ベテラン個人投資家の逆張り戦略には、新NISAで資産運用を始めた投資初心者が学ぶべき教訓もありそうだ(写真:Snowleopard25c/Shutterstock.com)

2024年は新NISA(少額投資非課税制度)が起爆剤となり資産運用ブームが起き、個人投資家のすそ野が広がった。日経平均株価は2月にはバブル後最高値を更新し、7月には年初来高値を付けたものの、8月には大暴落。経験の浅い個人投資家に動揺も広がった。個人投資家として高校生時代から40年以上の投資経験を持つ内田衛さんはどう動いたのか、投資への気構え、さらに2025年の相場展望を聞いた。2回に分けて掲載する。

(種市 房子:ライター)

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仕込み中の「次の割安株」とは?

——「次の割安株」としてどの銘柄に注目していますか。

内田衛氏(以下敬称略):日野自動車です。エンジン認証不正問題で2022年から株価が低迷しています。私は2024年に440~450円で20万株余り買いました。2024年9月期決算で特別損失を計上し、株価は360円まで低迷しましたが、私は気にしていません。エンジン認証不正問題が解決すれば、いずれ株価は認証問題発覚前の水準に戻ると予想しています。

——その読みの根拠を教えて下さい。

内田:まず、トヨタ自動車が筆頭株主という経営の盤石さです。資料を読み、会社のIR部署に問い合わせた上で、本業のトラックの売り上げは、主力の海外では持ち直し、日本でも型式を取り直し、回復途上にあると判断しました。他にも、資料やIRの説明を通して、「この会社は元通りになる」と判断した根拠が複数あります。

——会社の資料を読んだり、IR部署に問い合わせたりすることは、初心者の投資家にも可能でしょうか。

内田:会社の資料は、決算短信、決算補足資料、月次の出店数や既存店売上高報告など数々あります。そうした資料を読んで、IR部署に「この資料のこの部分の意味、根拠を教えてほしい」と問い合わせれば、丁寧に答えてくれます。

——内田さんが個人投資家として有名だからIR部署も回答してくれるのでは。

内田:そんなことはありませんよ。ただし、きちんと資料を読み込んで、質問を具体化しなければ有効な回答を得られないし、当然、インサイダー情報は教えてくれません。株主ではなくても「御社の投資を検討しているのですが」と問い合わせれば、丁寧に答えてくれますよ。

——資料読み込みやIRの問い合わせが奏功した投資事例を教えてください。