IBMは、次世代Powerプロセッサー「POWER10」を2021年後半に提供する予定であることを明らかにした。この製品は7nmプロセスで製造され、現行世代よりも小さく、高速になり、電力効率が向上する。
POWER10プロセッサーを製造するのはサムスン電子だ。「POWER9」は14nmプロセスで製造されている。POWER9と比べてワークロードキャパシティー、コンテナ密度などを最大で3倍に高め、大幅にパフォーマンスが向上する見通しだという。
IBMのPOWER9は、世界でもっとも高速なスーパーコンピューターの1つである米エネルギー省のオークリッジ国立研究所の「Summit」で、NVIDIAのGPU「Tesla」とともに使用されている。
POWER10はエンタープライズのハイブリッドクラウドのワークロードを実行するサーバーで使用されることを想定して設計されており、IBMが買収したRed Hatのコンテナプラットフォームである「OpenShift」を補完するものになっている。
ウェハー上のPOWER10
提供:IBM
IBM Cognitive SystemsのゼネラルマネージャーStephen Leonard氏は、「当社は以前から、Red Hat OpenShiftをハイブリッドクラウドでデフォルトで選ばれる製品にするという目標を掲げているが、IBM POWER10では、コンテナを実行するためのハードウェアベースのキャパシティとセキュリティを、ITインフラ水準まで高めた」と述べている。
Leonard氏によれば、このチップは「切手の半分くらいのサイズ」でありながら、トランジスター数は180億におよぶという。
POWER10には「Memory Inception」と呼ばれる新技術が搭載されており、POWER10ベースの複数のシステムで共有可能なメモリプールを作ることができる。マルチペタバイト級のメモリークラスターが利用可能になり、メモリー集約型のアプリケーションでの利用に適している。
また、耐量子暗号などの将来の暗号化規格を想定して、より高速な暗号化を実現するハードウェアによるセキュリティ機能が搭載されている。
IBMはさらに、POWER10に企業の人工知能(AI)アプリケーション導入を後押しするため、POWER9と比べて最大で20倍高速にAIの推論を行えるアクセラレーターを組み込んだ。Leonard氏は、このプロセッサーが有用な業界の例として、先進製造技術の自動化などをますます必要とするようになる自動車部品メーカーや、通信事業者などを挙げた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。