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冷房つけるの我慢しないで。熱中症リスクとエアコン節電法をパナソニックが解説
2022年6月23日 08:05
パナソニックは14日、熱中症対策セミナーをメディア向けに開催。セミナーには医師の清益功浩先生が登壇し、熱中症のメカニズムや対策について解説。さらにパナソニックのエアーマイスターがエアコンの節電方法や熱帯夜の快眠テクニックを紹介した。
熱中症になるとどうなる? 高齢者は特に注意
清益先生は熱中症のメカニズムについて、次のように説明した。
「脳を含む臓器は37℃以下で最もうまく働き、体温が高くなると機能しにくくなります。また汗をかいて体内の水分が減少すると、筋肉や脳、肝臓や腎臓などに十分に血液が行き渡らず、筋肉がこむら返りを起こしたり、意識を失ったり、肝臓や腎臓の機能が低下したりします。こうして体の調子が悪くなり、熱中症が引き起こされます」
熱中症は症状によって3つの段階に分けられる。めまいや筋肉のこむら返りは軽症のI度で、現場の応急処置で回復できるという。しかし頭痛や嘔吐などの症状が出ると中等症のII度に分類され、医療機関への搬送や受診が必要となり、意識障害や痙攣などの重症、III度になると入院して集中治療する必要性があるとする。
清益先生は「高齢者は特に注意が必要です」と呼びかける。高齢者は若年者よりも体内の水分量が少ないうえ、老廃物を排出する際にたくさんの尿が必要なため、体内の水分が不足しがちだという。加えて、暑さやのどの渇きに対する感覚が鈍くなるほか、体温の調節機能も低下するため、熱中症になりやすいのだという。
このほか、熱中症による死亡者に関するデータも紹介された。東京都監察医務院のデータ(2019年)によると、東京23区における熱中症の死亡者数は日中よりも夜間の方が多かった。また、翌2020年の屋内での死亡者のうち約9割はエアコンを使用していなかったことも明らかに。
清益先生によると熱中症を防ぐためには、動いていなくても、のどが渇いていなくても、こまめに水分補給することが大切だという。水分だけでなく塩分も補給し、暑い日は無理をせずにエアコンを使用するよう呼びかけている。
エアコンを上手に使って電気代を抑えよう
パナソニックが5月に行なった調査によると、夏にエアコンをどのくらい利用するかという問いに、「暑いと感じたらつける」と回答した人が58%だった一方で、「ガマンできる時は消す」と回答した人が29%いることが判明。
エアコンの利用を控える理由については、「電気代がかかるから」「冷え過ぎるから」「体に悪いと思うから」の3つが上位に。特に60歳以上の人がそのように回答していることが顕著に表れたという。
パナソニックのエアーマイスター・福田風子氏は、節電につながるエアコンの使い方について6つのポイントを紹介した。同氏は外気との温度差が大きいほど消費電力が高くなると説明。冬場の暖房運転より夏場の冷房運転の方が消費電力は低く、さらに冷房運転の場合は設定温度を1℃上げることで約13%の省エネにつながるとした。
また設定温度と室温は同一ではないことも強調。環境省が推進するクールビズでも「室温」28℃が目安とされている。設定温度が28℃だからといって室温も28℃になるとは限らないため、暑いと感じるときは無理をせず設定温度を下げることも必要だとしている。
エアコンの節電方法
1.設定温度を下げすぎない
設定温度を下げるよりも風量を上げた方が省エネ。風を感じることで体感温度も下がる
2.風量は「微風」ではなく「自動」で
風量が弱いと設定温度になるまでに時間がかかり、余計な電気代がかかってしまうことも。運転開始直後はいち早く設定温度に到達するように、風量「自動」がおすすめ
3.窓からの日射はしっかり遮断
せっかく冷えた部屋に熱が入らないよう、カーテンや断熱シートなどで遮断する
4.サーキュレーターを併用する
冷たい空気は下に溜まるため、サーキュレーターで撹拌して室内の温度ムラをなくすことで効率よく部屋を冷やせる
5.フィルター掃除をする
フィルターが汚れていると冷房の効率が悪くなり、無駄な消費電力がかかってしまう。フィルターを1年掃除しないと約25%も電気代がアップ。2週間に1度のフィルター掃除を推奨している
6.室外機にも気を配る
室外機周辺が高温になると冷房の効きが悪くなる。日よけをつけて日陰を作るといいが、その際は空気の通り道を塞がないように注意
また、エアコンの冷たさが苦手な人には「エアコンの設定温度を下げすぎない」「カーディガンやブランケットで調整する」「除湿運転を活用する」「エアコンの風が直接当たらないように風向を調整する」などの対策を行なうといいとアドバイスした。
熱帯夜にぐっすり眠るには? 寝室専用エアコンも
続いて福田氏は、夏の暑い夜に快適に眠れる睡眠環境づくりについて、7つのポイントを紹介。
熱帯夜の快眠テクニック
1.深部体温を上げる入浴
就寝の90分前に38~40℃のぬるま湯に約15分浸かる。入浴後すぐに寝る場合はシャワーがおすすめ
2.リビングや浴室の照度は控えめに
脳をゆっくり休めるために、照明の明るさを抑える。暗い中でスマホを触るのも刺激となるので控える
3.パジャマはゆったりとした長袖・長ズボンが理想的
手首や足首がすぼまっておらず、汗を吸いやすく通気性のいい素材を選ぶ
4.在宅勤務の人は「入眠儀式」を意識すべし
在宅時間が長いと意識のオン/オフが切り替えづらい。寝る前のルーティンを作ることで意識をオフにする工夫を
5.エアコンは寝室に入る30分前にON。上向きに送風
夜まで使用していなかった寝室には熱がこもっているため、寝る30分前にエアコンをつけ、日中に熱された壁や天井をしっかり冷やす
6.エアコンはタイマー運転にせず、設定温度は26~28℃に
エアコンはオフタイマーを設定せず、快適な温度でのつけっぱなしを推奨している
7.湿度は60%以下に保つ
湿度を下げると涼しく感じやすい
就寝時のエアコンの悩みとして多いのが、冷えすぎてしまうこと。寒くなるからとタイマーをセットすると、今度はエアコンが切れたときに暑くて起きてしまうこともある。このような悩みに着目して、パナソニックは寝室専用のエアコン「Eolia sleep(エオリア スリープ) 22PXシリーズ」を1月に発売した。
エオリア スリープは本体、リモコンのほかにベッドサイドセンサーが付属するのが特徴。同センサーを枕元に設置することで、より体感温度に合わせた温度コントロールが可能となる。また就寝時専用の運転モード「快眠環境運転」も備え、睡眠中の深部体温が理想的なVカーブを描くように、細かな温度調節を行なう。
おもに6畳用の「CS-PX222D」、同8畳用の「CS-PX252D」、同10畳用の「CS-PX282D」の3モデルをラインナップ。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は163,000円前後~193,000円前後。
2022年の夏は酷暑が予想されており、関東では気温が30℃を超える日も増えてきた。日中だけでなく、夜間にも熱中症への十分な注意が必要だ。電気代がかかるからと我慢せず、今回紹介した節電方法を取り入れながらエアコンを活用して、快適な夏を過ごしてほしい。