NHKで「お葬式のマナー」を解説したこともある私が、お通夜お葬式に着ていく防寒着(アウター)について語ります。
防寒着(アウター)はいろいろありますが、お葬式のようなフォーマルな場のドレスコードとして、コートを着ていくべきです。
これから安くて良い、お葬式にふさわしいコートの選び方について解説します。
その他お葬式の服装について知りたい方は先に↓こちらの記事をどうぞ。
目次
喪服にコートはいらないのか
マナー上、お通夜お葬式の服装として、必ずコートを着用しなければいけない、というわけではありません。
最近は暖房の完備された葬儀会館でお通夜お葬式行われることが多く、そこまで車で行くこともあるでしょう。
また火葬場に行く際は、葬儀会館の玄関を出てすぐにマイクロバスに乗り込みます。
これらの場合、必ずしもコートは必要ありません。
とはいえ、訃報(亡くなったという知らせ)は急に飛び込んできます。
たとえば、式場まで公営バスを乗り継がなくてはならず、真冬のバス停で待つということもありえるでしょう。
いつどこに参列するか事前に分からないのですから、いざというときにそなえて、1着は葬儀に持って行けるコートを用意しておきましょう。
お葬式のコートのドレスコードはゆるい
お葬式のコートは、喪服や礼服に比べてドレスコード(服装の決まりごと)がゆるいです。
日本のマナーでは、「コートは部屋に入る前に脱ぐ」ということになっているので、
葬儀式場の受付前に立つ段階では、コートを脱いで小わきに抱えているはずです。
ホテルのように、スタッフが常駐するクロークがある葬儀式場はほとんどありません。受付が終わると、退席するまで小わきに抱えるか、式場の一角に設けられたコート掛けにかけておくケースが多いです。
あなたが親族なら親族控室に案内されて、そこにコートを掛けておくこともあるでしょう。
こういう言い方は語弊がありますが、裏側にして折りたたんでいれば、よほど派手ではない限りデザインや色は分かりません。つまりマナー違反かどうかは問われません
安物を着ていってもバレません。
ただしダウンジャケットやブルゾンなど、あきらかにカジュアルだと分かる防寒着を、大人がお葬式に着ていくのはマナー違反です。
お葬式の時しかコートを着ないという方は、それほどお金をかけなくても良いでしょう。
チェスターコートなど、クラシックなデザインで、色は黒がベストですが、紺・グレーでも許容範囲です。
以下、適当なコートを持っていなくて、お買い求めになる方のための記事です。
時間のある方はユニクロへ なければAmazon
さきほど述べたように訃報は急に飛び込んできて、時間的に余裕がないことが多いです。
買いに行く時間のある人はユニクロがおすすめです。
1万円程度で高品質なコートが手に入ります。
そこまで予算がない方はGUなら、7千円前後で入手できます。
ただし品質と価格のバランスを考えると、私はユニクロの方がコストパフォーマンスが高いと思います。
紳士服量販店は、店舗の商品が割高なので、おすすめしません。
時間が無いか情報弱者の方が買いにくるため強気の価格設定が行われているからです。
仮に明日お通夜というような状況で、ユニクロに行く時間が無いという方は、Amazonプライムで注文すれば
翌日届きます。
サイズ違いに注文して、合わないものを返すことも可能です。
お葬式のコートはユニクロにあります
すぐに買いに行けて手軽な値段ということで、思いつくのはユニクロとGUでしょう。
以前
というユニクロで買える喪服礼服の記事を書いて結構読んでいただいていますが、お葬式に着ていくコートもユニクロにあります。
(2022年冬~)
この章で紹介しているのは、2022年冬のコレクションです。古いアイテムが売れ残っていれば安く買えるので以前の記事も残しています。とはいえ売り切れている場合が多いので、
最新記事を読みたい方は↓こちらの章に飛んでください。
お葬式のコートはユニクロにあります(2024年冬~)
去年2021年に続き今年2022年の冬もラインナップがそろっています。
以下、くわしく紹介していきますが、基本的に色は黒を選んでください。
順位はフォーマル度を表しています。
お葬式の場合はフォーマル度=おすすめ度と考えてください。
男性用 ○これがおすすめ
ユニクロメンズコート一覧 の中から、お葬式にふさわしいコートを選んでみました。
本来最もフォーマルな場にふさわしい男性のコートは、黒のチェスターフィールドコート(エリがスーツの襟と同じ形状のコート)です。
