メキシコ(1
2002年 01月 08日
メキシコという国は、知っているようであまり知らない。世界遺産が21もある歴史と自然あふれる国である。
世界3番目の規模を誇るピラミッド・ティオティワカン。謎に包まれた数多くの巨石遺跡が残るマヤ・アステカ文明の中心地。
しかし昨今の日本人旅行者に人気なのは、世界有数のビーチリゾート・カンクンであり、
「地球の歩き方」では、首都メキシコシティを出しぬき、まずカンクンが紹介される有様である。
古代文明が栄えたこの地には、
残念ながらメキシコ語もなければメキシコ人もいない。
公用語はスペイン語であり、
町で人を見ても「メキシコ人」とくくれる共通の枠はなく、
それはかつて学校の社会で習った「メスティソ」
(先住民とスペイン系白人の混血)が、人口の約80%を占めるからである。
その風景は意外にも極めてヨーロッパ的だ。
どこの町にも、大教会(カテドラル)を中心とした広場(ソカロ)があり、
そこが町のセンターだ。ないのは城ぐらいなものである。
約95%がカトリック教徒であり、
町の片隅やバスの運転席にもキリストが奉られている。
その信仰が意外にも熱心であることに驚かされる。
スペインに征服されたにもかかわらず、
うまくスペイン文化と融合した安定さを感じさせる国だ。
(写真:メキシコシティ・メトロポリタンカテドラル)
メキシコというとなんとなく「治安が悪い」「物価が安い」「後進国」といったイメージを持つかもしれないが、
そんなことはない。大都会。立派な先進国である。
標高2200mにある首都メキシコシティは人口2000万人の世界一の大都市だ。
車がひっきりなしに走り、ファミレス・コンビニ・ファーストフードもある。
ちなみに今年大騒ぎのワールドカップにも日本開催グループにメキシコは登場する。しかも世界ランクは9位である(日本は35位)。
タコス屋台で知り合ったおやじに諭されたものだ。
「日本は確かにいいチームだ。しかしメキシコに比べればまだまだだ」と。
町を歩き、教会の前にたたずみ、サボテン山を越え、古代遺跡をまわる。
そんなメキシコの旅で考えたのは「神」だった。
2001-2002tubuyakiSPECIALで書いた「神なき時代に未来はあるか」。
今年は日本にとっても世界にとっても大きな時代の転換期にあたる。
そこに出てくるいくつかのキーワードの中でも重要なものの一つが「神」である。
“神とは何か?”
2002.1.1に発売されたミスチルのニューシングルB面「さよなら2001年」で、
桜井君はこんなことを言っている。
「ねえ神様 あなたは何人いて一体誰が本物なの?」
その答えになるヒントをメキシコという国は与えてくれたように思う。
神なき時代のカテドラル。 神なき時代のピラミッド。
そこに現代の危機を乗り越えるヒントがあるように思えてならない。
(写真:トゥーラ遺跡・4人の戦士像)