ココロ社

主著は『モテる小説』『忍耐力養成ドリル』『マイナス思考法講座』です。連絡先はkokoroshaアットマークkitty.jp

株式会社はてな最強化計画

こんにちは。勝手コンサルティング企業、ココロ社です。
新コーナーを作っては放置して申し訳ありません…ときどき、勝手にコンサルトをする企画をやっていきたいと思います。


みなさんは、自分が顧客という立場のときも、「うーん…ぼくがここの担当だったらこうするなぁー」と思うことってないでしょうか。わたし自身は、典型的な総合職という感じで、サービスの企画・ソフトの制作・広告の制作・編集などを少しずつかじっているだけで、どの分野も中途半端にしか知らないのですが、普通にビジネスをしている感覚からすると、「ネットのサービスの提供の仕方はちょっと変わってる」と思うことが多いです。とくに株式会社はてなは、マイペースな運営で商機を逃している感じがして、他人事ながら気になってしょうがない!…ということで、僭越ながら、わたしが今まで取り組んできたビジネスの感覚から、ブログサービスの運営方法について、こうしたらいいのではないかというのを考えてみようと思います。「株式会社はてな」を例に取っていますが、たとえば、「技術者だけの会社で働いているのだけど、マーケティングとかそういうのに疎い人ばかり」という状況にも応用可能なので、ご一読いただければ幸いです。
抽象的な代案だったら、それこそ出来の悪いコンサルタントと同じになってしまうので、ありったけの愛をこめて具体的な解決策を提示していきます!

(1)コンセプトの再構築


お客さんを増やそうと思ったとき、シェアの低い会社が通常考えるのは、他社のサービスからの乗り換え需要。押しても引いても動かないブログ非受容層に手をつけるよりも、まず、他のブログサービスを使っていてうんざりしてしまった人に乗り換えてもらうというのが、手堅く入会者を増やす道かと思います。そこで導き出された結論は、非需要層にも受け入れられるものになる場合が多いので(とりあえず結果から逆算できそうなので)、まずブログをやっていたがやめた、あるいはやめそうな人の状態を列挙し、同時に「はてなダイアリー」がどういう位置にいるかを確認していきます。

・人間関係にウンザリ…
→あまり知られていませんが、アメブロのペタ地獄などに比べれば、はてなの人間関係は爽やか。これは強みになります。


・書くことないなぁー
→これについては、はてなは強みも弱みもない状態です。が、訪問者が増えたら少しは書くことに積極的になるはずです。


・なんかめんどくさくてイヤ
→無料でも広告が出ないのでシンプルなのですが、その外見とは裏腹に、入会に至るプロセスは吉原の遊郭を思わせるほど複雑。ごっそり他社にお客さんを奪われています。入会してからの難解さも群を抜いており、機能追加のたびに会員は愛情を試される構造です。


・世界中の人が来てくれると思ったのに誰も来ない
→「はてなダイアリー」は、この点について、圧倒的なアドバンテージを持っています。他のブログでアクセスを増やすには、挨拶回りなどが必要ですが、はてなでは、適当に書いていても、キーワード経由で人がやってきます。また、「はてなブックマーク」は、無名のブロガーが一夜にして時の人になれるツールです。


冷静に考えると、はてなはいいポジションにいますよね。
以上を踏まえて、はてなの会員になるメリットは、アクセスが増えることが一番大きくて、次に、シンプルで使いやすいこと、とします(後者については実現できていないものもあるので、後で改訂案を検討します)。会員でない人にまず伝えるべきなのがその2点です。


しかし、はてなダイアリーの広告はこれです。▼


オゥ…これはもったいない…抽象的すぎて、会員にも、どの点が快適で安心なのかが不明…あと、広告がつかないのもいいでですが、もっといいとこがあるのに、なんとも歯がゆいです。
また、はてなブックマークのところももったいない…▼


ここをクリックするとわかる仕組みなのですが、逆に言うと、クリックしないとメリットがわからないなんて、思わせぶりすぎますよね…「はてなブックマーク」のサービスがバージョンアップされるそうですが、ここの文言を変えないのであれば、バージョンアップしてもお客さんは来ないのではないかと思われます。
ここで考慮しなければならないのが、「お客さんにクリックさせる回数を1回増やすごとに、お客さんは8割ずつ減っていく」という法則です。これはわたしがブログを書いていて得た感触なので、8割という数字は怪しいのですが、要は「お客さんにクリックさせる回数はなるべく減らす」ということです。

ここでは、「はてなダイアリーなら、すぐ使えて、アクセス倍増!」的なことを言うか、はてなブックマークを推すなら、「好きな場所で使える『お気に入り』」など、メリットが出ているべきだと思います。


