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「Google One VPN」終了に寄せて~「Google VPN」との複雑な関係
2024年5月28日 00:00
筆者は普段から、Android端末としてのPixelシリーズを愛用しているのですが、ここ数カ月で驚かされる事態が2つありました。
まずはなんといってもKDDI(au)が「Google メッセージ」を標準アプリとして採用する方針を表明したこと。
「+メッセージ」を推す立場である同社の、突然の方針変更とも言えるだけに、かなりビックリしました。いやまぁ、個人的にはGoogle メッセージを普段から使っている身なのでありがたい話ですが。
そしてもう1つが、「Google One VPN」の終了です。
VPNには通信経路のセキュリティを高める効果があるため、例えばカフェや宿泊施設、イベント会場などに用意されている公衆Wi-Fiを利用する際、重宝していました。「誰が接続してくるか分からないWi-Fiだけど、VPNあるからまぁいっか」という具合に、心理的ハードルが下げてくれるといいますか。
ただ「Google One VPN最高だぜ!」と思うようになったのは、実はPixel 8 Proを購入してからでした。
Google One VPNは、有料サブスクである「Google One」に含まれる付帯サービスという位置付けでした。よってGoogle製品に限らず、その他メーカーのAndroid端末や、Windows PC、iOS端末でも対応アプリをインストールすれば利用できました。
一方でPixel シリーズでは、このGoogle One VPN相当のサービスを無料で利用できる特典があります。Pixel 7/7 Pro/7a以降の機種を対象としており、しかしこの機能を利用するには「Google One」アプリをインストールしておかねばならないという、かなり特殊な立て付けになっていました。
「Google One」アプリには、このようにVPN機能の項目があります
さて本題です。この「アプリによるGoogle One VPN」に比べ、Pixel 8 Pro世代での無料VPNサービスは全体的に高機能となっています。特に大きいのが、接続するWi-Fiに応じてVPNを自動で無効化する機能。
例えば、自分しか利用しない、自宅のWi-FiなどではVPNを使う意義はほとんどありません。そこで設定メニューからSSIDを指定しておくと、そのWi-Fiへ接続した際はVPNが自動でオフになるのです。
対して、アプリによるGoogle One VPNでは、アプリ上で一度機能をオンにすると原則としてVPNは常時オンのまま。接続先がモバイル通信ネットワークであっても、です。文字にすると地味ですが、これは体験としては決定的に違います。
筆者が以前Pixel 7 Proを使っていたときにVPNはほぼ使わず、Pixel 8 Proで途端にオンにするようになったのはコレが理由です。アプリによるGoogle One VPNだと、正直なところVPNをオン/オフするのが面倒で、結局忘れてしまうんですよね。
Googleのヘルプ記事などを総合しますと、Pixel 8 ProおよびPixel 8にて提供されている無料VPNはGoogle One VPNによるものとは違い、厳密には“(組み込みの)Google VPN”(Oneが付かない)と理解するのがより正しいようです。
一体いつの間にできた概念なのか……。ただPixel 7/7 Pro/7aでは今後、(組み込みの)Google VPNへシステムアップデートで移行するそうなので、むしろ使い勝手が上がるかもしれませんね。
いちユーザーとしますと、この一連のGoogle One VPNの浮き沈みからは、多くの教訓を得ました。便利なサービスでも、どれだけ無料でも、実装が美しくないと使われない……。
パッと見で華やかなものにも、細部にまでしっかり目をこらすことの重要性を改めて実感する次第です。auによるGoogle メッセージ標準採用の話題についても、しっかりチェックし続けていこうっと!