溢れ出る脳内麻薬!100円で買える極上のビデオゲーム・ドラッグ『Swarmlake』

ようこそ真の闘争へ

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死に覚え、と呼ばれるようなゲームが好きだ。繰り返すリトライを前提としたデザインのされた作品群のことである。ステージギミックの位置や特性を頭に叩き込み、針穴を通すようなアクションでマップを駆け抜けるようなものであったり、敵の攻撃パターンを完璧に理解、一切のダメージを通さずに巨大なボスを地に叩き伏せるようなものだったり。まぁ、そういうゲームのことだ。その手の作品の愛好家であるならばわかってくれると思うが、その、泥臭いリトライを繰り返した末のクリアの気持ちよさというのは、少しどうかしてるレベルである。

日常の生活では絶対に味わえないギリギリ感に生存本能は呼び覚まされ、キーを叩く指が、モニタを見る眼が、脳ミソが、その一瞬を生き抜くためだけに研ぎ澄まされていく。抜き身の刃となった意識が見事ボス敵を貫いた瞬間、身体中を極上のエクスタシーがかけめぐる。この気持ちよさはプレイヤーの死を肯定してくれるほぼ唯一の媒体であるビデオゲームならではのものだろう。

この快楽は一度知ってしまったらもう二度とそれのない人生には戻れない。それ以外のsすべてがフェイクとしか思えなくなるのだ。睡眠、食事、セックス……三大欲求はウソっぱちだ。死に覚えこそが真実。とにかくぼくはこの素晴らしい脳内麻薬に脳ミソを完全に侵されてしまったクソ野郎なのであった。

おまえはこの素晴らしいビデオゲーム・ドラッグに真実の人生を見つけるのだ

さて。2018年、3月。このフェイクだらけの世界に光が生まれた。ぼくのようなイカレ野郎の未来を照らす真実の光だ。無限の地平、どこまでも青い空、視界を覆い尽くす万の軍勢。名は『Swarmlake』。この死に覚えというジャンルの新たな金字塔となる作品である。

こいつにゲームクリアなどは存在しない。プレイヤーが挑むのは過去の自分自身だ。昨日の自分のスコアを打ち破り、またそのスコアも打ち破る。終わりなき闘争だ。

ようこそフェイク野郎ども。おまえはこの素晴らしいビデオゲーム・ドラッグに真実の人生を見つけるのだ。

ルールは非常にシンプルだ。武器はふたつのみ。自動で連射されるショットとクリックで出せる拡散弾。それらで迫りくる敵をガンガン撃っていく。撃たれた敵は緑色の欠片を落とし、プレイヤーはそれを拾っていくことでスコアを稼いでいく。ショットガンはロケットジャンプが可能。敵もおまえも一発で死ぬ。

ど真ん中に構えたダブルバレルは戦う男の証だ。
ど真ん中に構えたダブルバレルは戦う男の証だ。
触れば一瞬で理解できる真の男のゲーム

プレイヤーが迎え撃つローポリ軍団は約1秒ごとに数十ずつ増殖していく。彼らはあっというまに数百、数千とその数を膨れ上がらせていき、軍勢というよりも、むしろひとつの巨大な生物のようにプレイヤーを追い回してくる。

基本的にはそれだけだ。簡単だろう? 3秒で理解できる。『Swarmlake』は、薄っぺらい言葉や小手先の小難しいシステムでペラペラと喋らない、簡潔でストレートな、触れば一瞬で理解できる真の男のゲームだ。

「フ~ン、ちょっと変わっただけのFPSじゃないの?」、本作が猫ちゃんでもわかるような超絶シンプルなゲームだと知ったおまえはそうやって言うかもしれない。甘い。甘ちゃんだ。本作のキモはその先にあるのだ。

 

本作を本作たらしめているのが、プレイヤーの切り札、敵を一瞬にして一網打尽にすることができる、あるオブジェクトの存在である。敵軍に紛れて浮遊する赤い球、ここではボムと呼ぶことにしよう。

先に述べたように、プレイヤーは敵を倒すだけではなく、敵の落とした欠片を拾っていかなくてはならない。単純に敵を避けながら銃を撃っていく――いわゆる引き撃ちをしていけばある程度の時間を生き抜くことは可能なのだが、それではスコアを増やすことは不可能である。

