映画ごときで人生は変わらない 

不穏映画が大好物 感想と考察が入り混じる映画レビューサイトです

【シックス・センス】感想/2度目の感想とシャマラン監督の評価について(ネタバレなし!)

 

シックス・センス [DVD]

シックス・センス [DVD]

  • ハーレイ・ジョエル・オスメント
Amazon

基本情報

公開年:1999年

監督&脚本:M・ナイト・シャマラン

キャスト:ブルース・ウィリス(マルコム・クロウ       ) ハーレイ・ジョエル・オスメント(コール・シアー)オリヴィア・ウィリアムズ(アンナ・クロウ)

上映時間:107分

あらすじ

<以下アマプラの映画紹介文より引用>

高名な精神科医のマルコムは、かつて担当していた患者からの凶弾に倒れてしまう。リハビリを果たした彼は、複雑な症状を抱えた少年・コールの治療に取り掛かる事に。コールは常人には無い特殊な"第6感"、死者を見る事ができる能力を持っていた。コールを治療しながら、彼によって自らの心も癒されていくマルコム。そして彼には予想も付かない真実が待ち受けていた・・・。

評価

50年以上生きてますと1999年なんて昨日みたいなもんでして。「シックス・センス」公開時はネタバレされる前にすぐ観に行ったし、ラストの衝撃たるやエライもんで、観たよ!という人と語り合ったことを本当に昨日のことのように思い出せます。

思えばこの映画以前は「結末は誰にも言わないで下さい」という宣伝文句の映画も多く、インターネットも大衆化していなかったのでその約束は守られていました。

「シックス・センス」は「ネタバレダメ」が守られる最後の時代に生まれた大どんでん返し映画の傑作だと思います。

この傑作について「ネタバレしてても果たして面白いんだろうか?」という疑問がふと湧き、四半世紀ぶりに見直してみましたよ。結果、面白かったんですが、どうも重箱の隅を凝視するような見方をしてしまい、この作品の本当の良さを掴めなかったんじゃないか…と思いました。ですので、もしまだ観たことがない、どんな映画が知らないのなら、ぜひその真っさらな心のままで観てください!ってなわけでネタバレなし感想です!「ネタバレ」を検索しちゃダメよ!絶対!

感想

2回観れば伏線が見えてくる

「シックス・センス」、意味は「第六感」です。ブルース・ウィリス演じる児童精神科医マルコムの患者、コール少年が持っていた霊感のこと。おじさん精神科医と子供が友情を育むイイ話です。突然叫んだり妙な行動に走るコールは友達に「バケモノ」とあだ名される変わった子ですが、その要因は「幽霊が見える」からでした。マルコムも初めは信じないのですが、以前にも同じ症状の子供を見たことがあり、その診療の様子を録音したカセットテープを繰り返し聞いているうちに気が付くのです、「幽霊の声が入っている」と…。

かなりゾッとするシーンです。コールが「僕は本当は幽霊が見えるんだ」と吐露してから、観客にも彼が見ている幽霊が見えるようになります。

んで、肝心のラスト。

これを知ってからもう一度観ると、まずマルコムはナレーションの語りもしていることに気がつきます。一人称で物語を語るのは「信頼できない語り手」になりうる要素がある、ということですね。そしてよく見るとちょっと変じゃね?無理やりじゃね?ってシーンもある。上手いのはコールに「彼ら(幽霊たち)は見たいものしか見えないんだ」と言わせていることです。このエクスキューズがあれば全てが収まる。いや、実に上手いです。

同作、アカデミー賞で作品賞にもノミネートされていますが、良いところはただの「驚かせ系ホラー」ではないことです。生と死の間にいる者の「そこにいる意味」を考えさせてくれるし、異能の少年は自身の能力を呪う日々から、この力がギフトであることに気づいていきます。最後のほうホロリとして泣いちゃいましたよ…

M・ナイト・シャマランに対する評価は正しいのか?

さて、感想と共にもう一つ書いておきたいのが、映画史における同作と、監督&脚本のシャマランの位置。…っつうほど大袈裟なもんでもないのですが、商業的にも大ヒットしたこの作品の後、似たような映画がたくさん作られました。オチが同じやろがいっ!ってな「アザーズ」も含め。

アクション映画史が「マトリックス前」「マトリックス後」と明確に分けられるように、「シックス・センス」もまたスリラー&ホラー史の中では「シックス・センス前」「後」と言えるのでは。

そして同作で大成功を収めたM・ナイト・シャマランは当時まだ20代。当然「次の作品も驚かせてくれるよね?!」という観客の期待は先行します。ワタシもそうでした。2000年の「アンブレイカブル」は大変面白かった記憶があります。しかしその後「サイン」「ヴィレッジ」と徐々にテンションが下がっていき2008年の「ハプニング」で「もうシャマランだからって映画館に足を運ばなくていいかな…」となります。そして2010年、シャラマンはついに「エアベンダー」でラジー賞を受賞…。

これ、ずっと「シックス・センス」の鮮やかすぎるどんでん返しが尾を引いているんですよね。宣伝は「あのシャマランの!」って煽るし、観客も「オチは?」と期待する。そのオチがしょぼいとがっくり来ちゃうわけです。しかしですよ?風呂敷は広げるのが芸。起承転まで風呂敷を広げ続けて観客の興味をひきつければ「結」なんぞどうでもいいっちゃあ、いいんです。

そんなわけで「ヴィレッジ」や「ハプニング」あたりは、シャマラン監督と同時代を生きリアルタイムで作品を追っていたワタシより、今の若い方のほうが正当な評価をつけられるのではないのかな?なんて思いました。気になる方はそのあたりもぜひ見てみて下さい〜。

「シックス・センス」はアマプラで観られます!

シックス・センス (字幕版)

シックス・センス (字幕版)

  • ブルース・ウィリス
Amazon

オチはいまいちだけどそこまでの雰囲気作りはさすがシャマラン!な作品群、貼っておきますね〜

ヴィレッジ(字幕版)

ヴィレッジ(字幕版)

  • ホアキン・フェニックス
Amazon

そして大どんでん返しのおすすめ作品「スティング」はこちら!

kyoroko.com

 

 

Â