陳情者には、前回、掲載した陳情書の内容についての補足説明やそこに盛り込んだ文章の意図するところなどを、陳情書を採択する審議をする議員さんの前で、「趣旨説明」をする権利が与えられています。
冒頭、「5分程度で簡潔にお願いします。」と言われました。でも、陳情書には、載せられなかった思いなどがたくさんあります。ここも強調して説明したいし、これも言いたい・・・と1週間以上かけて、原稿を練りました。結果、15分弱かけて、説明をしてきました。途中、書記の事務局の人に「あと少しでお願いします」とメモを渡されましたが、思いっきり無視し、言いたい事をきっちり(笑)言ってきました!!!
もちろん、私の思いや考えもありますが、まずは、みんなの思いや願いをどう表現したら一番議員さんたちの心に響くのかを深く考えました。「代弁者」である事を意識し、みんなの思いを伝えてきたつもりです。11月までには、市議会のホームページに議事録が公開されるとの事ですので、ブログを愛読してくださっている皆さんには、いち早くお届けしますねっっっ!!!
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(趣旨説明全文)
このたび、静岡市立城東保育園保護者会の代表として親と子が安心できる保育環境を求める陳情させていただきます。よろしくお願い致します。
今回、このように陳情させていただくまでには、私達城東保育園保護者のみならず、本当にたくさんの方々に尽力していただきました。どうすれば問題が解決できるかを真剣に、一生懸命考えてくださり、そして支えてくださったおかげで、陳情することができました事を心より感謝申し上げますと共に、現在の、そして、みらいの子ども達に明るい光と希望に満ち溢れた将来がありますよう、心より願い、陳情いたします。
最近の育児を取り巻く環境は、厳しさを増しております。
朝から夜中まで過労死寸前まで働く父親、核家族化で身寄りもない、しかも近所付き合いが希薄・・・という中で、孤独に耐えながら、夫が不在で不安な中で、育児を強いられ、心身共に疲れきってしまっている母親・・・、子どもを虐待する寸前まで追い詰められ、神経をすり減らしてしまっている中での育児は、いまや珍しい親の姿ではなく、むしろ、当たり前の光景になりつつあります。そんな中、私達親が頼れる所と言えば、それは、保育園です。保育園へ子どもを入園させるには、「日中、保護者が保育できない」という要件が必要です。保育できないのは、「母親の仕事」という理由だけでは、もはやなく、追い詰められた親を救い、子どもを救うための緊急性の高い深刻な理由も増え、保育園の求められている役割は、いまや育児中の親の砦であり、なくてはならない存在になりつつあります。
これは決して、一般論ではありません。私の周りにも、一人きりの育児に疲れ果て、うつ病になってしまった母親たちが何人もいます。彼女たちの苦しみを肌で感じているからこそ、余計に保育園に助けられているという実感があるのです。
そんな中、城東保育園が今、廃園を迎えようとしています。こんな世の中だからこそ、育児支援の拡充が必要な時に、何故、廃園になるのか今でも理解に苦しみます。このままでは、小子化が、さらに進むことは、素人の私でも容易に想像できます。
城東保育園には、私達親が求める、「真の育児支援」があります。私達親が本当に必要としている、血の通った、あたたかい支援の手がそこにあります。それは、長い年月をかけ、たくさんの先生方が関わり築きあげてくださったものです。さらには、私達の先輩保護者達が自分達の不便さを後に残さぬよう、問題と立ち向かい、切り開いて来てくださったものでもあるでしょう。こんなに歴史があり、また、保護者から信頼され、必要とされている城東保育園がなくなることを突然聞かされ、当初、私達は、非常に混乱しました。当局から聞かされる廃園の理由には全く納得がいかず、廃園を反対しておりました。しかし、どうしても廃園を免れないのならば、せめて、この城東保育園のすばらしい機能を確実に移転させることが、先人からのバトンをこれから子育てをする人たちへつなぐために、今、私達保護者がやるべき事と認識し、陳情にいたりました。
陳情項目1の内容は、一見しますと、非常に細かい内容に見えますが、それこそが、私達親が必要としている育児支援なのです。
陳情項目1の①の障害児保育についてですが、障害児と健常児の共に育ち合える環境は、本当にすばらしいと思います。子ども達は、障害に対し、偏見も同情も持たず、ただ、共に、生活しています。私達大人が目指すべきすばらしい社会が、すでにそこにあるのです。
「障害児が健常児と一緒に過ごすため」の障害児指定園ではなく、「健常児が障害児と共に生活する事」にも大きな意味があるのです。
障害の有無は、体格の違いや肌の色の違い等と同様に個々人の個性の一つであり、
障害があることによって、その生活の場が制限されるべきではありません。
しかし実際には、まだ社会の中で受け入れていく体制が整っていないことも多く、
「人の目にさらされて生きている」と思わざるを得ない状況の中、障害児を育てている親もいます。
城東保育園は健常児と障害児の「共育ち」がうまくいっており、
障害児の家族が「疎外感」を感じることは少ないと言われています。
また、城東保育園を卒園した障害児が小学校に入学し、障害を理由にいじめを受けた
