スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

AI連携ボイスレコーダー「PLAUD NOTE」はワンストップで自動書き起こしに要約、マインドマップまで作ってくれるゾ!

 え〜っ!? ナニソレ!!! マジでそんなコトできちゃうの? と急激に興味津々となったのがPLAUD.AI「PLAUD NOTE (プラウド ノート)」という製品&サービスだ。ChatGPTと連携するAIボイスレコーダーで、録音した声の文字起こし〜内容の要約までをAIに行わせることができる。

黒っぽい板がPLAUD NOTE本体。超薄ボイスレコーダーで、iPhoneなどにMagSafe吸着して通話内容を録音したり、単体で会議での会話などを録音できる。また、専用スマートフォンアプリやWebアプリを使い、録音した会話などをAIが文字起こししたり、会話内容などを要約することができる。直販価格は27,500円。カラーは、ブラック、シルバー、スターライトがある。

 別連載「Apple野郎」で「最新iOSを使うとiPhoneで通話録音やライブ留守番電話ができて便利」的な記事を書いた。また、この先にApple Intelligenceが日本語で使用可能になると、通話録音をAIが文字起こししてくれたり、要約してくれたりするのかニャ〜的に妄想したりもしていた。

 そしたら知り合いが「そういうのができる製品があるんですよ! 使ってますけど、凄いんですよ」と。その凄いらしいヤツがPLAUD NOTEなのであった。その知り合いは、PLAUD NOTEで会議を録音し、それがAIにより自動文字起こししされ、さらに会議の要約(議事録)まで作ってくれて、驚きつつ超役立てているらし。

 実際のAIによる会議の要約を見せてくれたが、あらま、ちゃんとしてる。その内容はお見せできないが、ここまでAIが自動的に処理してくれると……もう人間が録音を聞いて文字起こしする必要ないかも〜。また、文字起こしを読んで端的にまとめる必要もなさそう〜。

 驚いていたらその知り合いが「じゃあモノは試しに」ということで、PLAUD NOTEを試用する機会を得た! そして使ってみたらあーら便利、だし、すご〜い! ということで、今回はPLAUD NOTEをレビューしてゆきたいッ!!!

なにができる? どうやって使う?

 PLAUD NOTEはAI連携ボイスレコーダー。できるコトは、通話や会話や会議などの音声録音と、AIによるそれら音声の自動テキスト化(文字起こし)と、音声の内容の自動要約、それからマインドマップの自動作成だ。

 こういうコトは、PLAUD NOTEじゃなくても、これまでにデキていた。たとえばGoogle Pixelスマートフォンを使えば、レコーダーアプリで録音した会話などをAIにより自動で文字起こしさせることができた。そうして文字起こしさせたテキストをChatGPTなどに読み込ませて要約することも可能だった。

Google Pixelスマートフォンのレコーダーアプリを使えば、録音した会話などを自動的にテキスト化する(文字起こしする)ことができる。そのテキストをAIに要約させる方法も多数ある。

 しかし、そういったこれまでの方法とPLAUD NOTEを使い比べると、明らかにPLAUD NOTEのほうがスムーズに使えて効率がいいと感じる。使い勝手はシンプルなボイスレコーダーという感じで単純明快。文字起こしや要約などは専用スマートフォンアプリ/Webアプリで行うが、録音データの転送は自動だし、文字起こし・要約・マインドマップの作成も高速で容易。ひとつのアプリ内ですべての処理がワンストップで行えるのがイイ。

 また、スマートフォンに装着した状態で通話を録音することも、机上などに置いたり胸ポケットに入れたりした状態で会話を録音することもできる。容易に使えて使う場面も選ばないという利便が感じられる。

PLAUD NOTEはサイズ縦85.6×横54.1×厚み2.99mm/30gのカードサイズ・ボイスレコーダー。専用ケーブルでUSB充電し、満充電にかかる時間は最大2時間。その状態から30時間の連続録音が可能で、最長60日間連続でスタンバイする。容量は64GBで、最大480時間分録音データ保存可能。スマートフォンとはBluetooth接続する。
付属ケースに入れるとMagSafe対応iPhoneの背面に吸着させたり、スチールリングを貼ったスマートフォン背面に吸着させたりできる。吸着力は十分に強力。
本体のボタン類は2つだけ。丸いボタンの長押し(1秒)で録音開始/終了の操作ができ、操作時にはバイブレーションにより「録音開始」「録音終了」を知らせる。録音中は赤LEDが光る。スライドスイッチは「スマートフォンに吸着して録音」なのか「単体で録音」なのかを選べる。

