私「千葉から神奈川へ、今避難されているA子さん、震災当時の話を聞かせて下さい」


A子「3.11 小学校は災害時対応をせず、1年生をバラバラに下校させました。

たまたま春休みで自宅におり、3人の子を確保しました。その日は金曜日だった
ため、その日の対応の悪さを列挙し正しいと思われる対策を提示した要望書を月
曜に校長に手渡しました。」

私「震災時の集団下校等への要望書を出したのですね」

A子「その時は、神戸の地震の経験もあり、地震対策なら「大丈夫なんとかなる」とい
う気持ちでした」

私「神戸大震災も、経験されていたのですね」

A子「しかし、今回の地震は「地震+放射能」でした。とにかく逃れるべく3.17〜4月頭までグアムと関西に逃げました。twitterを登録していて、あまり使っていなかったのですが、その時あたりから
情報収集に使い始めました」

私「3・11後、twitterは震災情報の頼みの綱になったんですね?」

A子「それから4月の高円寺「原発反対」デモはtwitterで知りました。自分にとって初めての
デモで、子づれが安全かは分からなかったため1人で参加しました。音楽あり、
ベビーカーあり、お花を持ってる人ありのデモで、これなら子どもも参加できる
と感じました」

私「高円寺のデモ、
twitterデモという形で初参加だったんですね」

※3・11後、市民団体が動員で呼びかけるデモではなくtwitterの繋がり合いでデモの呼びかけをして集合するtwitterデモが行なわれるようになった。
自主的な、集まりで今までにない一般参加者が増える要因の一つとなった。
4月10日は高円寺の「素人の 乱」主催で開催された。


A子「ベルリンからの手紙」というチェルノ当時の手記を手に入れ、すり切れるまで
読みました。チェルノ汚染と千葉市の汚染を正確に比較したかったのです。本に
は食べてはいけない野菜や肉や牛乳の情報が載っていました。その部分だけ
twitterで流し情報共有したことを覚えています」

私「twitter受信者から、情報発信も、つまり受けてだけではなく、汚染被害の情報発信も始められた」

A子「遅まきながら牛乳が危ないと知り、給食の牛乳をやめたのは5月頭です。5月には高性能のガイガーを持つ有志が「土壌を計測」してくれるというイベントを開き、そこへ小学校の土を持ち込みました。近所の公園の土も。およそ0.26〜0.32μSV/hでした」

私「市民達が自主的に土壌汚染調査を始めた、A子さんはどんな感想を持ちましたか」

A子「YouTubeでチェルノ被害の映像を見まくっていた時期でもありました。
地上1mで 0.23μSV/h それがチェルノ廃村レベルだと知り、「千葉
の汚染は大丈夫なのか」と恐ろしくなりました」

私「廃村レベルですね」

A子「はい、しかしガイガーは正確ではありません。
そこである大学の研究調査の関連で土を計測してもらえることを知り、そちらに
土を持ち込むことにしました。
結果は 千葉市美浜区 2350bq/kg 横浜市 500bq/kg 実家
のある神戸市 4bq/kgでした」」

私「やはり関東と関西では随分被曝被害レベルが違うのですね」

A子「そうです、関西には福島由来のものが降ってないと知ったのです。そこで移住計画を考えは
じめました。そこからは夫婦での話し合いです。ケンカもありました。神戸に母
子避難したい自分と、千葉市のままでいいという夫」

私「所謂、原発離婚になりそうだったのですね」

A子「チェルノ手記にはドイツでは、およそ300bq/kgで除染したという記述も
あり、何も手立てを打たない政府や千葉市にただただ怒るばかりでした」

私「あちこち聞く限りでは無策の苦情が多いですね」

A子「結局、お互い折れる形で、夫婦共に仕事をやめなくてすむ神奈川移住になったの
です。原発事故によって、気にしながらも千葉に住む友人、ご家族で関西や沖縄
に逃げた友人。多くの人が住む場所を変えることになりました」

私「福島の強制避難、自主避難の他に、市民が自主的に被害を調べて、チェルノブイリと比較して独自に避難を始めた“静かな移動”が起きているんですね」

A子「うまく避難でき仕事も確保していることが、なんだか申し訳ないような気持ちも
あります。千葉や官邸前のデモに出たり署名したり、一主婦ですが、自分の家庭
以外に社会的な動きをしていきたいと思っています。汚染された地から多くの人
が逃れられますように」

被曝被害の検査結果の判断を実際の避難基準として生活を変えられる人。
そして被害を知らずに居住している人。
知っても動けない人。

多くの避難民を生んだ福島原発の爆発事故は国策で始められたインフラ整備としては破綻している。
避難の選択を市民が自主的に選び、その為に生活を変えなくてはならない実情を国はどう取らえるのだろうか。

@irakusa