学研全訳古語辞典 |
ひさかたの…
分類和歌
「ひさかたの(=枕詞(まくらことば))月の桂(かつら)も秋はなほもみぢすればや照りまさるらむ」
出典古今集 秋上・壬生忠岑(みぶのただみね)
[訳] 月に生えている桂の木も、秋にはやはり紅葉するから、秋の月は一段と照り輝いて見えるのだろうか。
鑑賞
古来、月には桂の大木が生えているという中国からの言い伝えがあった。秋の月が明るいのは、その桂の木が色づいたからなのだという思いつきを詠んだ歌。「や」は疑問の係助詞で、結びは「らむ」の連体形である。「らむ」は原因推量の助動詞で「(…だから)だろう」と訳す。
ひさかたの…
分類和歌
出典百人一首
「ひさかたの(=枕詞(まくらことば))光のどけき春の日に静心(しづごころ)なく花の散るらむ」
出典古今集 春下・紀友則(きのとものり)
[訳] 日の光がのどかな春の日に、どうして落ち着いた心もなく、桜の花は散り急ぐのだろうか。
ひさかた-の 【久方の】
分類枕詞
天空に関係のある「天(あま)・(あめ)」「雨」「空」「月」「日」「昼」「雲」「光」などに、また、「都」にかかる。語義・かかる理由未詳。
出典万葉集 一六七
「ひさかたの天(あま)の河原に」
[訳] 天上界にあるという安(やす)の河原に。
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