ポイ捨てタバコの唾液から顔再現、米国で奇抜「DNAアート」

ポイ捨てタバコの唾液から顔再現、米国で奇抜「DNAアート」
7月1日、米アーティストのヘザー・デューイ・ハグボーグさんは路上に落ちている煙草の吸殻やガム、毛髪といったサンプルからDNAを採取し、その持ち主の顔を3Dで再現する「DNAアート」を制作している。写真は再現された顔。ロイターTVの映像より(2013年 ロイター)
[ニューヨーク 1日 ロイター] - 「この吸い殻は良さそうね。根元まで吸ってるから唾液が多く取れそう」。米ニューヨーク・ブルックリン地区で、アーティストのヘザー・デューイ・ハグボーグさんは、道路に落ちていたたばこの吸い殻を拾い上げた。
デューイ・ハグボーグさんが手掛けるアートは、たばこの吸い殻やガム、髪の毛といったサンプルからDNAを採取し、その持ち主の顔を3Dで再現するというものだ。
まず集めたサンプルを細かく刻み、化学物質と反応させるなどしてDNAを取り出す。それをデータ化してプログラムに取り込み、人の顔を作り出すという仕組みだ。DNAサンプルの状態が良ければ、目と目の間の距離やそばかすの有無など、顔の細かいところまで分かる場合があるという。
ただプライバシーの問題もある。ニューヨーク大学医学部の生命倫理学者、アーサー・キャプラン氏は、このアートの精度が高まれば高まるほど、アート表現とプライバシー侵害の間でバランスを取る必要が出てくると指摘する。「彼女が人物を特定できるようなビジュアルイメージを作り出せるとなると、倫理的な問題が浮上するのは間違いない」と語る。
一方、デューイ・ハグボーグさんは、顔再現の制度を高めるのが狙いではなく、遺伝子のプライバシー問題や悪用される可能性に世間の関心を向けるのが狙いと話している。

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