トレンドマイクロは、統合サイバーセキュリティプラットフォーム「Trend Vision One」のXDR(拡張型脅威検知・対応)機能を社会インフラなどの重要設備を制御、運用する技術(OT)分野に拡張すると発表した。
Trend Micro Vision Oneは、エンドポイント、サーバー、クラウド、メールおよびネットワーク全体を保護する各セキュリティ製品がセンサーとなり、それぞれのレイヤーで検知した脅威や侵入の痕跡を、トレンドマイクロの脅威インテリジェンスを活用して相関的に分析する新たなセキュリティプラットフォーム。センサーとなる製品は「Trend Micro Apex One SaaS」「Trend Micro Cloud One―Workload Security」「Trend Micro Cloud App Security」「Deep Discovery Inspector」などがある。
Trend Micro XDRは、サイバー攻撃の事後対処として、脅威がユーザー環境に万一侵入した際に、攻撃の痕跡を検知、可視化することで、インシデントの調査、原因特定、対処を行う機能になる。PCやサーバーなどのエンドポイントに加え、メール、クラウドワークロード、ネットワークなど複数のセキュリティレイヤーから正・不正問わずファイルやプロセスに対するアクティビティーデータであるテレメトリーを収集し、サイバー攻撃の有無や対処すべき事項を見いだす。
「Trend Vision One」の構成要素
昨今のサイバー攻撃のアタックサーフェス(攻撃対象領域)が、メールやVPN機器をはじめ、クラウドやOT環境を含めたサプライチェーンを構成するサービスなど多様化していることから、トレンドマイクロは今回の機能拡張に踏み切ったとのこと。これによりIT・OT、5Gを含めた通信インフラなどの包括的な保護を実現する。
また、2つ目の機能拡張として、セキュリティオペレーションの生産性と効率を向上させるため、「Trend Vision One」に生成AI機能の「Trend Vision One Companion」を7月に搭載する。この機能は、サイバー攻撃の侵入口や悪用された脆弱性、マルウェアの動作や拡散の原因など、専門的なセキュリティアラートに関してチャット形式で質問を受け付け、リアルタイムに詳細を解説し、セキュリティオペレーションセンター(SOC)担当者が迅速にサイバー攻撃に対処することを支援する。
サイバー攻撃者が本来正規のユーザー使う「PowerShell」などのスクリプトやLinuxのコマンドなどを悪用して攻撃を行った場合、スクリプトやコマンドが複雑化し、その意味を検索するなどして解読するのに多くの時間を要することがある。Trend Vision One Companionでは、これらの問題についても分かりやすい言葉で説明し、経験や知識の浅いSOC担当者をサポートし、セキュリティオペレーションの生産性や効率を向上させる。
また、SOC担当者がサイバー攻撃の状況を調査する際、IPアドレスやSHA-1ハッシュ値など技術的な情報をもとに検索を行うことがあり、この際もTrend Vision One Companionを活用することで知りたい情報を自然言語により検索できる。
このほかにもTrend Vision Oneでは、AIツールの可視化とモニタリング機能を実装予定で、これらを活用することで、「ChatGPT」をはじめとした生成AIを提供するサービスの利用を検知、制御できるようにする。
さらに3つ目の機能拡張として「アタックサーフェスリスクマネジメント機能」を8月から提供する。この機能は、法人組織のネットワークに接続されているPC、サーバー、ソフトウェアなどデバイスベースに加え、ユーザーベースでリスク状況を把握できるようにする。OSやソフトウェアの脆弱性有無、不審なWindowsログイン施行、オンラインストレージなどリスクの高いクラウドアプリケーションへのアクセス状況などを把握することでリスクを管理する。
インターネットに公開しているサーバーなどの資産に対しても、不要なポートやサービスの利用有無、通信プロトコルの脆弱性、期限切れ証明書の有無、設定ミスなど潜在的なリスクを検出する。さらに法人組織が利用しているメールアドレス、パスワードなどの情報がダークウェブ(闇サイト)に漏えいしていないかを確認できる。ダークウェブ上に漏えいしていた場合、高リスクとして検出し、検出したリスク状況をもとにパスワードの変更などを行うことでセキュリティを向上させる。