クラウドネイティブなオープンソースプロジェクトを推進する「Cloud Native Computing Foundation」(CNCF)と、Google Cloudのエンジニアリング担当ディレクターであるChen Goldberg氏は、「Open Source Leadership Summit」(OSLS)で、「Kubernetes」がCNCFから「卒業」する最初のプロジェクトになると発表した。
Kubernetesはすでに、クラウド向けコンテナオーケストレーションプログラムとして優勢であるため、この発表は意外だと受け取られるかもしれない。しかしCNCFにとって、卒業は特別な意味を持つ。プロジェクトが卒業するには、複数の組織から採用され、文書化された組織だったガバナンスプロセスがあり、コミュニティでの成功と包括性に対する強いコミットメントを示す必要がある。
Goldberg氏はOSLSの基調講演で、Kubernetesが成功した理由は多数あると説明した。同氏によると、最も重要な要因の1つは、「Googleにとってオープンソースソフトウェアは戦略の一部であり、片手間に行っているプロジェクトではないことだ。Kubernetesアップストリームと『Google Kubernetes Engine』は、最初からお互いに力を注いでいた。それは、ユーザーを支援するためにほかならない。そして製品よりも、企業よりも、コミュニティを優先する姿勢が貢献した。コミュニティにおける価値の多様性も、成功要因の1つだ」。
Chen Goldberg氏
提供:Google
Kubernetesは、大学院生のアイデアが発端ではなく、ユーザーのニーズを満たしたいと願う企業から生まれたオープンソースプロジェクトの理想的な例だ。しかし、KubernetesはGoogleのプロジェクトではない。開始したのはGoogleだが、Goldberg氏が笑顔で認めるように、多数の企業の何千人もの開発者の協力なくして、現在のKubernetesは存在しないだろう。
現在Kubernetesはすでに、多数の企業によって利用されている。Uber、The New York Times、Lyft、eBay、Goldman Sachsなどの企業はすべて、開発プロセスでKubernetesを大規模に導入している。さらに調査会社Red Monkによると、Fortune 100企業の71%がコンテナを使用しており、50%以上がコンテナオーケストレーションプラットフォームとしてKubernetesを採用しているという。
Goldberg氏は、Kubernetesの成功で最も興味深かったのは「Pokemon Go」だったと語る。Nianticが、大成功を収めたこのスマートフォンゲームをリリースしたとき、これほど人気を集めるとは思いもしなかったという。そのため、GKEのリソースへの需要が予想の50倍に相当した。しかしKubernetesのおかげでクラッシュすることなく、プレーヤーが「Pokemonを捕まえ続けて」ゲームを続行できるようクラウドが対応できたという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。