ちなみに、はてなダイアリーについて、1画面で表すとしたら、こんな感じでしょうか。


やりすぎ感があるかもしれませんが、今のツンデレ的な告知よりも、具体的なメリットで説得していく方が得策かと思います。

(2)サービス名からメリットが見えるようにする


「人力検索はてな」というサービスは、サービス名を見ると、どのようなサービスかはわかりやすいのですが、それに次いで出た「はてなダイアリー」というサービスは、ちょっと難解です。この言葉を初めて見た人は、何のサービスかわかりにくいでしょう。今は、「はてな」というのが、人力検索の会社であることを知らない人が多いと思いますし、一般名詞が最初にあるので、手がかりは「ダイアリー」しかありません。これだけだと手帳か何かに見えてしまいますね。もっと顧客にとってのメリットが伝わる名称にした方がよいと思います。


商品名は商品そのものよりも大事です。なぜならその商品について最初に人が目にするのは商品名であり、そこで第一印象が悪ければ、商品そのものを見ることなくお別れになってしまうからです。開発系の人が主導権を握っている会社は、しばしばこの点を軽視しすぎる傾向にあります。「口先でごまかしても意味はない。いい物を作るんだ」という話なのですが、しかし、「いい物」が本当に「いい物」であることを伝えないと、それは事実上、ダメな物と同じになってしまって大変もったいないです。コーヒーに「墨汁」と書いたラベルを貼ったら、誰も飲もうとしませんよね。


以上を踏まえ、改めて、現状の、各サービスの前に「はてな」をつけ、ブランドを統一化するという戦略について検討していきましょう。


たとえば、「はてなはすばらしいよね」と書いたとき、普通の人は、まさか「はてな」がサービスの名称であるとはわからないでしょう。一般名詞で、かつひらがな3文字は、認知を広げるには不利です。しかも、ひらがな3文字は大変読みづらい。他の言葉と連続すると、一瞬、どこで切れるのかわかりません。さらに、よく考えると、顧客が、会社の商品を使って満足した状態をサービス名にするのではなく、顧客の悩んでいる状態をサービス名にしている時点で、ちょっとネガティブで掟破りすぎです。たとえば、マッサージチェアの商品名に「スッキリくん」とつける人はいても、「鬱血くん」とつける人はいませんよね。


ということで、「はてなダイアリー」の「はてな」は削除してみましょう。そして、このサービスが他社を圧倒できる点=「アクセスが増える」を表すために「アクセス」をつけます。
また、「ダイアリー」という名称についても、今や性格が不明瞭です。サービス開始直後は「ブログ」という言葉は一般的ではなかったので、「ダイアリー」という名称は適切だったのですが、今や、「ブログ」というネットサービスの総称は、ますます有名になってきています。今では、ホームページの総称が一般的にはブログの定義でしょう。パーマリンクの有無について考えるのはマニアだけですから。
サービス名を見て、それが今大流行の「ブログ」であるとわからないのは大変もったいないです。松茸ごはんを「かやくごはん」って呼ぶようなもので、たしかにかやくの一部として考えられますが、せっかくの松茸を売りにしないのはもったいないです。

ということで、「はてなダイアリー」→「アクセスブログ」に改称します。アクセスが来るから「アクセスブログ」です。そんなベタベタな…と思うかもしれませんが、このサービスを使うメリットが一目でわかる名称ですよね?

(3)お客さんの気持ちが高まった瞬間を逃さず入会へ持っていく


「ブログを始めたい」と人が思うタイミングは、お気に入りのブログを読んでいる時でしょう。時々、「ココロ社さんのブログを読んで、はてなを始めました」という声をいただく時がありますが(ありがとうございます!)、ブログを読んで、「始めたいな」と思ったときに、入会するボタンがあるとないとでは雲泥の差です。ダイレクトに入会ページに行けないと、お客さんは逃げてしまいます。
逆に、ユーザーの気持ちが高まった瞬間をとらえることができたら、顧客は文字通り倍増します。たとえば、アメブロやココログだと、ブログ内に「ブログを書く」ボタンを配置している場合が多いですが、はてなは、その気になったお客さんをみすみす逃しているのです…
他人事ながら、これはもったいなさすぎです。デフォルトでは、記事の後ろに「はてなでブログを始める」ボタンを表示させるようにすればいいんじゃないでしょうか。読み終わった瞬間が「じゃあ俺も」と思うタイミングだと思うので。お金を払ったら消えるでいいんじゃないでしょうか。他のブログサービスはもっと濃いので、それくらいやってもお客さんは逃げないと思います。
また、検索で出てくるはてなキーワードの横にも入会ボタンがいると思います。

