Salesforce.comの年次カンファレンス「Dreamforce」が、米国時間10月4~7日にかけて開催されている。同社はこのイベントで、多くの製品発表や最新情報の発信を行う。
今回のDreamforceの主役は、この数週間Salesforceが強力に売り出している人工知能プラットフォーム「Einstein」だ。Salesforceは、プラットフォーム全体にAIを組み込んだことによって、Einsteinは「ひとり一人のためのデータサイエンティストとして機能する」と述べている。
同社は10月4日、EinsteinはSalesforceのデータパイプ全体にアクセスできると発表した。アクセスできる情報には、「Chatter」、電子メール、カレンダー、Eコマースなどから得られたアクティビティデータ、ツイートや画像などのソーシャルデータストリームに加え、IoTのシグナルなどが含まれ、こうした顧客からのデータをAIの予測モデルのトレーニングに利用できる。Einsteinの予測モデルは、関連するインタラクションの情報に基づいて学習し、自動的に修正されるように設計されている。
Einsteinを組み込んだアプリは、すでに多くの開発者に利用されている開発ツールを使って作成できるという。また、データサイエンティストや開発者は「Predictive Vision」や「Sentiment Services」を利用し、深層学習モデルをトレーニングしてテキスト内の感情や画像の認識や分類が可能だ。
Salesforceが8月に買収を発表した生産性プラットフォーム「Quip」に関しては、主にSalesforceプラットフォームとの幅広い統合が話題になっている。Quipのチームは、QuipをSalesforceのすべてのクラウドに横断的に対応させようと取り組んでいると最高経営責任者(CEO)Bret Taylor氏は述べている。
その第一歩として、SalesforceのユーザーがSalesforceの認証情報を使ってQuipにサインアップやログインを行えるようにした。また、新たに発表された「Quip Lightning」コンポーネントを使用することで、Quipの文書やスプレッドシート、タスクリストに、Salesforce内から直接アクセスしたり、作成したりすることが可能になった。
また、「Salesforce Lightning」関連でもいくつか新しいニュースがある。Salesforceは、同社が次世代Lightningと位置づけている「Lightning Bolt」をロールアウトした。同社によれば、すでにAccenture、Cognizant、Deloitte、PwCが特定業界向けのコミュニティやポータルでLightning Boltを使用しているという。
さらに、モバイルアプリ「Salesforce1」がアップデートされ、企業は自社のカラーやロゴを使ってUXをカスタマイズできるようになる。Salesforceは、Salesforce1プラットフォームの導入を加速するため、パーソナライズ機能に力を入れている。
また「Salesforce IoT Cloud」についても新しい発表がある。10月4日、同社はSalesforce以外のシステムからのイベントデータストリームを取り込むことができる新しいツールと、データがカスタマーエクスペリエンスに与える影響についての知見を得られるダッシュボードを提供する「IoT Traffic Monitor」を発表した。
2016年のSalesforceのメッセージをまとめるとすれば、「1つのプラットフォーム」というアプローチだろう。簡単に言えば、Salesforceは同社のさまざまな製品やクラウドを1つの完結したプラットフォームにまとめ、MicrosoftやOracleなどの大手IT企業に追い抜こうとしている。これは大変な目標だが、DreamforceではSalesforceの戦略について、さらに詳しい話を聞くことができるはずだ。
提供:Salesforce
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。