Red Hatがおよそ1年前に、「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)のクローンである「CentOS Linux」から、RHELのローリングリリースとしてのLinuxディストリビューションである「CentOS Stream」に軸足を移していくと発表した際、多くのユーザーは憤慨した。その結果、「AlmaLinux」や「Rocky Linux」といったCentOS/RHELの代替となるクローンOSの開発が開始された。しかしRed Hatは次期RHELの先行ディストリビューションとしてCentOS開発を推進するという計画を堅持した。そして米国時間12月3日、新生CentOSプロジェクトから「CentOS Stream 9」という画期的な最新ディストリビューションがリリースされた。
この新リリースは、RHELの品質を満たす上での厳しい基準を確実にクリアするための一連のテストやチェックを経てきている。また、Streamに対するアップデートは、まだリリースされていないRHELのマイナーバージョン向けにリリースされるものがそのまま使用される。Red HatのCentOS担当マネージャーであるRich Bowen氏は「その目的は、CentOS Streamを基本的にRHEL自体と同じくらい安定させる」というものだと述べた。
CentOS Streamはこのような安定性を実現するために、「Fedora Linux」の安定版リリースを用いて開発が始められる。つまりCentOS Stream 9では、「Fedora 34」がベースになっている。これは「RHEL 9」で使われているものと同じコードベースだ。その後、Fedoraに対するアップデートパッケージが導入された場合、該当パッケージのテストの後に安定性の基準をクリアした段階で、RHELの夜間ビルドとともにCentOS Streamにプッシュされる。要するに、Bowen氏の言葉を借りると「CentOS Streamの現在の姿は、近い将来におけるRHELの姿を表している」というわけだ。
Fedora自体は、安定リリース版のように捉えられるようになってきている。例えば、Amazon Web Services(AWS)は最近、Fedoraを「Amazon Linux 3」の基盤として採用すると決定した。
CentOS Streamは現在、GitLab上で開発が進められている。ただ、今のところRHELと「CentOS Stream 8」のソースコードすべての正式な保存場所は、https://git.centos.orgのままとなっている。
CentOS Streamは、Red HatのミラーサイトからISOフォーマットでダウンロードできる。同OSは64ビットの「x86」(x86_64 v2+)や64ビットの「Arm」(AArch64)、「IBM Z」(s390x Z14+)、「IBM POWER」(ppc64le POWER9+)の各アーキテクチャーに対応している。なお、Red Hatは現時点でCentOS Stream 9のリリースノートを公開していない。
それはともかく、「CentOS Linux 9」はリリースされず、今後のCentOSはCentOS Streamのみとなるのはご承知の通りだ。Red Hatは2021年末をもって「CentOS Linux 8」のサポートを終了する。このため、CentOS Linux 8を利用し続けたいユーザーは、CloudLinuxをはじめとするサードパーティーによるサポートが必要になる。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。