スマホ撮影ではダメ?領収書の電子保存が可能になるというので詳細と課題をまとめてみた。
領収書の電子保存が来年から可能になる!?
今朝の日経新聞の報道が話題になっています。 参考:領収書の電子保管、企業に認める 税務規制を緩和 15年にも、コスト削減に追い風(日経新聞) 今日は、この改正の詳細、今までの領収書の扱い、その効果や注意点をまとめました!
以下の3つの手順で領収書の処理が完了するようになる
まずは、来年(早ければ)から、どうなるのかをまとめます。 (現在の3万円未満の領収書の保存要件がそのまま適用されることを想定しています。)
- 税務署に届け出を出す!(電子保存を認めてもらうための)
- 領収書やレシートは金額に関わらずスキャナーで撮って捨てる!
- そのデータを7年間保存
来年からは、この3点で、領収書やレシートの処理が完成します。これは、レシートの山に悩まされていた個人事業主や経営者にとっては、画期的なことです。
*参考:電子帳簿保存法が改正されました
スマホで撮るのはダメ!
電子保存OKということは、スマホでレシートや領収書を撮影して、その場で捨てるのもOK? と思われるかもしれませんが、これはスマホでの撮影ではなくスキャナーでないと認められない可能性が高いです。 スキャナーのスペックまで詳細に決まっています。(詳細は下記リンクをご覧ください。) *参考:電子帳簿保存法が改正されました
経済効果は3000億円!
日本企業は、電子保存が部分的にしか認められていない現在の制度のせいで、領収書の保管に3000億円ものコストを掛けているとされています。 電子保存を認めることで、コストを削減でき、法人税0.6%減税と同じ程度の効果があると言われています。 *参考:税務書類の電子保存に関する報告書
じゃあ今までは領収書の保存ってどうなってたんだっけ?
領収書っていままでどう保管しなくてはいけないか、きちんとしたルールを知らなかったという方もいるかと思います。 そこで、今までの領収書やレシートの扱いをまとめておきます。
そもそも領収書って何で保管する?
領収書やレシートを保管する意味は意外とわかりにくいかもしれません。たしかに、確定申告では、領収書を全部提出するわけではありません。 しかし、支出を確実に証明するために領収書の保存は必須です。(税務調査の際) もし、全部捨てていたりすれば、経費、損金、消費税の仕入れ課税控除が認められず、税金を多く納めなくてはいけなくなる可能性があります。
今までも3万円未満は電子保存可能だった
今までも、領収書やレシートは、
- 税務署に届け出を出すこと
- 3万円未満であること
この2つの条件を満たせば、電子保存が可能でした。 今回は、この3万円未満という条件が撤廃されることになります。
今回の改正の残念な点と今後の期待…
今回の動きで、少し電子化が進みますが、まだまだ、残念な部分や改善の余地はあります。金額の制限を撤廃するだけでは十分ではないでしょう。
1:スマホでの撮影を認めて欲しい
スモールビジネスやフリーランスは、経理を任せる専任の人がいるわけではないので、溜めて一度にスキャンというのも時間がかかってしまいます。スマホ撮影での保存が認められれば、その都度、写真を撮っては、紙を捨て。といった感じで、経理がより効率化するでしょう。 スキャナー要件の緩和が期待されます。
2:今までのレシートもスキャンして捨てられるようにして欲しい
これは注意点でもあるのですが、今後数年間、今年の分までの領収書を紙でとっておかなくてはいけません。 遡及立法が禁止されているというのもありますが、この分野に関しては、例外規定で、過去のものの電子保存も認めてもらいたいものですね。
3:紙の領収書が減る世の中に
そもそも、紙で発行したときには、スキャンしたりと手間が発生するのですが、PDFで発行してメールで送付すれば、原本保存やスキャンといった手間は掛かりません。紙の領収書が減る世の中になってほしいですね。また、ビジネスをやられている方は、メール等で領収書を送れば、お客様の手間削減になると意識しておくとよいでしょう。
また、今回の決定は、方針が決定しただけなのでこれが確実に実現されることも願わなくてはいけません。
*参考URL 領収書の電子保管、企業に認める 税務規制を緩和 15年にも、コスト削減に追い風 税務電子化、日本はガラパゴス ドリルを手にとれ(3) インタビュー 「紙でないと…」 現場の言い分 ドリルを手にとれ(3) インタビュー