正直えり元が寒くてしょうがないので真冬はマフラーが必須ですが、これが最もフォーマルなコートなのです。
お値段は定価で素材は羊毛90%、カシミヤ10%ということで申し分なしです。
お値段は15,900円とユニクロにしては高めですが、ホテルで行われるお別れ会に着ていっても恥ずかしくないクオリティです。
9,990円のシングルブレストコートもあります。シルエットは良いのですが、黒がないのがマイナス。どうしても着たい人はネイビーを選んでください。
またウールに似せた化学繊維なので、よく見るとウールでないことが分かります。しかし前述したとおり、葬儀式場では小脇にかかえているので、気にすることはないでしょう。
ただし基本薄手なので、12月以降使用するのは寒いと思います。
男性用 ×これは着てはいけない
成人男性の場合、以下のピーコート・ダッフルコート・ダウンジャケットなどカジュアルなデザインは避けましょう。
女性用 ○これがおすすめ
お葬式に着ていく前提なら、女性用は男性用に比べるとラインナップが少ないです。
羊毛が40%の化学繊維混合ではありますが、
フォーマルなデザインと値段(12,900円)を考えると、このロングコートがベストです。
2位は男性用で紹介した9,990円のシングルブレストコートです。
男女兼用のデザインなので、女性も着用できます。
同じ説明になってしまいますが、シルエットは良いものの、黒がないので、どうしても着たい人はネイビーを選んでください。
これまで紹介したチェスターコートやシングルブレストコートに比べると、フォーマル度はいくぶん落ちますが、トレンチコートも許容範囲です。
色はベージュではなく、黒を選んでください。
コットン60%、 ポリエステル 40%の混合素材で、基本薄手なので、12月以降使用するのは寒いと思います。
女性用 ×これは着てはいけない
さきほどおすすめで紹介した1位のダブルフェイスコートと比べると、
・ボタンがなくベルトでしめるガウンタイプ
・ラペル(エリ)が大きい
ということで、カジュアル寄りのデザインです。
お葬式に着ていくことはおすすめしません。
ユニクロ公式 | ウールカシミヤローデンコート(コントワーデコトニエ)
デザインもフォーマルですし、素材も羊毛90%、カシミヤ10%ということで申し分なしです。
ただ、高い。49,900円です。
正確に言うとコントワーデコトニエであることを考えると安いのですが、お葬式に行くために買うのであれば、高いです。
予算に余裕のある方はどうぞ。
ほか、ユニクロにはいろいろなコートのラインナップがあるものの、どれも
- 色(黒以外)
- 素材(フリースなどの化学繊維)
- デザイン(カジュアル)
というマイナス要素を含んでいるため、おすすめしません。
以上ユニクロで買えるコートの解説でした。
2023年冬~
去年2022年に続き今年2023年の冬もラインナップがそろっています。
以下、くわしく紹介していきますが、基本的に色は黒を選んでください。
順位はフォーマル度を表しています。
お葬式の場合はフォーマル度=おすすめ度と考えてください。
男性用 ○これがおすすめ
去年に引き続き、1位は黒のウールカシミヤのチェスターコートです。
前年書いたことと重複しますが、本来最もフォーマルな場にふさわしい男性のコートは、黒のチェスターフィールドコート(エリがスーツの襟と同じ形状のコート)です。
正直えり元が寒くてしょうがないので真冬はマフラーが必須ですが、これが最もフォーマルなコートなのです。
素材はウール90%、カシミヤ10%ということで申し分なしです。
お値段は17,900円とユニクロにしては高めですが、ホテルで行われるお別れ会に着ていっても恥ずかしくないクオリティです。
去年のモデルと比べて、胸周りが立体的に仕立てられており、さらに丈が少し長くなってよりフォーマル感が出ています。
予算のある男性はこれ一択です。
去年と同じく2位はシングルブレストコートです。
値段は12,900円。去年のモデルは9,990円だったので値上がりしています。その理由は、去年が全て化学繊維の混合素材だったのに比べて
今年のモデルは35%のウールが使われており、品質が向上しているからです。
ただお買い得感で言うと、1位のカシミアウールのコートの方が上です。
黒は無いのでネイビーを選んでください。
コットン素材のトレンチコート。
