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お台場臨海地域ではじまった「EVバイクシェア」を試乗してきた、安定して乗るには慣れが必要か
2023年5月29日 17:37
ドコモ・バイクシェアと東京都は、小型のEVバイクをシェアサイクルのように共有できる「東京EVバイクシェア」を29日から提供を開始した。
これまでの赤い電動自転車に加えて、「EVバイク」という選択肢が増えることになるが、貸出返却方法やこれまでのシステムとの違いはどこにあるのか? 今回は、実際に試乗する機会を得たので、システムなどもあわせてご紹介する。
普通免許が必要、ヘルメットは着用を推奨
今回使用するEVバイクは、道路交通法では「ミニカー」に該当する。運転する際に必要な免許は、「普通自動車」以上の運転免許が必要で、利用中は免許証の携帯が必要となる。二輪免許だけでは運転できない。
また、運転中のヘルメット着用は義務づけられていないが、ドコモバイクシェアでは、ヘルメット着用を推奨している。ただし、ドコモバイクシェアでは、ヘルメットの貸出はしていない。
なお、今回のEVバイクでは、自動車専用道路では走行できないほか、交差点では小回り右折(二段階右折禁止)になるなど、昨今の小型モビリティとはまた異なる運転ルールが設けられている。これらの運転ルールは、サービスを登録する際に義務づけられるWeb上での講習で確認できる。
プラットフォームはドコモバイクシェアのものを使用
貸出返却などは、ドコモバイクシェアのプラットフォームを活用している。バイクシェアアプリで選択できる地域に、新たに「東京EVバイクシェア」が追加され、EVバイクのアカウントを新規作成し、アプリに登録する形で利用できる。
都内などでこれまで使用できた「バイクシェア」のアカウントは、自転車のみで利用でき、今回のEVバイクでは使用できない。バイクシェアアプリは、マルチアカウントに対応しているので、両方利用する場合は、両方のアカウントを登録することとなる。
アカウント登録時は、免許証の登録と先述の交通ルールに関する講習(ルールの確認)が必要。免許証の登録は、不備がない場合は約1時間で登録できるが、状況により2時間程度かかる場合がある。ドコモバイクシェアでは、時間に余裕を持って登録してほしいとしている。
利用料金は、最初の30分が330円、以降30分ごとに330円が加算されるしくみ。利用料金は、ポートでの貸出~返却までの時間がカウントされて請求される。ポート外などで一時的に駐輪している際は、その間も利用分としてカウントされる。
貸出・返却は、赤い自転車と同じ
先述のとおり、ドコモバイクシェア(自転車)と同じプラットフォームを使用しているので、貸出や返却は、自転車のそれと同じ要領で行える。
貸出時は、バイクシェアアプリでEVバイクの端末のQRコードを読み込む、または登録しているICカードを端末にかざせば、利用可能となる。返却時も、ポートの所定位置まで移動後に、返却ボタンを押下することで、返却できる。
貸出処理が完了すると、EVバイク本体に通電される。EVバイクの電源ボタンは、ハンドルに備え付けられており、同じ場所にEVバイクのパワーを5段階で調整できるボタンが備えられている。このパワー調整は、スロットルを最大まで引いた時の加速度合いを設定できるもので、パワー調整ボタンで直接加減速するものではない。また、手押し時など加速しないパワー0の設定も利用できる。
あとは、バイクと同じ要領で、ハンドル右側のスロットルを引けば加速し、ハンドル両側のブレーキレバーを握れば減速する。
今回のEVバイクの最高時速は30kmとされており、先述のパワー調整をうまく行うことで、狭い場所でゆっくり行きたい時は2、広い直線道路で安定して走行したい場合は5にするなど、状況にあわせたハンドリングができるとしている。
実際運転すると、なかなか難しい……
早速筆者も、ハンドルを握って運転してみた。
結果から先に伝えると、慣れるまでまっすぐ走らせることも難しいように感じた。
まず、普通自動車運転免許が必要という旨はすでにお伝えしているが、実際の運転感覚は、バイク(二輪車)に近いというもの。ハンドルを回すことで、EVバイクの舵を切ることができるが、タイヤが小さいことに加えステアリングも軽いため、安定したハンドルさばきが難しいという部分がある。
特に低速域では、タイヤの小ささも相まって車体が勢いよく曲がってしまうこともあり、それを修正しようとさらにハンドルを切ってバランスを崩してしまいそうになる場面も経験した。
カーブを曲がるタイミングでは、ハンドルよりも重心移動で車体を曲げることも併用すると、うまくカーブを曲がることができそうだ。個人的には、ハンドルを極力曲げずに、直進やカーブにかかわらず体重移動でバランスを取りつつ進路を定める方法が理想的なように思えた。
必要な免許こそ普通自動車運転免許であるが、運転の方法は、二輪車や電動キックボードのそれに近い感じのように思えた。
EVバイクシェアは普及するか?
実際に数分試乗した限りは、広い直線道路が多い臨海地域向きなモビリティであると感じた。最高時速30kmというスペックもあることから、アスファルトの直線道路を安定して走行できると、これまでの自転車では味わえないようなライディング体験や、少し重い荷物を持っていても、後ろかごに収納し楽に移動できるなど、観光面はもちろん普段使いにも有用なモビリティだろう。
一方、頻繁にカーブや一時停止が多い場所、路上駐車などが多い繁華街では、オーバースペックとなりかえって自転車の方が小回りが利くだろうと思う。二段階右折ができない点も、交通量の多い都市部の大規模交差点での小回り右折は少々勇気が必要そうでもある。
今回のEVバイクシェアの取り組みでは、まずはお台場や有明地区といった臨海部からスタートし、今後範囲と規模を拡大していくとしている。まずは、臨海部でのメリットデメリットを整理し、車体の改良なども踏まえて順次拡大されることを期待したい。