 ちなみに、PLAUD NOTEの直販価格は2万7500円。本体を購入すると、自動でスタータープラン(無料)に加入し、毎月音声300分ぶんまでの文字起こしができ、その要約(AI種類を変更しての再要約可能)は無制限に行える。本体を購入するだけで、これら機能を永年無料で使える。

 ただ、毎月300分(5時間)だと、会議などでPLAUD NOTEを使ったらすぐに録音時間が上限に達してしまうだろう。その場合は、1万3000円の「PLAUD AI文字起こしパッケージ (追加合計6000分)」を追加購入したり、1万2000円の「PLAUD AI年間プロプラン (毎月1200分)」を購入したりする必要が出るだろう。

 なお、年間プロプランを追加購入した場合、無料のスタータープランの機能に加え、プロプランだけの限定機能が使えるようになる。具体的には以下のとおり。

どんな感じで使えるのか?

 PLAUD NOTEについて、まず通話録音のために使ってみた。通話中に話が横に逸れたりしてメモを取るのを忘れがちな俺だが、PLAUD NOTEならそういうミスを防げるかな、と。

 PLAUD NOTEは付属のMagSafe対応ケースに入れればMagSafe対応iPhoneの背面に吸着させて通話を録音することができる。丸いスチールリングも付属するので、それを使用中のスマートフォンに貼っても、吸着させての通話録音ができる。

 実際に病院の外来予約時と人間ドック申し込みに使ってみたら、通話の音声もその文字起こしも要約も十分実用的なレベルでできた。音声自体も十分高音質で、会話内容がよく聞こえる。

 なのだが、「そっかーこういう個人情報はちょっと記事に掲載できないなあ」と。そこでNTTドコモの案内音声を文字起こしさせたものを掲載してみる。

通話録音はPLAUD NOTEの録音ボタンを1秒長押しするだけでOK。録音時、専用アプリなどを使う必要はない。
(左)NTTの177に発信し、それを録音。実用的なレベルの自動文字起こしとなった。途中「もしもし」とか「はい」とか言っているのは俺。(中央)こういう短い音声だと要約するにもできないと思われる。長い会話だとしっかり要約される。(右)通話内容はマインドマップとしても描かれる。これもより長い会話だとしっかりとマインドマップ化される。

 ほか、以前にインタビュー取材をしたときの音声も、PLAUD NOTEで処理してみた。PLAUD NOTEアプリ/Webアプリでは、既にある音声をインポートしてのAI文字起こしや要約なども可能。この場合も、音声ファイルの長さ(時間)によって月内に使える録音時間の分数が減少していく。

 プライバシーの観点から、インタビュー取材時の音声も文字起こしもここではお見せできないが、「あのときにPLAUD NOTEがあったら!」と強く思った。じつはそのとき、Google Pixel端末もしくはレコーダーアプリの不具合で、スマートフォン上の一部インタビュー音声が消えてしまっていたのだ。なので、バックアップとして撮影していた動画を、再度レコーダーアプリで録音して、文字起こしをした。

 文字起こしをした後、それを読みながら記事にまとめたわけだが、Google Pixelスマートフォンとバックアップ用のビデオカメラ(GoPro)、モバイルバッテリーといた機材を用意し、それらを使ってできたのは、AI自動文字起こしまで。その頃はChatGPT公開直前だったので、要約は人力で行った。

 そのときと同じ音声をPLAUD NOTEに(動画から抜き出した音声を)インポートしたら、文字起こしや要約に十数分かかったものの、人間はなにもせず「かなりイイ感じの要約」までが自動化できた。非常に効率がイイ!

 てゅーか、インタビュー取材の文字起こしってスゲくタイヘンなんスよ。長い会議の議事録作り並みにタイヘンかも。インタビュアーから質問がどんどん出て、インタビュイー(インタビューされる側)もノリノリで話したりすると、録音時間が長くなりがち。あとでその音声を聞きながらテキストにしていき、それが終わったところでようやく記事作成に取りかかる。疲れるし時間がかかる作業なのだ。

 だが、PLAUD NOTEだと録音〜文字起こし〜要約まで全部やってくれる。しかもその精度は十分高い。会話に参加していた人間なら「あーあの件をこうまとめたのね、ちょっと手直しすれば使えるな」というレベルなのだ。

 ちなみにPLAUD NOTEで使えるAIはGPT-4oまたはClaude 3.5 Sonnet。これらから好みのAIを使って会話の要約などを生成できる。また、プロプランで試用した場合は26種類の要約テンプレートから「要約するスタイル」を選べるので、AI処理後の手直しなども少なくて済む。要約は、.doc、.pdfなど主要なファイル形式で出力することができる。

