらえる調度類にも及びました。 　ここでは、重要な神事や伝統儀式に際し、天皇出御の起点とされた西廂の「御手水の間」と「朝餉の間」の調度を紹介します。

　京都御所の御殿内部の部屋を仕切る襖障子や壁面には、人物、花鳥、動物、風景などが画かれています。これらの障壁画は群青や緑青などを使った色彩豊かで華やかなものから洗練された雰囲気のある水墨画に至るまで様々な表現がみられます。ここでは、京都御所を飾る障壁画について、特徴的な事柄のいくつかに触れながら紹介したいと思います。 　本ウェブサイトでは、京都の御所と離宮の建物・庭園・障壁画・調度などをマップに表示しています。ギャラリーで紹介させていただく障壁画以外にも様々な画題や様式の障壁画があります。是非トップページのマップから建物→部屋→障壁画のように順にご覧いただけますと幸いです。