敵は絶え間なく増殖していく。
敵は絶え間なく増殖していく。

確実な策として、拡散弾による空中ジャンプを繰り返しながら敵の群れを撃ち、ワンアクションごとに地上に着地、落ちた欠片を回収、再度上空へ、という戦法が挙げられるのだが、なにしろ敵はすぐに数千という数に膨れ上がっていく。そしてプレイヤーの撃つショットの殲滅力はたいして高くない。ショットだけでは群衆の表層にいる敵を申し訳程度に減らすのが関の山である。敵どもの増殖スピードとそれによる物量は圧倒的だ。その安全策を続けていけばある程度のスコアは稼げるものの、必ずどこかで限界がくるだろう。

ウェルカム・トゥー・真の闘争

ならどうすればよいのか。簡単だ。安全ではない策をとっていくのだ。

おまえは攻めていかなければならない。スコアも、生きる道も、ガンガン攻めて、自ら掴み取っていかなければならないのだ。要するにリスクとリターンである。リスクを伴わない行動は停滞でしかない。おまえは安全策のみを信用して守りに入り、立ち止まり、停滞し、そのまま腐ってゆく。

そこでボムだ。こいつは本作におけるリスクとリターンの象徴なのだ。このボムこそがキーアイテムだということを理解してからが本当の戦いの始まりである。ウェルカム・トゥー・真の闘争。

 

このボムは接触することで周囲の敵を消滅させることができる。その殲滅力たるや、プレイヤーの放つショットとは雲泥の差である。名実ともにプレイヤーの切り札として、戦闘で優位に立つための手助けをしてくれる有用なアイテムだ。こいつをうまく活用しき、おまえはこの終わりなき闘争を生き抜いていくことになる。

しかしそう簡単にいかせてくれれないのが『Swarmlake』である。確かにボムは強力な切り札であるのだが、こいつ、ただフワフワと浮かんでいるのを触るだけではダメなのである。実はボムの効果範囲はたいして広くないのだ。敵の薄いところにあるボムに狙いを定めてチマチマと触っていっても、ボムを活用しないプレイと同じように、物量に押しつぶされてしまうのがオチである。

ここでぼくが先ほど言った言葉を思い出そう。そう。リスクである。リスクの大きさ=リターンの大きさ。リスクを極限まで大きくして、そのわずかなスキマに存在するリターンを無理やり掴み取っていく。それが本作の本当の楽しみ方だ。

敵の特性を見極め、群衆のなかに存在する見えない穴を狙って突っ込み、そのなかにあるボムに触っていくことで、大量の敵を巻き込むことができる。タイミングにもよるが、数百の敵を一気に減らすことができるだろう。これを短いスパンでやっていって、はじめて敵の増殖スピードを上回る速さでの殲滅が可能である。どんな安全策よりも長く生き残ることができる。攻撃こそが最大の防御行動だということを嫌でもわからせてくれるゲームなのだ。

完全合法のビデオゲーム・ドラッグ

リスクを覚悟で掴み取ったスコアの味は格別だ。大量に発生した緑色の欠片をジャラジャラとその身に受けるのは快感の一言である。この極上の脳内麻薬の味を知ってしまったらもう二度と元の自分には戻れないだろう。プレイヤーはこの気持ちよさを求めて延々とプレイを続けてしまうこととなる。完全合法のビデオゲーム・ドラッグだ。

この瞬間が気持ちいいのだ。
この瞬間が気持ちいいのだ。

さて、ボムの活用法を完璧に理解して、ある程度のスコアをコンスタントに取れるようになってきた頃に、自分の動きが、思考が、プレイし始めのときとはまったく違ったものとなっていることに気づくだろう。まるでオートパイロットを使っているかのように、思考するよりも先に手が動くようになっているような境地に達しているだろうと思う。本作は、そのような自分自身の成長の楽しさもたっぷりと味わうことができるゲームなのである。

極限までリトライに最適化されたデザインがされているのも魅力だ。ゲームプレイのために研ぎ澄ました思考をまったく途切れさせない、シームレスなリトライが可能である。ゲームスピードも速く、リトライしたけど序盤が退屈だ、ということもまったくない。最初からクライマックスで駆け抜けることができる。

 

もちろんゲームプレイ以外の部分も最高である。その研ぎ澄まされた刃のようなグラフィックや、爽快感のあるドラムンベースのサウンドトラックも、ゲームプレイのトリップ感を増大させている大きな要因であることは疑いようもないだろう。


そしてこの素晴らしいゲーム、なんと100円という低価格で配信されている。安く、シンプルで、濃密。これはもう買わない理由がないだろう。少しでもこの記事やストアページにピンとくるものがあったのならば、ぜひトライしてほしい一作である。『Swarmlake』はいつでもおまえの挑戦を受け付けている。

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Swarmlake

2018年3月13日
  • Platform / Topic
  • PC
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