1位のチェスターコートに比べると大幅にフォーマル度は落ちますが、お葬式のコートとしてはギリギリ許容範囲でしょう。
日頃のカジュアルファッションと兼用したい人は、こちらをどうぞ。
軽い撥水加工がされているので、雨の日にはいいでしょう。
ただ中綿のキルティング加工がされているとはいえ、気温が10度を着ると寒いはずです。
当然色は黒を選んでください。
女性用 ○これがおすすめ
お葬式に着ていく前提なら、女性用は男性用に比べるとラインナップが少ないです。
2023年11月16日まで期間限定価格で9,990円→その後さらに値引きで7,990円
ダブルフェイスとは、2枚の記事を張り合わせて1枚にしたもの。保温性を高める効果があります。
素材は37%ウールを混ぜた混合素材。
色も黒がラインナップにあり、長めの丈もあって、フォーマル度は最高です。
今年の問題は、ラインナップの中に他の選択肢がないところ。
正直ユニクロの2023年冬モデルで、女性がお葬式に着ていけるコートはこれだけです。
コントワーデコトニエのダブルフェイスロングコートは、襟のデザインが大き過ぎますし、なにより47,900円は高すぎます。
他のラインナップは値段・デザイン・素材・色がちょっと厳しいです。
ダウン素材系のラインナップは豊富なのですが、お葬式にはちょっと厳しいです。
次点は↓こちらのトレントコートですが、男性はともかく女性がお葬式に着るのはふさわしくないでしょう。
2024年冬~
2024年冬のモデルが出始めました。
男女兼用 ○これがおすすめ
2024年冬のラインナップ、男性がお葬式に着ていくにふさわしいコートは2着です。
ポリエステル67% , ウール33%と、ウールを混ぜた素材を、ダブルフェイスということで裏地にも使っているせいか、12,900円とユニクロにしては少し高めです。
デザインはシンプルなシングルコートで、欲を言えばもう少し丈が長ければクラシック感が出てよかったのですが、お葬式でも問題ないです。
色は黒を選んでください。
次に
デザインはクラシックなチェスターフィールドコートで、丈はクラシックなものと比べると少し短めです。
羊毛90%に高級素材カシミヤを10%ブレンドした素材で出来ています。
この落ち着いた光沢はウールだけでは出せないでしょう。ホテルのお別れ会に着ていっても問題ないレベルです。
値段は17,900円とカシミア混じりの素材のコートとしては格安ですが、ユニクロのラインナップとしては高いと感じる人もいるかもしれません。しかし個人的には、先ほど紹介したダブルフェイスコートよりコスパは高いと思います。
色は黒を選んでください。
女性用 ○これがおすすめ
1位 ユニクロ公式 | ダブルフェイスチェスターロングコート
ややゆったり目のクラシックなデザインのチェスターコートで、着丈も長めで申し分なしです。
色は黒を選んでください。
「コントワー・デ・コトニエ」ブランドため、デザインはクラシックではなく、ややモード感があり、値段も高めです。
セール時は17,900円でした。
素材はウール70% , ナイロン20% , ポリエステル10%。
シングルタイプなので、ダブルに比べるとフォーマル感は落ちますが、カジュアルな普段遣いがしやすいのが、利点です。
19,900円とお高いです。
ダブルフェイス(表地と裏地が同じ)で、デザインもダブル(ダブルブレスト。正面のボタンが2列になっている)です。ボタンの処理に若干モード感があるため3位としました。
こちらも2位同じく「コントワー・デ・コトニエ」ブランドです
素材は、ウール55% ,ポリエステル40% ,カシミヤ5%で、さすがというべきかカシミアがブレンドされており、黒でも上品な光沢感があります。
お葬式のために買うなら、1位のダブルフェイスチェスターロングコート かユニセックスで着られるダブルフェイスコート(男性の記事参照)の方が良いでしょう。
GUにもお葬式に着ていけるコートがあります
GUは2021年には適切なコートがなかったのですが、2022年からいくつかでてきました。
2022年冬~
この章で紹介しているのは、去年2022年冬のコレクションです。自分のサイズが売れ残っていれば安く買えますが、売り切れている場合が多いので、
↓こちらの章に飛んでください。
お葬式のコートはGUにもあります(2023年冬~)
男性用 ○これがおすすめ
シルエットはオーソドックスなチェスタータイプです。