(4)各サービスの改称と統廃合で、見た目をスッキリさせる

・はてなアンテナ→「更新チェック」に改称するとわかりやすいと思います。

・はてなブックマーク→"bookmark"は難しい単語なので廃止します。IEの「お気に入り」に似ている機能なので、同じく「お気に入り」に改称します。
また、「はてなブックマーク」のトップページは、「人気記事ランキング」にします。わかりやすさと、ネガティブなブックマークコメントの抑止力として使います。なぜ抑止力になるかというと、「ネガティブなコメントでもブックマークしたら、その記事が人気記事になるのを応援している行為になる」ということを、より明示することになるからです。

・はてなハイク→これも「五・七・五」じゃないとダメなのかしら…と、無用な誤解を生み、サービスの根幹である「適当に書いてOK」感が伝わらないので、「つぶやき」に改称。


また、サービスが乱立しているので、初めての人でもすぐわかるように優先順位をつけます。
物やサービスを提供する側は、よく「選べる」とか「たくさんある」ことを売りがちですが、実際のところ、お客さんは選ぶことが大嫌いです。特に、ギークな人以外にとっては、めんどくさいことでお馴染みのパソコン関連なら、選べることがお客さんを減らす原因にもなりかねません。たとえば、最近気づいたのですが、アメーバブログ、あそこの記事って字が小さいと思いますよね。あれ、実は字の大きさはブロガーの側で選べるんです!でもアメブロで字が大きくなっているのってあまり見ないと思うのですが…つまりはそういうことです。フォントの大きさを選ぶのは、お客さんにとっては、かなり苦痛なのです。
お客さんはわがままですから、頭を働かせなくても最良のものが提供されることを好むので、こちら側から、もっともオススメのサービスを1つだけ勧めるのがスマートです。
となると、中心になるのは「はてなダイアリー」改め「アクセスブログ」ですが、こちらを中心にします。もちろん、インターフェイスも、ブログを中心にして、タブを配置するやり方で、各ユーザーの画面を1つにまとめてしまいます。こうすれば、気軽に各サービスをスイッチすることができ、滞在時間が長くなります。ちょっとデザインがアレですが、画面イメージを作ってみました。▼



また、このインターフェイスなら、一部の(=無視してもビジネス上、まったく影響がない数という意味です)マニアが大好きな「はてなブックマークのコメントがむかつく」プロブレムが解決されていることにお気づきでしょうか?


このインターフェイスは、各サービスの横断を容易にして使い勝手を向上させるインターフェイスであると同時に、自分の発言についての責任を持ってもらうインターフェイスでもあるのです。たとえば、ブログとお気に入りのコメントが1つのページに入っているので、お気に入りで言いたい放題言えなくなり、マイルドにせざるを得ません。でないとブログ本体が冷ややかな目で見られてしまうので、同一人格として運営せざるを得ません。たとえばさっきの裏でこういうことを書いたら笑われてしまうでしょうね。



▲これは…右のほっこりプロフィールが台無し!
なお、これを採用すると、悪意が一気に「はてな匿名ダイアリー」に集積されると思います。

(5)不良ユーザーを一掃する


仕組みとして、悪意のあるコメントを抑制するには、各ユーザーが責任を持って物が言える体制作りが必要ですが、責任能力を問えないタイプの不良ユーザーには、個別に手を打つしかないと思います。
私企業とはいえ、メディアを持っている以上、言論の自由について考慮した方がいいとは思いますが、「死ね」と罵る自由までをも保証する必要はないでしょう。
最悪なのが、直接手をくだして不良ユーザーの苦情に対処するのが面倒だから…ということで、仕様変更をすることでしょう。既存のユーザーは最初から操作を覚えなければなりません。複雑なサービスで一般ユーザーはますます遠のき、不良ユーザーは新システムにふさわしい、新しい罵倒の方法を思いつく。そして不良率が高まる…という、まさに地獄の方程式。そもそも、明らかにまずい人に警告を送って、その警告文を不良ユーザーが転載したら、サイレントマジョリティーである普通の神経のユーザー(=人に「死ね」などと言ってはならないということを理解している人々)はとても安心します。もし退会させて、不良ユーザーの取り巻きが「こんなブログ辞めてやる!」と息巻くようなことになれば…願ったり叶ったりじゃないですか。在庫一掃セールです!


……

以上、検討してみましたが、いかがでしょうか。
乗り換え需要について考えていきましたが、案の定、新規にブログを始める人にとっても悪くない提案かと思います。



ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。
次回は普通の記事を書くので、懲りずに見にきてくださいね!