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冬に食べたくなる「加賀れんこん」 粘りが強いもっちり食感が特徴

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 加賀野菜の一つで、11月から12月にかけて出荷のピークを迎える「加賀れんこん」。鉄分を多く含む良質な土壌で育つため、表面は茶色く、皮をむけば雪のように白い。肉質がきめ細かく、もっちりとした食感とシャキシャキとした歯触りが特徴。デンプン質が多いため粘りが強く、すりおろしがつなぎなしで固まるため、金沢では郷土料理の「はす蒸し」や「すり流し汁」として親しまれている。食物繊維やビタミンCが豊富で、寒さで代謝が落ちる冬には欠かせない食材だ。

加賀れんこんを使った「はす蒸し」(写真提供=金沢市)


収獲された加賀れんこん

 金沢市では、1945(昭和20)年以前から栽培され、現在も金沢で栽培されている野菜を「加賀野菜」として認定し、ブランド化している。加賀れんこん栽培の歴史は古く、藩政の時代までさかのぼる。由来は諸説あるが、加賀藩5代藩主だった前田綱紀が、美濃国から持ち帰ったのが始まりとされている。現在は、金沢市北部の小坂、薬師寺、才田、森本地区などで栽培され、寒暖差や季節感がある気候風土に加え、粘土質泥地の土壌で、粘りの強いレンコンが育つと言われている。収穫方法にも特徴があり、水を張ったままの田んぼからホースの水圧でレンコンを収穫する「水堀」と、水を抜いた田んぼからくわを使ってレンコンを掘り起こす伝統的な「くわ掘」の2種類が行われている。


「水堀」での収穫の様子


「くわ堀」での収穫の様子

 JA金沢市によると、現在の生産面積は45.5ヘクタールで、約40戸の生産者が栽培を行っている。2024年度の生産量は620トンを見込んでおり、10月末時点で前年比110%と順調に推移しているという。出荷は、8月上旬に始まり、翌年5月下旬までと通年に近いが、12月から出荷量が一気に増え、生産者にとっても一番の繁忙期となる。出荷先は県内が6割で、残りは全国へ発送している。JAの担当者は「歳暮で県外へ送る人も多い。おせち料理にも欠かせない食材で、寒い時期になると食べたくなるようで、冬に需要が高まる。県外産の安価なレンコンが流通している中、ブランド化してPRしている」と話す。


加賀れんこんの栽培風景

 金沢市農産物ブランド協会によると、加賀れんこんは、加賀野菜の中でも、とりわけ認知度が高く、人気の野菜だという。担当者は「加賀料理の治部煮やはす蒸しなど、金沢の食文化にも欠かせない野菜。金沢市の小中の学校給食にも毎年出していて、地元食材への理解を深めている。協会のホームページでは、レシピも紹介している」と話す。


加賀れんこんをアピールするJA加賀れんこん部会の皆さん

 2020年からは、JA金沢市加賀れんこん部会のインスタグラムを開設し、情報発信にも力を入れている。加賀れんこんの専用キッチンカーを部会で用意し、イベントなどで、素揚げしたレンコンやレンコンコロッケなど、新しい食べ方の提案も積極的に行っている。JA金沢市で加賀れんこん部会を担当する天野翔之さんは「生産者は手間暇かけて、大切に育てている。収穫作業も大変な力仕事。たくさんの人に加賀れんこんを食べて喜んでほしい」と呼びかける。


加賀れんこんキッチンカー

JA金沢市加賀れんこん部会(インスタグラム) https://www.instagram.com/ja_kagarenkon/

 

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