今だから知ってほしい!北海道民が「六花亭」をおすすめする理由
生まれも育ちも北海道札幌市。18歳で東京の大学に進学し、その後東京のTBSテレビに就職。アナウンサーとしてのお仕事を辞めてからも東京に留まり続け、結局20年東京で暮らしてきました。
今年38歳にして生まれ故郷札幌に活動拠点を移し、愛犬のゴールデンレトリバーを立派に育て上げるべくフリーアナウンサーや文筆業のお仕事をさせていただいております。アンヌ遙香と申します。
私はもともと郷土愛が強いほうだと自認していました。このたび札幌に拠点を移し、改めて故郷を再発見しているような、そんな気持ちになっている次第です。北海道、特に札幌は今大規模な再開発の真っ只中。10代の頃によく買い物で訪れたビルは跡形もなく消え去り、新しいショッピングビルやホテルなどが次々と建築されています。昔を懐かしむ私としては少し戸惑う気持ちもある一方で、20年東京で過ごしていた私が感じることは…今の時代、北海道がかなり盛り上がっているということです。
少し本筋からそれますが、あの超高級ホテルのパークハイアット、日本に現在3ヵ所あります。1ヵ所は東京、2つ目は京都、そして3ヵ所目が北海道ニセコ。そして4カ所目が今後どこにできるかと言うと…札幌市なのです。日本にある4ヵ所のうち半分が北海道にあるということになるんです。すごくないですか? あの世界的な外資ホテルが北海道に熱視線を送っているのです。
実は北海道は、日本の中でも夏の暑さが比較的穏やかで、かつ地震に対しても他の地域に比べ強いという側面があり、第二第三の拠点として選択する企業が増えつつあるというのです。もちろん昔から、北海道は自然も豊かでご飯もおいしい、と多くの方の国内旅行の定番となってきたわけですが、 これから改めて北海道の時代が来る、と私は考えています。
旅行としてのみならず、もし北海道に暮らしてみたいかも…という気持ちが少しでもあるのでしたら…まずは私のコラムを読んでみください。地元民ならでは、かつ20年ぶりの故郷に未だ観光客気分も抜けない、そんな私の眼差しを通して北海道の今をお伝えしていきます。
第一回のテーマは…「六花亭」
皆さんデパートの催事場で行われる北海道物産展、お好きではないですか? 北海道物産展に行けば、六花亭のマルセイバターサンドを購入するという人が多いことと思います。坂本直行による花の図案も知らない人がいないと言っても過言ではないほど。
北海道土産として定番中の定番とも言える六花亭ですが、北海道に限らず、いわゆるその土地のお土産物とされているものは、意外と地元民は食べることがない…というのは、実はあるあるではないかと思います。
ただ六花亭はその図式には当てはまらないのです。六花亭のお菓子は長年、北海道民の日常に寄り添い、それでありながら、少しラグジュアリー感のある特別なおやつとしての存在を守り続けているのです。
六花亭の直営店でカフェスペースのあるお店に行くと、そのメニューのおいしさに度肝を抜かれます。
ビーフシチューやピザ、そして私が足を運んだ際には季節限定のかき氷がメニューにありまし たが、どれをとっても繊細で本格的なお味。北海道ではどこで何を食べてもおいしいというのはよく聞かれている言葉ではありますが、六花亭のカフェ及びレストランのおいしさはレベルが違うのです。
物産展には出回らない、おすすめの1品
私が六花亭の中で1番お勧めしたいのがヨーグルト。
実はこのヨーグルト、かつて私のInstagramで紹介したところ、多くの方から、北海道物産展大好きなのに見たことがない! という声をいただきました。 六花亭は道内各所のデパートに出店しているのはもちろんのこと、普段づかいの地元スーパーの数々にも出店をしており、道民の生活に密着した存在となっているのです。
日持ちしないヨーグルト類は、なかなか物産展などには出品されないとのこと。実は私も東京に住んでいた頃は、六花亭のヨーグルトがこんなにおいしいと全く知らなかったのです。このたび故郷に帰り、六花亭の店舗を何の気なしに覗いた際、ヨーグルトの存在に目が止まった私。
購入してみたところ…甘すぎず、かつ酸っぱすぎない、絶妙な甘さ。少し固めのテクスチャーなので、まるで甘さを抑えたパンナコッタを食べているかのような食感。この優しい甘さの加減、夜中に少し小腹が空いて何か食べたいなと感じた時など、気軽にお腹に収めるのはちょうどよかったりします。私は地元スーパーで六花亭のヨーグルトが目に入った時には、必ず2個3個と購入するようにしています。
広大な敷地を贅沢に活用した店舗も
