Salesforceは米国時間3月20日、データ統合プラットフォームを手がけるMuleSoftを買収することで合意したと発表した。買収額は約65億ドル(約6800億円)で、取引は、Salesforceの2019会計年度第2四半期中に完了する見通しだ。
MuleSoftは2006年に創業し、2017年に上場した。Coca-ColaやBarclays、Unileverなどをはじめとする顧客1200社を擁する。
Salesforceの最高経営責任者(CEO)Marc Benioff氏は声明で「SalesforceとMuleSoftが力を合わせることで、顧客はあらゆるパブリッククラウドやプライベートクラウド、データソースを横断して自社のあらゆるデータを関連付けられるようになる結果、徹底的にイノベーションを強化できる」と述べている。
また、MuleSoftを買収することで「Salesforce Integration Cloud」が強化され、顧客企業はデータを浮かび上がらせ、「パーソナライズされた1対1のジャーニーを通じ、豊かでインテリジェントな顧客エクスペリエンスを追求できるようになる」という。
Salesforceは近年、企業買収を活発化させている。2016年にはKruxやQuipを含む複数の企業を買収した。その後、CloudCrazeなど数社を買収している。
ここで、MuleSoftの買収がどのような意味を持つのかを考えてみよう。まず、Salesforceはこの買収によって、統合クラウド環境や、新たな市場、ハイブリッド配備とオンプレミスソフトウェアへの足がかりを手に入れることになる。
またSalesforceはこの買収によって、レガシーソフトウェアベンダーとしての顔も持つようになる。MuleSoftのプラットフォームはAPIを通じてソフトウェアをつなぐために用いられている。MuleSoftは、エンタープライズソフトウェアの機動性をより高めるための接着剤になると考えればよいだろう。
SalesforceによるMuleSoftの買収は、過去の買収と同様、電話会見でその詳細が語られた。
Salesforceのプレジデントであり、最高執行責任者(COO)でもあるKeith Block氏は以下のように述べた。
最近、さまざまな業界の最高経営責任者(CEO)から、データがレガシーシステムにロックインされていることで足を引っ張られているという話を聞かされた。こうした状況こそ、この買収がわれわれの顧客にとって素晴らしいものとなる理由だ。デジタル全盛の現代において、あらゆる業界のさまざまな規模の企業が業務の変革を迫られており、そうした変革は顧客に始まり、顧客に終わる。そして、SalesforceとMuleSoftが力を合わせることで顧客のデジタル変革を加速し、これによって顧客はあらゆるシステムからのデータを浮き彫りにできるようになる。こういったシステムには、レガシーソフトウェアに始まり、クラウドアプリケーションやモバイルアプリ、IoTなどさまざまなものが含まれる。