東電4─6月は円安響き3年連続赤字、年間黒字めどつかず

東電4─6月期は経常赤字294億円、通期予想なし
7月31日、東京電力が発表した2013年4─6月期連結決算は、経常損益が294億円の赤字だった。2011年6月撮影(2013年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 31日 ロイター] - 東京電力<9501.T>が31日発表した2013年4─6月期連結決算は、経常損益が294億円の赤字だった。昨年実施の値上げの増収効果はあったが、円安を主因とした燃料費増をカバーできず、第1・四半期では3年連続の経常赤字となった。
財務面での企業存立において危機的な状況を招く3年連続の年間経常赤字を回避したい同社だが、その前提となる柏崎刈羽原発(新潟県)の今年度の再稼働は極めて厳しい状況だ。会見した広瀬直己社長は、黒字化への代替策としての電気料金再値上げについては、「何としても避けたいと思っている」と述べるなど、打開策を示せずにいる。
赤字回避策について広瀬氏は「立派な策はなくなっている。(修繕費などの)繰り延べはだいぶ手を付けているが、安定供給を見定めたぎりぎりのところまで(コスト削減を)もっていくことが必要だ」と説明した。
<東電、年末へ資金繰り試練>
広瀬社長によると、東電には今年10月に約800億円の借り換えが、12月には約3000億円の新規融資がある。しかし、黒字化への展望を開く柏崎刈羽再稼働は極めて厳しい。福島第1原発から汚染水が海に漏れたことの公表が遅れるなど不手際を繰り返す東電に対し、新潟県の泉田裕彦知事は「原発を運営する責任者としてあるまじき状況。そもそもまだ再稼働を議論するほうがおかしい」(29日のロイターのインタビューで)と指摘するなど、不信感を隠さない。
3年連続の経常赤字が避けられなくなり、以降の打開策を示せない状況に陥れば、銀行団が借り換えや新規融資に応じることは難しくなる。秋に来る資金繰りのヤマ場に向け、あくまで再稼働を狙うのか、再値上げへの方向に切り替えるのか。広瀬社長は「いろいろな策の組み合わせで、銀行に東電がサステーナブル(持続可能)だと理解いただくことがポイント。いまの段階であっちかこっち(再稼働か値上げか)ということではないと思っている」と述べるに止まった。
<円安が燃料費低減努力を帳消し>
4─6月期は昨年実施した電気料金値上げなどの増収効果があったが、原子力発電所が全て停止する中で円安により燃料費が第1・四半期として過去最高となった。
柏崎刈羽の再稼働の見通しがつかないため、14年3月期の通期予想は示していない。トムソン・ロイター・エスティメーツによると、主要アナリスト4人が過去90日間に出した経常損益の予測平均値の平均値は1195億円の赤字となっている。
企業向けで昨年4月から、家庭向けなど規制対象では同9月から実施した電気料金の値上げによる増収効果900億円などにより、収益の大半を占める単独ベースで売上高は前年同期比11.1%増の1兆3938億円に上った。
費用面(単独、以下同じ)では、人件費を前年同期比115億円、修繕費を同227億円をそれぞれ削減。燃料費についても、東電の新規石炭火力プラントの運転開始や、復旧した東北電力<9506.T>原町石炭火力からの受電により割高な石油火力発電を減らしたことで約1000億円の燃料費削減の効果を上げた。
ただ、円安による燃料輸入代金の値上がり(約1200億円強)をカバーするに至らず、4─6月期の燃料費は前年同期比で117億円増えた。「円安の影響をもろに受けた」(広瀬氏)という。他社からの購入電力料も同320億円増え、増収効果を黒字転換につなげることはできなかった。
(浜田健太郎)
*内容を追加して再送します。

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