コラム:中国食肉問題、外国企業の隠れた「病巣」に警鐘

コラム:中国食肉問題、外国企業の隠れた「病巣」に警鐘
 7月24日、中国の期限切れ食肉問題は、同国でビジネスを展開する外国企業にも「健康被害の警告」を発している。写真は期限切れの食肉を供給していたことが発覚した上海福喜食品の工場。20日撮影(2014年 ロイター)
John Foley
[北京 24日 ロイター] - 中国の期限切れ食肉問題は、同国でビジネスを展開する外国企業にも「健康被害の警告」を発している。中国での急成長で「太ってきた」一部の外国企業からは、ぜい肉の下に隠れていた「病巣」が見つかっている。
ケンタッキーフライドチキン(KFC)を運営する米ヤム・ブランズと米マクドナルドには、中国企業・上海福喜食品から期限切れの食肉が供給されていた。上海福喜は親会社の米食品卸売会社OSIグループが厳しく安全を管理していたはずだが、古くなった肉の流出は防げなかった。
中国のテレビ報道で明らかになった上海福喜の工場での危ない習慣をヤムやマクドナルドが知っていた兆しはない。また、他の工場が影響を受けているという形跡もない。
しかし今回の問題は、特にヤムにとっては面目をつぶされた格好だ。KFCで使用していた鶏肉からは2年前にも過剰な抗生物質が検出されており、対策が強化されていたに違いないからだ。
過去の成功がこうした危機をさらに悪いものに見せる。外国企業の締め出しは多くの中国人従業員の利益にはならないが、それでも大手外資系企業は格好の政治的なターゲットとなる。また、消費者にとっては期待が裏切られたことを意味する。安全だという認識があるから外国企業に高値を払うというのは、中国の豚肉加工大手、万洲国際(WHグループ、旧社名・双匯国際)による米スミスフィールド・フーズ買収でも示されていたことだ。
しかし、成長は時として、過失の見過ごしも意味する。英製薬大手グラクソ・スミスクラインは、中国法人の贈賄事件で刑事捜査を受けている。グラクソは自社のコントロール外で贈賄が行われたとしているが、中国の複雑な官僚組織を解読する難しさを考えれば、外国企業のトップが本社で警告サインを見逃していても不思議はない。
他の大手外資も用心が必要だ。例えば、米金融大手JPモルガン・チェースは、中国で政府高官の親族を採用するなど不適切な慣行があったとして、米当局の調査対象になっている。米国では当局との和解もあり得る話だが、汚職撲滅運動を強化する中国ではより厳しい調査を受ける可能性もある。
米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)のような、これまで中国で特に問題なく成長してきた会社も気を抜いてはいけない(同社の2014年第1・四半期の中国販売台数は13%増)。中国政府は、製品の安全性のような長年の問題の解決に熱意を傾けているように見える。景気は減速しており、今こそ無駄を省くときである。公に言う人は少ないが、一部の外国企業にとっては、スリムになることを検討しても良い時期に来ているのかもしれない。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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