道外から観光に訪れた方に、ぜひ個人的にお勧めしたいのは六花亭真駒内ホール店。
札幌駅近くの六花亭札幌本店や、北海道随一のパワースポット、北海道神宮の真横に佇む店舗など観光客にオススメの店舗は多くありますが、私は個人的にこの地下鉄南北線の終点である真駒内にある店舗がおすすめ。
目の前には広大な真駒内公園が広がり、青々としたポプラ並木が店舗からも臨むことができます。
売り場の一部は舞台になっており、クラシックコンサートも行われるという充実ぶり。高い高い天井に、こんなに余裕を持たせて良いのかと心配になるほどの敷地面積の広さ。これだけ贅沢な土地及び建物の使い方ができるのは、北海道ならではといえるでしょう。
ちなみに、真駒内ホール店の店長さんによりますと、やはり一番人気はマルセイバターサンド。これは道外の観光客の方からも圧倒的な人気を誇るとのこと。
逆に観光客の方にはあまり知られてはいないけれども、地元民にコンスタントに人気なのが「ひとつ鍋」と「大平原」。
大平原はマドレーヌのような焼き菓子。私も子供の頃から大、大、大好き。独特のバターの香りがたまらず、こんなにおいしい焼き菓子があるのかと幼心に感動した記憶があります。
六花亭が貫く“こだわり”が圧倒的なブランド力に繋がる
写真を見ているだけでも行ってみたいなー…うらやましいなと思いませんか? これだけの質の高さ、及びレストランのメニューの充実ぶりを見れば、なぜ六花亭の直営店を本州に出店しないのかと疑問になるところではあります。
実は六花亭は物産展などの出典形式を除いて、北海道外には一切進出しないと決めているというのです。そして、それが六花亭の超強力ブランドのプレミア感を維持し続けている秘密であるといえます。
六花亭の創業は北海道帯広市。十勝と呼ばれている地帯です。六花亭ほどの大企業であれば、せめて本社は札幌にあっても良いのではないかと素人ながらに思ってしまいますが、本社はあくまでも帯広市、というスタンスは長年ずっと変わらないのです。これだけの店舗数、商品数を誇っておきながら、工場は道内に3ヵ所のみ。しかもその場所が、帯広に2ヵ所、そして中札内に1ヵ所という徹底ぶり。十勝オンリーはずっと変わらないのです。
なぜここまで北海道、特に十勝にこだわり続けるのかが、六花亭ブランドの根幹を支える部分なのです。まず道外に進出しないのは、六花亭独自の流通ルートを守るべく、自分たちの目の届かないところには絶対に商品を持っていかないという強いこだわりがあるからとのこと。
そして、特に重要なのが十勝に住む人々の人間性だというのです。 工場も本社も帯広にあり、六花亭のお菓子の原料はもちろん北海道産がメイン。そしてそのお菓子を一つひとつ作ってくれるのも十勝の人々。都会の人々とはまた違った、実直かつ温かな人間性というのが、六花亭の人材の売りであるというのです。 確かに、六花亭で働いている方は本当にみんな驚くほど感じが良く、そして穏やかな方が多いのです。これは本当の話。十勝に限らず、札幌の店舗で働いている方も、本当に皆さん申し訳ない位にご親切な方ばかり。一体どのような研修をされているのでしょうか…。
北海道の中で雇用を生み出し、かつ北海道の人々のその実直さが変わらぬおいしさを生み続けているという、六花亭にとっても、道民にとってもwin-winの関係が築けているといえます。外ではなく、常に地元に目を向け続け、地元ファーストを貫いてきたからこその特別なブランドパワーが六花亭には備わっているのです。この姿勢、ビジネスの場はもちろんのこと、日常の人間関係においても学ぶべきところが多いのではないかと私は感じています。
家族だからわかってくれるだろうとか、家族を犠牲にして取引相手を優先させたりとか… 皆さんちょっと思い当たる節はありませんか? 身近な存在をまず一番大切にするということ。そしてその姿勢そのものが大きな価値を生み出し、新たなビジネスチャンスにつながると言う図式を私は六花亭から学びました。
そして真駒内ホール店の前にはワンちゃんの像まで。実は他の店舗にもこのワンちゃんがおり、正式名称は「sansone」という、彫刻家・板東優さんの作品です。探しに行ってみてください。
Profile
アンヌ遙香
1985年生まれ。北海道出身。2010年より小林悠名義でTBSでアナウンサーに。現在は札幌を拠点にフリーアナウンサー、文筆家、スクール講師などとして活動している。ゴールデンレトリバーの愛犬と仏像をこよなく愛す。
Instagram:@aromatherapyanne
編集部のおすすめやお知らせをアップしていきます。
この著者の記事一覧へ