AWSの元ベテラン幹部ベル氏、マイクロソフトの新たなエンジニアリング組織のトップに

Mary Jo Foley (ZDNET.com) 翻訳校正: 緒方亮 吉武稔夫 (ガリレオ)

2021-09-16 14:17

 Amazon Web Services(AWS)で長らくエンジニアリングを担当していたCharlie Bell氏は8月、AWSを離れると報じられ、その後Microsoftに移籍したが、同氏の新しい職務は明らかにされていなかった。Microsoftは米国時間9月15日、Bell氏の役割を社内向けに発表したようだ。Bell氏はMicrosoft内の新しいエンジニアリング組織の責任者となり、セキュリティ、コンプライアンス、アイデンティティ、マネジメントなどの分野を率いる。

 Microsoftの最高経営責任者(CEO)Satya Nadella氏が従業員に宛てたメールによると、MicrosoftとAmazonはBell氏の移籍について交渉中のようだ。Bell氏はNadella氏の直属となり、「前職の雇用主との問題が解決され次第」Microsoftのシニアリーダーシップチームに加わるという。

 Microsoftのコミュニケーション担当コーポレートバイスプレジデントFrank Shaw氏は次のように述べている。「Charlie Bell氏の新しい仕事は、国家とテクノロジー分野全体のサイバーセキュリティを向上させる上で有用だと考えている。われわれは、Amazonと建設的な話し合いを続けることに尽力している。先日Microsoftの幹部5人が街を1つ越えてAmazonに移った。こうした問題には、その時のように協力してあたることが重要だと強く感じている」

 Nadella氏が約7年前にCEOに就任して以降、Microsoftは競業禁止の問題で、Amazonをはじめとする競合他社を攻撃していないはずだと筆者は考えている。

 Bell氏はMicrosoftでの新しい役割について、LinkedInへの投稿で次のように述べている。

 「デジタルサービスが生活に欠かせないものになる中、セキュリティと安全を実現する能力が追いつかなくなっている。毎日のように目にするニュースの見出しには、詐欺、窃盗、ランサムウェア攻撃、個人データの暴露、さらには物理インフラへの攻撃が絶えず取り上げられている。このようなことが、ずっと私の気にかかっている。私が思いつく限り、この状況をうまく表現できるのは、『デジタルの中世性』という言葉ではないだろうか。組織と個人は、それぞれの城壁と市民の力を頼りとして悪党どもと戦うが、悪党は戦利品を手にして自らの城に簡単に撤退できる世界だ。われわれが望むのは、安全が変わることなく、常に真なるものであり、私たちの元にあることをいつでも証明できる世界だ。われわれは皆、デジタルの文明化を求めている。Microsoftはこれを実現できる立場にある唯一の企業だと私は考えている。この有能なチームとともに働き、世界中のすべての人と組織のために、世界をより安全にしていくことをこの上なく楽しみにしている」

 Microsoftは今回の移籍の一環で、クラウドおよび人工知能(AI)、エクスペリエンスおよびデバイスのチームから、複数のチームをBell氏の下に移すようだ。コーポレートバイスプレジデントHarv Bhela氏が担当する「Microsoft 365」のセキュリティ、コンプライアンス、マネジメント部門、コーポレートバイスプレジデントJoy Chik氏が率いるアイデンティティ部門、コーポレートバイスプレジデントBharat Shah氏のセキュリティ部門、コーポレートバイスプレジデントBret Arsenault氏が率いる最高情報セキュリティ担当(CISO)チームなどが対象になるとみられる。

 CNBCによると、Bell氏はAndy Jassy氏の後任として、AWSを率いる候補とされていた。AWSのCEOを務めていたJassy氏は、AmazonのCEOに就任している。AWSのCEOにはAdam Selipsky氏が選ばれた

 またMicrosoftは14日、プレジデントで法務顧問のBrad Smith氏が副会長を兼任することを発表した。これは、Smith氏の担当業務というよりも肩書きの変更だろうと筆者は考えている。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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