日本オラクルは10月25日と26日、都内でイベント「Oracle Cloud Days Tokyo 2016」を開催した。初日に開かれた説明会で、米本社のOracle Cloud担当シニアバイスプレジデントのSteve Daheb氏がIaaSを中心にOracleの戦略を説明した。
Oracle Oracle Cloud担当シニアバイスプレジデント Steve Daheb氏
クラウドが普及しているが、実際はパブリッククラウドに移行しているワークロードは全体のわずか6%にすぎないという。残りもクラウドに移行するのか――答えはイエスだ。「クラウドへの移行は本物だ。信じられないほど高速に進んでいる」とDaheb氏はいう。
一方で、現在クラウドにあるワークロードのほとんどが新規であって「ミッションクリティカルなエンタープライズのワークロードは移行していない」とDaheb氏は指摘、こここそがOracleが狙う市場となり、そのためのIaaS強化となる。
IaaS市場はAmazon Web Services(AWS)、Microsoft Azureがほぼ独占状態にあるが、Oracleの戦略は何か? 包括性、オープン、セキュリティ、選択肢の4つがキーワードだ。
包括性とは、IaaS、PaaS、SaaSとすべてのレイヤを揃える上、土台となるシステムも手掛けるという点だ。これにより複雑性を削減できる。オープンな標準ベースであり、あらゆるワークロード、アプリケーション、開発言語、OSなどのプラットフォーム、データの種類をサポートする。これにはオープンソースも含まれる。
セキュリティは、2015年のOracle OpenWorldで創業者で最高技術責任者(CTO)を務めるLarry Ellison氏が強調した特徴だが、Daheb氏も、あらゆるレイヤで保護すること、保管されているデータはもちろん、移動データについても暗号化すること、アプリケーションへのアクセス制御ができること、機密データのマスキング機能、暗号鍵は顧客が有すること、データセンターへの物理的なアクセスなどを挙げた。
選択肢はプライベートクラウド、パブリッククラウド、オンプレミスと実装オプションが選択でき、これにより既存のIT資産やスキルを保護できるとする。クラウドへの移行についても「SaaS、PaaS、IaaS、どこからでもクラウドに移行できる」と述べた。
IaaS、PaaS、SaaSのどこからでもクラウドにマイグレーションできる
Daheb氏はSaaS、PaaS、IaaSと個々のレイヤについてOracleの特徴を説明したが、中でも、同社が今年のOpenWorldで本格ローンチしたIaaSに大きなスポットを当てた。
IaaSではコンピュート、ネットワーキング、ストレージの3つを揃える。1つ目のコンピュートの特徴は、最新世代のハードウェアを利用することで実現する性能、オーバーサブスクリプションがなくハイパーバイザのオーバーヘッドもないという一貫性、それにセキュリティの3つを紹介、これをベアメタル、コンテナを含むさまざま形式で実装できるとした。
たとえば2月に買収を発表したRavelloは、VMwareやKVMを利用して仮想化されたワークロードを“リフト&シフト”――そのままクラウドに移行できるというものだ。「企業のワークロードの多くが仮想化されている。これらをクラウドに移行させるにはアプリケーションの書き直しが必要になるが、Ravelloはインフラ、アプリ、ネットワーク設定とスタック全体をまるごとクラウドに移行できる」と説明した。
IaaSのコンピュートではさまざまな選択肢を提供する
2つ目のネットワークでは、低遅延、高帯域をリージョン間で提供するなどの性能、デバイス間を2ホップ以下で接続するため、ネットワークで一貫した性能を確保できるという予測性、そして暗号化によるセキュリティが特徴となる。
3つ目のストレージは要求にあわせたスケールアップ/ダウンと需要予測などの拡張性、コスト効率、セキュリティを強調した。オプションでも、ローカルの不揮発性ストレージ、ブロックストレージ、オブジェクトストレージ、アーカイブ、ファイルとバックアップ、ストレージクラウドソフトウェアアプライアンスを用意、用途に応じて利用できる。