素材がウールではなく、化学繊維で作られたウールタイプの生地のため、高級感はありません。
5,990円という価格は魅力的です。
日本ではステンカラーコートと呼ばれていますがこれは日本でしか通じない和製英語。国際的にはバルマカーンコート言われています。
なぜかユニクロではステンカラーコートと呼んでいるのが謎です。
エリ付きのシングルタイプのクラシックなデザインです。ただし薄手のポリエステル製なので12月以降の使用は厳しいと思います。
男性用 ×これは着てはいけない
上記の2点以外は、お葬式に着ていけるデザインのコートはありません。
女性用 ○これがおすすめ
男性と同じくニットメルトンテーラードコートをおすすめします。
シルエットはオーソドックスチェスタータイプ。
素材がウールではなく、化学繊維で作られたウールタイプの生地のため、高級感はありません。
お値段は男性と同じく5,990円です。色は黒を選んでください。
女性用 ×これは着てはいけない
男性に比べるとコートの種類は少しだけ多いのですが、在庫があるものは、フード付きだったり、春ものだったり、オーバーサイズデザインだったりで
つまりカジュアルなデザインのため、お葬式には不向きです。おすすめしません。
2023年冬~
ユニクロと比べると少し品質は落ちますが、GUにもお葬式に着ていけるコートがあります。
順位はフォーマル度を表しています。
お葬式の場合はフォーマル度=おすすめ度と考えてください。
男性用 ○これがおすすめ
6,990円。
チェスターコートのデザインで、今年のGUのコートの中でもっともフォーマルです。
素材は100%ポリエステルで、ウールっぽく仕上げています。
ポリエステル素材は、光が当たると不自然な光沢が出てそれが安っぽいのですが、今年の素材は光沢を抑えています。
ウールと比べると高級感はありませんが、値段を考えるとがんばっている印象です。
サイズがXS~3XLまでと、幅広くそろっているのも高評価です。
色は黒を選んでください。
残念ながら黒はなく、ネイビーのみです。
それからデザインもオーバーサイズ気味に着こなすようにできているので、カジュアル感が強いです。
ただ3,990円に値下げされていて、とても安いので、ご予算の厳しい方におすすめです。
女性用 ○これがおすすめ
6,990円。若い方向けのカジュアルアイテムが多いGUのラインナップ中では、このバルマカーンコート(ステンカラーコート)は貴重です。
ペットボトル等を再生したポリエステル100%素材でできています。
色は黒を選んでください。
2位GU公式 | コージーメルトンバルマカーンOSA+EC(丈長め112.5~119.5cm)
1位のコートの着丈を長くしたタイプです。お値段は同じく6,990円ですが、こちらはネット限定販売です。
着丈が長いほうがフォーマル度は増すので、本来デザイン的にはこちらを1位にしたいのですが、
このラインナップには黒がなく、ネイビーを選ばざるを得ないので2位にしました。
2024年冬~
2024年GUのラインナップです。
男性用 ○これがおすすめ
残念ながら2024年はチェスターコートのラインナップはなくなり、お葬式に着ていけそうなのは、このバルマカーンコート(日本ではステンカラーコートとも呼ばれることも)のみだけでした。
チェスターコートに比べると、フォーマル度は落ちますが問題ありません。
色は黒を選んでください。
女性用 ○これがおすすめ
GU公式 | コージーメルトンテーラードコート+EC(丈長め113.0~120.0cm)
とてもクラッシックなデザインのコートです。
素材はポリエステル100%です。最近化学繊維の加工技術が向上しているのか、数年前の商品と比べると見た目の高級感は上がってきているようですが、ウールやカシミアを使っているユニクロのコートと比べると見劣りします。
ただ6,990円と安いので、予算の厳しい方や若い方はGUにしてもよいのではないでしょうか。
これ以外はカジュアルすぎて、お葬式にふさわしいコートはありませんでした。
以上、GUのコートの解説でした。
↓他にも女性のお葬式の服の解説を、こちらの記事で書いています。
参考にしてください。
コートを脱ぐのを忘れないで!
ひどい人になると着たまま焼香しようとする。無作法というより、おそらく慣れない状況で緊張して、脱ぐのを忘れてしまうのでしょう。
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