時、その子供をかばったのは同じ城東保育園を卒園した健常児であったという話を聞きま
した。
「いじめ問題」がとりざたされて久しい昨今、
「いじめをなくす子育て」は小学校入学前からなされるべきであり、
城東保育園はまさに「思いやりをはぐぐむ園」として
いじめ問題対策の観点からも大切な役割を担ってきた保育園だとも言えるのです。
また陳情項目1の③の食物アレルギーに対する代替食対応についてですが、最近、多くの子ども達が様々なアレルギーを持っています。
特に食物アレルギーは、子どもに多くのストレスを与えます。
例えば、小麦アレルギーの子どもは、お醤油や子どもが大好きなラーメンも食べる事ができません。食物アレルギーを持つ子供は、自分が食べられないことをよく理解していますが、だからこそ、みんなと似たものを食べられることに喜びを感じます。しかしながら、似たようなものを他の食材で調理するには、大変な手間がかかります。お鍋や菜ばしなどの調理器具にでさえ、少しでも小麦がついていたら、命にかかわりますので、調理器具は専用の物を使用しなくてはなりません。さらに、城東保育園では、きびでつくったラーメンを使い、小麦の入っていない特別なお醤油でスープを作ってくれるので、同じテーブルのお友達と見た目は同じ物を食べる事ができます。子どもは、「皆と同じ」という事に
大変な喜びを感じ、制限された食事をするという、苦痛な食事時間から解放され、さらには、食べる事が楽しくなります。
子どもの小さな心を理解し、守り、そして安全と喜びのために、当たり前のこととして城東保育園は、ただ単にアレルゲンを排除するだけの除去食ではない、何よりも子どもの気持ちを考えた「代替食」を実施してくれています。
また、食物アレルギー児を受け入れてくれる園が静岡市のどこかにあればいいわけではな
く、家や職場の近くにあり、自分達の身近な地域の保育園へ登園できなくては意味がありません。城東保育園のようなきめ細かい対応をしてくれる園が全市的にに広まっていくことも私たちの願いでもあります。
たとえ、障害を持っていても、アレルギーを持っていても、子ども達に不便さを強いる事は、間違っています。不便さを乗り越え、平等な世の中を生きるための手助けができる、福祉を重んじるような行政であってほしいと願います。
陳情項目1の④の連絡ノートについてですが・・・
これは、特に城東保育園ならではの、保護者の満足度が高いシステムです。保育園は、親のお迎え時間もバラバラ、それに伴い、保育士の先生方も様々な勤務時間帯のシフト制で働いておられます。親が子どもの迎えに行ったとき、担任の先生にお会いし、日中の子どもの様子を聞いたり、または育児相談などができる場は、ほとんどありません。保育園と保護者のコミュニケーションは、非常に重要です。直接先生にお話できない分、連絡ノートを利用することで、些細な事でも気になった子どもの言動などを先生に連絡し、様子を見てもらって報告していただいたり、育児する上で不安に思う事を先生に相談する事ができます。
このような意味で、連絡ノートは、非常に重要なコミュニケーションツールであります。子どもから聞く、園での様子だけではない、育児のプロから見た子どもの様子を知る事は、これもまた、親が必要としている育児支援の一つでもあるのです。
また、陳情項目2の内容ですが・・・
去年の今頃、広報紙を見るまで、当事者である、私達保護者は、廃園について、何も知らされず、混乱しました。その後、私達から、当局へ説明会開催をお願いをし、ようやく廃園に対する行政の姿勢を知りました。また、その後、数回当局と話し合いをさせていただきましたが、一向にお互い交わる事なく、話し合いは中断してしまいました。
陳情項目1の城東保育園のすばらしい機能を確実に移転する事こそ、私達が廃園を受け入れるギリギリのラインであり、それを確実に行うためには、正直、当局に任せるのは非常に不信感があり、またうやむやになってしまっては、即刻、全市的に保育環境の低下につながることは、目に見えています。
そこで、陳情項目2の①で挙げる「機能移転、検討委員会」の設置は、急務であると考えました。行政主導の廃園ではなく、育児支援を心から必要としている私達親、さらには、障害児の専門家の方々と十分な話し合いを持ち、確実な機能移転をし、より充実した保育環境を確立した上での廃園を心より望んでおります。そして、是非、当局には、私達市民と、対話を深め市民と寄り添う行政をしていただきたいと願っております。
陳情項目2の④につきましては、私達は、ただやみくもに廃園時期をずらそうという意図では、なく、とにかく、確実な機能移転を最優先に考えていただきたいという事に尽きます。廃園ありきで計画が進むのではなく、とにかく確実な機能移転を最優先し計画を進めていってほしいと願っております。
城東保育園には本当に当事者である私達親が必要とする、血の通った温かい支援の手があります。長い年月をかけ、構築された良い伝統は、必ずや全園で受け継いでいただき、そして、これから生まれてくる静岡の宝である、子ども達、そして私達の後をゆく、その親のためにも、今回、陳情をさせて頂きます。
誰もが、喜びと希望にあふれた育児ができるよう、親も子も安心できる保育環境を構築していただきたく、どうか、全会一致で採択をしていただきますよう、心よりお願い申し上げます。
本日は、このような機会を与えて下さいまして、本当にありがとうございました。