(1枚目)アプリ/Webアプリでは、オーディオをインポートして処理することもできる。(2枚目)どのようなスタイルで要約をするかのテンプレートも豊富に用意されている。(3枚目)これはインタビューメモ(面接メモ)。内容によって視点などは増えていく。(4枚目)これは通話情報(通話メモ)。

 ユーザーは、最終的に使いたいスタイルのテンプレートを選ぶだけでいい。あとは全部がAI任せ。なにこのラクさ! インタビュー取材とかでいちばんメンドくさいところをAIがやってくれる! AIサイコー! ってホントに思う。

 まあでも、場合によっては、「要約内にあの話が欠けてない?」ってことも。ただその場合、プロプランで使える全データベース検索機能「Ask AI」を使えばいい。

 たとえば「Ask AI」に「電動アシスト自転車のバッテリーの保ちの話がなかった?」と訊けば、「はい、ありました。電動アシスト自転車のバッテリーの保ちは体重によって変化し……」などと会話内容から見つけてきてくれてその場で要約してくれる。またその要約を最初の要約に追加することもできる。

 ともあれ、人間が「あの話、どこで出たんだっけな?」なんて思い返したり探したり必要もないのである。PLAUD NOTEで録れば、AIがしっかり検索してくれるのだ。

こういうコト、PLAUD NOTEでデキるのか?

 以前に手動で書き起こしをしてメンドくさかったことがある。楽曲の歌詞の書き起こしだ。CDのライナーノーツをスキャンしてOCRして、という手順での書き起こしだが、ライナーノーツの印刷(デザイン)によっては全部目視して手動で書き起こしという作業になりがちだった。

 歌詞を書き起こした理由は、Apple Musicの歌詞未登録の曲に歌詞を入れたい(再生中に表示させたい)と思ったからだ。でも書き起こしを始めてみたら「すごーく面倒」と痛感した。

 それを思い出して「PLAUD NOTEだと、歌を聴かせたら歌詞を書き起こしてくれたりしない?」と考えた。で、やってみた。

笹倉慎介さんのアルバム「Embankment」に収録される「堤防」という曲をPLAUD NOTEで文字起こしさせてみた。静かなギターの音とヴォーカルだけの曲なので、けっこう文字起こしできた。ただ、一部はバッサリと「音楽」として処理されてしまった。

 あらまあけっこうデキるんだねぇ……曲からヴォーカルだけを抜き出すAIアプリなんてのも最近はあるので、一工夫すればPLAUD NOTEを「楽曲歌詞書き起こし用」にも使えるかもしれない。また、近未来のPLAUD NOTE自体が、そういう機能を搭載してくる……かもしれない?

 もうひとつ、YouTubeのトーク動画から、トーク内容を文字を書き起こさせてみた。対象は「スタパビジョン」「スタパビジョン /ハクキンカイロ/092/2012年3月19日公開」

出演者男女のトークで、ところどころ聞き取りにくい部分もあるが、かなりしっかりと文字起こしされ、要約のまとまりもイイ感じ。途中のコーナーでスマートフォンホルダーを紹介しているが、その部分はバッサリと削除されてしまった。ただプロプランで使える全データベース検索機能「Ask AI」に「スマートフォンホルダーの話はなかったですか?」と質問したら、見つけてきてくれて、スマートフォンホルダーの話を要約してくれた。

 ちなみに、動画の音声をPLAUD NOTEに聞かせた方法は、PLAUD NOTEをiPhoneにMagSafe吸着させて、iPhoneで動画を再生し、PLAUD NOTEの通話録音モードで録っただけ。動画の音が出ているスピーカーの前に、会議録音モードのPLAUD NOTEを置いて録ってもいいかもしれない。動画から文字起こしする場合も、PLAUD NOTEはかなり役立つのだと思う。

 てな感じで使えたPLAUD NOTE。記者会見とかの取材をする記者は、もうリアルタイム話を聞きつつでノートPCにテキスト入力……しなくてもいいのかもしれない。まあ記者は会見内容を速攻で本社に知らせるなり記事化するなりっていう仕事があるわけだが、PLAUD NOTEを使えば会見に集中して、文字起こしはPLAUD NOTEのアプリで、っていう流れが効率的かもしれない。

 学生にもいいかも。PLAUD NOTEを使えば、講義のメモ取りに集中せずに、講義の理解に集中できるし。

 ともあれ、PLAUD NOTEに文字起こしや要約をやらせて、人間はクリエイティブなことをもっとできる時間を獲得できる。AIの非常に正しいし有意義な使い方だと思うので、興味があればぜひPLAUD NOTEに触れてみてほしいッ!!!

 なお現在、PLAUD NOTEはブラックフライデーセールで最大20%オフで販売されている。通常価格は2万7500円なので、けっこー大きめの値引き。セールは12月6日までとなっている。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。