「CentOS Stream 9」、ダウンロード提供が開始

Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正:

2021-12-06 10:56

 Red Hatがおよそ1年前に、「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)のクローンである「CentOS Linux」から、RHELのローリングリリースとしてのLinuxディストリビューションである「CentOS Stream」に軸足を移していくと発表した際、多くのユーザーは憤慨した。その結果、「AlmaLinux」や「Rocky Linux」といったCentOS/RHELの代替となるクローンOSの開発が開始された。しかしRed Hatは次期RHELの先行ディストリビューションとしてCentOS開発を推進するという計画を堅持した。そして米国時間12月3日、新生CentOSプロジェクトから「CentOS Stream 9」という画期的な最新ディストリビューションがリリースされた。

 この新リリースは、RHELの品質を満たす上での厳しい基準を確実にクリアするための一連のテストやチェックを経てきている。また、Streamに対するアップデートは、まだリリースされていないRHELのマイナーバージョン向けにリリースされるものがそのまま使用される。Red HatのCentOS担当マネージャーであるRich Bowen氏は「その目的は、CentOS Streamを基本的にRHEL自体と同じくらい安定させる」というものだと述べた。

 CentOS Streamはこのような安定性を実現するために、「Fedora Linux」の安定版リリースを用いて開発が始められる。つまりCentOS Stream 9では、「Fedora 34」がベースになっている。これは「RHEL 9」で使われているものと同じコードベースだ。その後、Fedoraに対するアップデートパッケージが導入された場合、該当パッケージのテストの後に安定性の基準をクリアした段階で、RHELの夜間ビルドとともにCentOS Streamにプッシュされる。要するに、Bowen氏の言葉を借りると「CentOS Streamの現在の姿は、近い将来におけるRHELの姿を表している」というわけだ。

 Fedora自体は、安定リリース版のように捉えられるようになってきている。例えば、Amazon Web Services(AWS)は最近、Fedoraを「Amazon Linux 3」の基盤として採用すると決定した。

 CentOS Streamは現在、GitLab上で開発が進められている。ただ、今のところRHELと「CentOS Stream 8」のソースコードすべての正式な保存場所は、https://git.centos.orgのままとなっている。

 CentOS Streamは、Red HatのミラーサイトからISOフォーマットでダウンロードできる。同OSは64ビットの「x86」(x86_64 v2+)や64ビットの「Arm」(AArch64)、「IBM Z」(s390x Z14+)、「IBM POWER」(ppc64le POWER9+)の各アーキテクチャーに対応している。なお、Red Hatは現時点でCentOS Stream 9のリリースノートを公開していない。

 それはともかく、「CentOS Linux 9」はリリースされず、今後のCentOSはCentOS Streamのみとなるのはご承知の通りだ。Red Hatは2021年末をもって「CentOS Linux 8」のサポートを終了する。このため、CentOS Linux 8を利用し続けたいユーザーは、CloudLinuxをはじめとするサードパーティーによるサポートが必要になる。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  2. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  3. ビジネスアプリケーション

    新規アポ率が従来の20倍になった、中小企業のDX奮闘記--ツール活用と効率化がカギ

  4. ビジネスアプリケーション

    カスタマーサポート業務で生成AIはどう使えるか、代表的な活用場面を解説

  5. ビジネスアプリケーション

    改めて知っておきたい、生成AI活用が期待される業務と3つのリスク

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]