ダビンチの「失われた大作」現存か、壁画の裏に痕跡発見

ダビンチの「失われた大作」現存か、壁画の裏に痕跡発見
3月12日、レオナルド・ダビンチがフィレンツェのベッキオ宮殿で描いた巨大壁画「アンギアーリの戦い」が、別の壁画の裏側に残されている可能性が出てきた。写真は「アンギアーリの戦い」の模写のポスター(2012年 ロイター/Max Ross)
[フィレンツェ 12日 ロイター] ルネサンス期を代表するイタリア人画家レオナルド・ダビンチがフィレンツェのベッキオ宮殿で描いた巨大壁画「アンギアーリの戦い」が、別の壁画の裏側に残されている可能性が出てきた。美術研究家らが小型カメラなどを使って調査した結果、明らかになった。
問題の壁画は、1440年にフィレンツェ共和国軍がミラノ公国軍を破った戦いを題材にしたもので、16世紀初頭にフィレンツェの有力者がダビンチに依頼し、1年後に制作が断念された。理由はダビンチが取り入れた実験的な技法が失敗に終わったためとされているが、制作前に描かれたスケッチや他の芸術家による壁画の模写は今も残されている。
それから50年余り後に、壁画があったベッキオ宮殿の大会議室が改修された際、画家ジョルジョ・バザーリが新たな壁を設置し、壁画「マルチャーノの戦い」を制作。これにより、ダビンチの作品は姿を消した。
米ナショナルジオグラフィック協会(NGS)などが行う調査では、バザーリの壁画を支える外壁にできた割れ目から医療用の内視鏡カメラなどを挿入。中にある物質を採取したところ、黒い顔料が「モナリザ」に使用されたものと同じ成分であることが分かった。
ただ、一部の美術史家は、ダビンチの壁画はバザーリが壁画を制作する前にほとんど損なわれていたはずだとし、今回の調査結果を懐疑的に見る。NGSのテリー・ガルシア副会長は、さらなる調査についてはイタリア文化省の決定次第だと語った。

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