拡張現実(AR)が工場での作業を変えつつある。GE Aviationにおける「Google Glass」の新エディション「Enterprise Edition」と、Upskillの拡張現実(AR)ソフトウェアの利用形態を見ることで、この言葉の意味が分かるはずだ。
GE Aviationは「Google Glass Enterprise Edition」を導入し、整備士の作業効率の向上と作業ミスの低減を図っている。
提供:GE
GoogleはGoogle Glassの復活を発表した際、ARに現実の市場があるという証拠を示してみせた。それは法人向け市場だ。同社はGeneral Electric(GE)やAGCO、DHL、Sutter Healthのような大手顧客が既に「Google Glass Enterprise Edition」を試験的に導入していることを明らかにしたのだった。
多くの企業のリーダーらが既にARに目を向けているのは明らかだ。米ZDNetの姉妹サイトTech Pro Researchが2016年に実施した調査によると、回答者の39%が既に自社にARを導入していると答えており、まだ導入していないとした回答者の67%も導入を検討中だと答えている。また、アナリストらもこの市場について楽観視している。IDCは法人セグメントにおける2016年のARヘッドセット出荷台数が11万1000台だったとし、2021年までに2000万台以上に増えると予想している。これは年平均成長率(CAGR)にすると184%にもなる。なおIDCは、2021年のARヘッドセット市場に占める法人セグメントのシェアが83%に達するとも予想している。
では、何が現在から2021年までの成長をけん引するのだろうか?GEにおけるGoogle Glassの利用事例からは、ARがいかに成熟し、企業にとって成果の期待できる投資対象になったのかが見て取れる。GEのような大企業にとって、ARなどの新テクノロジを導入するためにワークフローを変更するというのは、簡単な取り組みとは言い難いのだ。
GE AviationのTed Robertson氏は米ZDNetに対して、「GEは巨大な船舶であるため、ほんの少しの進路変更でも大きな運動量が必要となる」と述べたうえで、「スイッチ1つでものごとを変更できる小規模な新興企業とはわけが違う」と語っている。