前回は、一時的な大きな支出を補うために、ローンを組んで乗り切る方法を説明しましたが、ここで借金について考えてみます。
一般的に、借りる方は、大きな出費があるけど、手持ちに十分な現金がないときに、一時
的にあるまとまった金額を借りて、以後、返済していくわけです。一方、貸す側としては、あ
る期間で返済されることが絶対条件で、加えて、ビジネスの場合は、利息からの利益を期
待しています。どのような場合にも、返済ということが重要です。もし、返済を仮定しな
い場合は、贈与、譲渡などとなり、税や簿記などの上でも扱いが変わってきます。
それでは、どこから借りるか、ということをみてみます。
1) 一般的な金融機関
銀行やクレジットカード会社などから借りることです。Reasonable な金利で借りれる可能性がありますが、以下述べるように、信用、または担保が必要です。
1a) 担保がある場合
これは、土地や家などの固定資産を購入する場合に、銀行から住宅ローンを組むような場
合です。この場合は、対象となる固定資産が担保となるので、返済が不可能となった場合
でも、貸す方としては、固定資産を処分して、回収することができます。ただし、担保の
価値が変動して、著しく下がった場合は、回収できないリスクもあります。典型的な例が、日
本の1990年代初頭のバブルがはじけた時の不良債権で、帳簿上はバランスがとれてい
るように見えても、実際に担保を売却するときには、大きな赤字がでるので、なかなか清
算することができず、10年以上にわたり、日本経済の足を引っ張ってきました。
1b) 担保がなく、信用で借りる場合
この場合は、返済が滞るような事態にならないか、きびしく審査されることになります。ア
メリカの場合は、credit history にもとづく credit score などで、個人の信用が判断されます。日本の場合は、本人が返済できない場合を想定して
の、(連帯)保証人を立てることが条件になることが、よくあります。
2) 怪しい金融機関から借りる
上記の金融機関以外で、担保も信用もなく、手軽に借りれるところがあります。しかし、物
事には裏表があるのが常で、この場合は、利息が異常に高い、返済が滞ったときの回収方
法がえげつない、などということがあります。手軽に借りれますが、返済が滞るような事
態に陥る前に、できるだけ早めに清算しておくことが大事です。慢性的にこれに頼るよう
になったら、借金地獄の一歩手前と考えるべきです。
3) 知人から借りる
友人や親類などから、お金を借りる場合ですが、場合によって、利息もなく、返済期限も
設定されていない、などという好条件のこともよくあります。現実的な判断による信用は
考慮せず、完全に個人的な関係をベースにしているわけですが、状況によって、人間関係
が壊れる可能性が高く、2) と同様、できるだけ避けるべきです。貸す方も、返済は期待せず、いざとなったら、返済
をあきらめ、あげる覚悟がなければ、貸すべきではありません。特に、余裕のある親から
借りる、というような場合は、最初から、贈与を考えた方がいいかもしれません。
また、ローンの場合は、使用目的が、重要です。通常は、特定目的に、一時的に大きな金
額の支出があるから、借りるわけで、このお金を別の用途で使うことは、絶対に避けるべ
きです。別の用途で使えば、当初予定していた金額がすぐに足りなくなるのは明らかで、ま
た別の借金をしなければいけません。また、使用目的が決められたローンの場合、別の用
途に流用することは、詐欺になります。仮に、上記の 2) や 3) で、使用目的が限定されていない場合でも、自分自身できびしく戒めるべきです。
例えば、毎月の支出が収入より大きく、だんだん残高も減ってきて、底をついてきたから、ロ
ーンをする、というのは、絶対避けるべきです。誰が考えても、返済できる見込みはあり
ません。それならば、まず、収入を増やすなり、無駄な支出を極力減らす、という努力を
すべきです。悪い典型的な例が、日本政府です。税収を増やす努力をせず、国債を乱発し、無
駄な支出を減らすどころか、逆に、国民からの税金や国債からのお金を流用して、娯楽に
使うなど、破綻に向かって進んでいるのは明らかで、15-25年後には、経済的に破綻
するのは確実です。
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