あなたとよむ短歌 vol.57 テーマ詠「未来」結果発表 ~評や感想の受け取り方~(2/3)
それでは、佳作のご紹介です!
何一つ思いつかずに五分経ち次に書く字はかすれるだろう
(佐藤橙さん)
キャップを開けたままのペンで、何も書けずに5分経過したのでしょう。書く内容はまったく思いつかないけれど、とりあえず「次に書く字はかすれるだろう」という予想だけは立ちました。無情な時間経過が細やかに表現されています。
このおやつの賞味期限が切れる頃 私どうしてるのかな
(373号線さん)
なにかを買うときの賞味期限を見て、誰かの誕生日だな、もう手術は終わっているころだな、などと思いをめぐらすことがあります。いつかくる未来の日付を、ふいに意識させられる瞬間です。
眠そうなすかいらーくの赤い鳥それでも明日へはばたくかたち
(把手さん)
たしかに「すかいらーく」の鳥は眠そうな目をしていて、そして羽ばたいています。右上に飛び上がっていて、確かに明日にむかって羽ばたいているようです。あの鳥はどんな未来をみているんでしょうか。
三歳の孫が日に日に成長すまるで過去などいらないように
(どらまにあさん)
幼児期の子どもは、見た目も動作もどんどん変化するものです。新しいことができるようになる反面、赤ちゃんのころの仕草は失われていき、見守る方としてはちょっとさみしい気も。力強い成長に眩しさを感じます。
思ってた未来と少し違うけど僕は家族でファミレスに居る
(泰源さん)
「思っていた未来」とはどんなものだったのでしょうか。この一首からはわかりませんが「家族でファミレスにいる」現在、つまり過去から見た未来も、割と悪くないと思えている気持ちが伝わってきます。