おやぢの部屋2
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My Fair Lady
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Kiri Te Kanawa(Eliza)
Jeremy Irons(Prof. Higgins)
Warren Mitchell(Doolittle)
Jerry Hadley(Freddy)
London Voices(by Terry Edwards )
John Mauceri/
London Symphony Orchestra
UNIVERSAL/00028948452569




1987年に録音され、その年にリリースされた「マイ・フェア・レディ」のアルバムが、サブスクに登場しました。オリジナルはLP、CDの他にカセットテープでも入手できたようですね。ただ、その時の日本盤のCDのジャケットでは、指揮者の名前が「ジョン・モーセリ」となっていたのが、おかしいですね。確かに、この頃は「ジョン・マウチェリ」は完全に無名でした。
このミュージカルは、バーナード・ショーの戯曲「ピグマリオン」を元に、アラン・ジェイ・ラーナーのテキストと、フレデリック・ロウの音楽で、1956年にブロードウェイで初演されました。その後、1964年には、主演のイライザをジュリー・アンドリュースからオードリー・ヘップバーンに替えて、映画化もされていますね。というか、ヘップバーンは最初は自分で歌も歌っていたのですが、最終的にはほとんどがマーニ・ニクソンのものに差し替えられています。この方は、1961年に公開されたスティーヴン・ソンドハイムとレナード・バーンスタインとの共作による「ウェストサイド・ストーリー」の映画版でも、マリア役のナタリー・ウッドの「吹き替え」をやっていましたね。
今回のアルバムでイライザを歌っているのはキリ・テ・カナワ、彼女はバーンスタインが指揮をした「ウェストサイド・ストーリー」のアルバム(DG)でも、マリアを歌っていたのは、何かの縁でしょうか。
なんせ、この映画は字幕なしでセリフが分かるほど何回も見ていますから、そのストーリーやナンバーにはなじみがあります。まず序曲が聴こえて来た時には、そのオーケストラの音が映画版とは段違いに素晴らしいことに気づきました。ここでのエンジニアは、DECCAの黄金期を支えたスタンリー・グッドールですから、それも納得です。何よりも、ストリングスの響きがまさにデッカ・サウンドの象徴ともいうべき、艶と深みのある音でしたからね。ロンドン交響楽団も、このようなレパートリーはお手の物、マウチェリの軽やかな指揮に乗って、サクサクと音楽を進めていきます。
キリ・テ・カナワが歌うイライザのナンバーは、まず「Wouldn't It Be Lovely」で始まります。そのイントロで、ロンドン・ヴォイセズの男声合唱が入るのですが、それがまず素晴らしいですね。この合唱は編成を変えてたびたび出てくるのですが、それぞれが素敵でした。
そして彼女は、コックニー訛り丸出しのこの歌を、とことん田舎っぽく歌ってくれました。そして、ヒギンズ教授の下で「美しい英語」を学ぶことになるのですが、そこで浴びせられる罵倒に対して歌う「Just You Wait」では、およそ彼女らしくない地声丸出しのハチャメチャな歌が聴けますよ。こんな歌い方も出来たんですね。
それが、教育の成果が実って、きちんとしゃべれるようになったときに歌う、有名な「I Could Have Danced All Night」になると、そこには、まさに不世出のソプラノ、キリ・テ・カナワが現われます。それはもう、ジュリー・アンドリュースやマーニ・ニクソンとは別格の、隅々まできっちりコントロールの行き届いた、惚れ惚れするような歌い方でした。どのフレーズにも、きっちり心がこもっています。最後のコーラスをピアニシモで始めた時には、背筋がゾクゾクしてきましたし、その最後のハイGのロングトーンは、まさにオペラ歌手ならではの素晴らしさでしたね。
ヒギンズ教授は、ジェレミー・アイアンズが演じています。映画版のレックス・ハリスンよりもルックス的にはイケメンですね。この役でのセリフの中で歌を歌うというシーンを、見事に演じていました。ハリスンほどアクの強さがないのがいいですね。
イライザの父親ウォーレン・ミッチェルも、やはり映画版のスタンリー・ホロウェイのようなブロークンなところはなく、きちんとこの役を務めていました。
そして、フレディ役のジェリー・ハドリーは、結局イライザにはフラれてしまうというこの役にしては、ちょっと立派過ぎましたね。
オリジナルのすべてのナンバーと、エンディングの「僕のスリッパは、どこ?」というセリフまできっちり収録されていたのも、うれしいですね。

Album Artwork © The Decca Record Company Limited

by jurassic_oyaji | 2024-08-29 22:36 | オペラ | Comments(1)
Commented by GHQ1954 at 2024-08-30 13:24
個人的にはレコードが大好きなんですね
CDはデッカ盤 輸入盤ですが聞いています
アンドリューの方が映画らしい雰囲気ですね
カナワは 綺麗すぎるというのが気になります
歌声としては落ちますが オリジナルのヘプパーンの声も中々味がありますよ
国内盤はなくて輸入盤でしたが・・・・あとはジャズの分野ですが
ピーターソンも素敵なんですよ プレビンは2回録音していますね 好きなんですよね